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「ヤフオク・ヘビーユーザー座談会」レポート(前編)


「ヤフオク・ヘビーユーザー座談会」の模様
 ヤフーとINTERNET Watchは1月30日、「ヤフオク・ヘビーユーザー座談会」を共同で開催した。Yahoo!オークション担当スタッフと一般ユーザーが参加。オークションを取り巻く現状や課題、活用法などについて、約2時間に渡って直接意見を交わした。また、匿名オークションや携帯電話を利用した取引など、派生サービスの利用実態についても意見を募った。

 会場となったのは東京・六本木ヒルズ内にあるヤフー本社の会議室。INTERNET WatchのWebサイトを通じて事前に募集した9名のヘビーユーザー(当日欠席者1名)と、ヤフーのオークション担当スタッフ10数名が集まった。なお運営スタッフ側、一般ユーザー側とも本名を伏せ、ハンドルネームで参加。率直な意見を発言できるよう、配慮した。また座談会の進行はINTERNET Watchの編集者が担当した。


ハードルが高い初めての出品~どうしたら出品しやすくなる?

ヤフーのスタッフ、ユーザーともそれぞれハンドルネームで参加。率直な意見を交わした
 座談会に出席したユーザーは、いずれも取引件数が50回以上におよぶユーザー。出品・落札合わせて約1,000回の取引をこなしたユーザーをはじめ、NIFTY SERVEの掲示板や個人情報誌「じゃマール」、ニュースグループなど各種の手法を駆使し、Yahoo!オークション開始以前から個人間取引に取り組んでいる方も多かった。

 ほとんどの出席者は出品(販売側)経験があるものの、出品を一切せず落札(購入側)だけ行なうというユーザーもいた。「落札は基本的にお金を払い込むだけだが、出品は相手に売り渡す以上、品質を担保する必要がある。出品できればいいとは思うが、この(心理的な)ハードルは高い」と“販売する責任”の重さを理由に挙げる。

 数々の出品経験があるユーザーにとっても、出品には緊張がともなう。例えば商品のキズだ。ある出席者は「キズの有無は事前申告しているが、落札したユーザーが商品を実際に見てから『どうしても許せないキズだった』と言われることもある」と話す。そのため、現実のキズの程度よりも厳しめの自己評価を前もって申告しているという。別の出席者からは商品を説明するための写真を大きく撮るなどの工夫をしつつも「写真に写っていないキズもある可能性があるので、気になる方は入札をご遠慮ください」と一言添える対処法などを示した。

 出品未経験者へのメッセージとして、他の出席者からは「出品すれば、また落札できます」「部屋が広くなる」「買ったときよりも高く売れたときは嬉しい」などの声が聞かれたが、極めつけは「むしろ物欲がなくなる」。「欲しいときに落札して、いらなくなれば出品する。“循環型”の生活だ」との話に頷く出席者も多かった。

 なお、複数の出席者から、出品作業時のさまざまなオプション指定を保存できるようにしてほしいという要望があった。販売や発送の方法、早期終了の有無といった指定は個人ごとにほぼ定型化しているものの、出品のたびにシステム上の規定値に初期化されてしまう。出品回数の多い出席者ほど切実な悩みであるようだ。


出品ページ作成のテンプレート提供を求める声も

 出品を躊躇するもう1つの理由として、座談会中で挙げられたのが、商品説明レベルのスタンダードがわかりづらい点。商品説明をわかりやすいものにしようと画像にレタッチをかけたり、関連URLを提示するなどさまざまな手間をかけるユーザーがいる一方、携帯電話で撮影した小さな画像1枚だけで出品するユーザーもいる。どの程度の力をかけるべきか、出品未経験者にはわかりづらいという意見だ。

 ヘビーユーザーにとっても、わかりやすい商品説明はある種のハードルになっている。簡易撮影セットを使って出品用の説明写真を撮るという出席者からは「写真の見栄えは入札の有無に直接影響する」と話して重要性を認めつつも、写真撮影に要する労力には“気合い”のようなものが必要だと話す。そのほか「わかりやすい商品説明のためには、どうしてもHTMLタグなどの知識やパソコンが必要になる。携帯電話からの出品では技術的制約が多いのは否めない」との声が聞かれた。

 画像だけでなく、説明文も重要なファクターだ。Yahoo!オークションでは出品時に発送方法や特記事項など文章で併記できるが、単に文字列を入力しただけでは改行もされず、非常に読みにくいことが知られている。そのため一部の出品者は、HTMLタグで記述されたわかりやすい表を独自に用意したり、オークションに特化したテンプレート作成代行サービスを利用している。

 また、最大手SNS「mixi」にある「あげますコミュ」の事例が紹介された。不要な商品を売買するのではなく、無償で進呈しあうという参加承認制のコミュニティで登録者も多く、今まさに引き取りにきてほしいなどの声が寄せられているという。あげますコミュに言及したユーザーは「オークション出品の煩雑さを嫌うユーザーが多数利用しているのではないか」と分析している。

