ソースネクストがセキュリティ対策ソフトの新バージョン「ウイルスセキュリティ2006」を16日に発売した。ウイルスセキュリティは、ウイルス対策やスパイウェア対策、ファイアウォール、フィッシング対策といった機能を搭載している。2005年上半期のシェアでは、シマンテック(45.7%)、トレンドマイクロ(25.8%)に次ぐ16.0%を占めたという。
12月2日の製品発表会では、ウイルスセキュリティ2006にデータ暗号化ソフト「データプロテクト」とのセットや、バックアップソフト「Acronis True Image Personal」を追加したセットも発表。また、価格を500円に抑えた3カ月限定版「ウイルスセキュリティ500」も発表し、“ワンコイン戦略”によるさらなる拡販を目指すという。ソースネクストの販売戦略などについて、松田憲幸代表取締役社長にお話を伺った。
● ウイルスセキュリティ500は「完全にコンビニをターゲットにした」
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ソースネクストの松田憲幸代表取締役社長
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――以前、お話を伺った際は、1,000円以下の価格設定に否定的でした。3カ月限定版とはいえ、500円という思い切った価格設定をした理由はなんでしょうか。
松田社長:500円で売れば、さまざまな買い方に対応できます。1人の方が家族の分まで何個も買えますよね。基本的には新規ユーザーの購入を想定していますが、ライセンスとしても購入できます。
ウイルス対策ソフトは、利用期間が切れたから買いに来たという人は多いです。切れる前に買いに来ようという危機感の高い人はあまりいません。ですから、切れたら買える、つまり買いやすいといことが大事です。ティッシュペーパーや電池、電球などの日用品と同じような感覚です。
また、コンビニエンスストアの客単価がどうしても500円台から脱却できないということを考えると、何らかの法則があると思いました。つまり、コンビニの特徴は、便利だけど定価販売なんです。1,000円の買い物なら、ディスカウントストアに行ってしまうのではないでしょうか。消費者はわざわざ定価販売のコンビニで高い買い物をしないんです。定価で買うことのアホらしさが500円台でとどまっている原因で、そこが今のコンビニの限界と言えるでしょう。
その中で、ソースネクストのソフトを含む1,980円という価格帯の商品は、コンビニにおける購入率で見ると1%未満なんですよ。そこで、期間を区切ることで500円にして、完全にコンビニをターゲットにしたんです。1,980円と比較したら500円のほうが確率的に購入される可能性が高くなります。これで売れなかったら、現時点ではコンビニとPCソフトの親和性は高くないのかもしれません。
● ウイルス対策ソフトは主役ではない、高価だと消費者がかわいそう
――「ウイルスセキュリティ」シリーズはインドのK7 Computingが開発しています。どのような経緯でK7 Computingに開発を依頼したのでしょうか。
松田社長:K7 Computingは米国の知人経由で紹介されたんです。「こういういい会社があるよ」と聞いたので、それでは行ってみようということになりました。
K7に関わらず、実はインドには注目しています。PCのソフトは、工場がなくても数学ができればいいんです。マカフィーやシマンテック、マイクロソフトなど米国のソフトも実際には、開発メンバーに多くのインド人を含んでいます。
私がインドに行って思ったのは「これだけソフト開発に優れているのに、インドでやらないのは逆に変なのではないか」ということ。結局は、みんなインド人が作っているものを使っているんだという構造がわかったんです。そういう構造なんですが、インド人に米国経由で依頼するか、インドで直接頼むかでコストが違ってくるんです。
米国はシリコンバレーにインド人を何万人も受け入れています。インド本土には、オラクルの研究所など米企業の支社は多いです。でも、日本は少ないんですよ。インド人に聞くと一番好きな国は日本と答えてくれるんですけどね……。
「対日感情は悪くない」「日本が好きだと言ってくれるインド人も少なくない」という環境であれば、インドに拠点が少ないと日本にとっても良くないと思います。
――ウイルスセキュリティの開発はすべてインドのK7 Computingがやっている、ということでしょうか。
松田社長:何を持って開発ということもありますが、仕様の決定とテストに関しては日本で行なっています。仕様は日本で決めて、基本的なコードをインドに任せ、その後のテストは日本で行なうというサイクルです。テスト環境には100種類以上のマシンを用意しています。
インドの開発者は、とにかくテクノロジーに強い。でも、開発者はコードの美しさなどで自己満足する場合もありますので、日本側では実際の効果を強調して仕様を発注します。
例えば、ウイルスセキュリティではウイルス検知・駆除時に「ウイルスを駆除しておきましたのでご安心ください」と表示しますが、こうした表現はテクノロジーからは生まれませんでした。従来のウイルス対策製品は、「ウイルスを発見しましたが、どうしますか」と聞いてきます。「ウイルスを検知して隔離する」という表現も従来のウイルス対策製品にありますが、「隔離」では、ウイルスの死骸を放置しておく、下手をすると、まだ生きている感じすらしますよね。
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「Webとメールが使えれば、多くのニーズに応えられる。WindowsやMac OS以外に、そういうOSの選択肢があってもいい」とも
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――ところで、ウイルスセキュリティではヒューリスティック技術を採用していませんが。
松田社長:未知のウイルスに対応できると言われているヒューリスティック技術には、有効な面もありますが、誤検知の恐れが否定できません。初心者向けのウイルスセキュリティで誤検知は出したくないのです。
また、機能を何でも詰め込むと、価格が高くなってしまいます。現在ウイルス対策ソフトは必須のように言われており、ある意味“基本料金”になってしまっています。いずれにせよ、ウイルス対策ソフトは主役のソフトではありません。ウイルス対策ソフトを購入することが目的でPCを使っている人はいないのですから、価格が高いと消費者はかわいそうです。
● 市場規模が大きい割にPCはまだまだ高い、PCのハードにも改革が必要
――2006年1月にラスベガスで開かれる「2006 International CES」に出展するそうですが。
松田社長:CESへの出展は、2005年4月に決めました。いろいろな情報や製品が集まるいい機会です。米国だけで売っているソフトも多いので、そういったソフトのテクノロジーをソースネクストの製品に組み入れていきたいと思っています。
「ホームページビルダー」や「スタースイート」、それからウイルスセキュリティなどを出展します。「PCってすごい」という私からのメッセージが伝わればと思います。
――PC関連ビジネスの今後はどうなるのでしょうか。
松田社長:PCを通じたビジネスは伸びています。Googleも成長していますが、大半のユーザーはPCを通じてGoogleにアクセスしています。GoogleだけでなくYahoo!やMicrosoftもPCにディペンドしていると言っていいでしょう。
PCから見た場合、最大のアプリケーションはWebでありメールです。これだけの大きなマーケットがあるのに、あれだけ高価なPCを使っている。PCを改革しなければなりません。私は、そこにチャンスがあると思っています。
ようやく電子商取引の地盤が整いつつあります。この地盤は、ユーザーがキーボードで意思を示せることになったことが大いに影響しています。Windows 95から10年、人もキーボードに習熟し、意思を伝達できるようになった。これには「特打」も影響しています(笑)。巨大な電子商取引の地盤も揃った。次はPCの改革ですね。
● ガンダムの台詞をテープで聞きながら通学、松田社長の学生時代
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「携快電話13 機動戦士ガンダム特別版」の「シャアパッケージ」
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12月2日の製品発表会では、携帯電話ユーティリティ「携快電話13 機動戦士ガンダム特別版」も発表している。会場では、シャアを演じている声優の池田秀一氏が、新製品の「シャアパッケージ」を持って登場するシーンもあり、往年のファンにはたまらない演出だった。
――あの演出はどなたが考えたのでしょうか。
松田社長:実は私が提案しました。ガンダムだけは、かなり異常にのめり込んでいて、はまり込んでいましたので……。機動戦士ガンダムの放映当時はビデオがなくて、音楽テープで台詞を録音していました。朝、聞きながら通学していたんです。20回は聞いていますね。受験勉強がヤバイくらい、異常なオタクだったんです。ですので、絶対にウケると思いました。
社内ではもちろん反対意見もありました。最初はみんなから「エー」と言われましたが、「絶対大丈夫だから」と説得しましたよ。ただ、私も大抵のことは客観的に判断できますが、ガンダムになると……(笑)。
――なるほど。また面白い演出をお願いします。本日はありがとうございました。
関連情報
■URL
ソースネクスト
http://www.sourcenext.com/
関連記事:シャアとアムロが音声ガイドする「携快電話」のガンダム版[ケータイ Watch]
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/26794.html
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( 鷹木 創 )
2005/12/19 18:14
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