 これら出品にともなうハードルの緩和策として「説明文などをあらかじめヤフー側でテンプレート化してはどうか」との声も上がった。例えば洋服を出品する場合、何年前に購入したか、糸のほつれはあるか、シミがないかなど、定型的なチェック項目をシステム上用意しておき、出品時にメニューなどから選ぶだけで基礎的な商品説明が完了するような形式だ。

 これらのチェック項目を検索の絞り込み条件に設定できれば入札者にとっても便利だ、という意見が多数聞かれた。また「高額商品ではキズの有無などに関するトラブルが発生しやすいため、必須とすべき特記事項を加えては」との意見も寄せられた。


出品アイテム検索機能への意見集まる

検索機能については多数の意見が寄せられた
 では、入札の利用実態はどうなのだろうか。入札金額の上限についてはまさに十人十色で、2万円以上は入札しないという出席者もいれば、絶版の時計を50万円で入札したことのあるユーザーもいた。出席者の知人では、万が一の詐欺発生時に被害額を一部補償してくれる「Yahoo!オークション補償」で対象となるのが落札価格5,000円以上の取引であることから、5,000円未満の商品の方がむしろ落札に慎重になるというユーザーもいるという。

 オークションのウォッチリストに登録された取引が終了する15分前になるとメールで知らせてくれるリマインダー機能については、「非常に要望が多かったことから実装した」が、出席者の間ではあまり活用されていなかった。ただし、出席者は評価が100を超えるベテランユーザー揃い。だいたいの価格の相場も検索などを使って把握し、ここまでならと上限を決めて自動入札するという利用方法が多いという。また、どうしても落としたいものの場合は、万が一に備えて、PCの前で流れを見ているとの声もあった。そこまで入札に慣れていない初心者ユーザーの場合、リマインダーが有効に活用されている可能性はあるだろう。

 そのほか出品アイテムの検索機能について、出品ページの全文検索機能が欲しいという要望があった。現在、Yahoo!オークションのトップページにある検索フォームからは、取引カテゴリとタイトルのみ検索対象にできる。商品説明文も検索したい場合は、各カテゴリのトップページにある検索フォームを利用しなければできない、という指摘だ。

 また、出品者の地域を都道府県で指定した絞り込み検索はすでにできるが、送料などの関係から「関東」や「近畿」など地域指定で検索したいという意見もあった。ほかに、ショッピングポータル「Yahoo!ショッピング」と一括して検索できれば相場を調べる手間が減り、オークションになければショッピングで購入することも可能なので、オークション入札者にもYahoo!ショッピング出店者にもメリットがあるのではないかという提案もあった。

 オークションで落札する商品の新品・中古の割合については「出品物に問題がなければ新品・中古を問わず入札する」との意見が大半を占めた。ただし、稀少品・格安品・限定品などを求めてオークションを利用することから、結果的には中古品を多く落札しているという人が多かった。また、新品を購入するなら、サポートも安心できる大手販売店などのWeb通販を利用するという利用者もいた。


利用者から見たオークションストア~個人には高額なシステム利用料

オークションストアだけを検索するか、それ以外を検索するかの指定は可能だ
 Yahoo!オークションでは「Yahoo!オークションストア」というシステムも盛り込まれている。Yahoo! JAPANが定める参加基準を満たした法人あるいは個人事業者による出品制度のことで、一般ユーザーによる出品物と同時に検索できる。また法人による販売のため、一般的な通販サイトと同列に捉えることもできる。

 しかし、今回の出席者からはオークションストアをあまり重視していない傾向が伺えた。「割高感がある」「消費税がかかる」「取引の詳細を見ると価格操作が疑われる怪しいストアも中にはあり、ストアだからという信頼感はない」といったことが理由だという。

 また、オークションストアとして出店する企業は、別サービスであるYahoo!ショッピングにも出店していたり、自前のショッピングサイトを構築しているケースも多い。ストア出品ページから独自のショッピングサイトへの誘導は禁じられているものの、検索すればすぐ発見できるので、そのストアで買うのであれば、決済方法やポイントの有無など条件を見比べて、そちらを利用する場合もあるという。

 また、2006年12月に発生したオークションストア「家電ドットコム」の落札物未発送被害が発生したことで、イメージ悪化を指摘する声もあった。総じて、ストア出品については、入札する側からは、ストアだから入札したいと思うようなメリットが感じられないとの声が多かった。

 ちなみに、個人ユーザーでも出品物が多い場合は、オークションストアとして出店するという選択肢もある。通常5%の落札システム利用料が3%になるというメリットがあるため、出席者の中にも実際にストア出店を検討した人がいた。しかし、高額な月額システム利用料(月額18,900円)のため断念したという。「出品可能数に制限を設けるなどした、ライトプラン的なものがあれば……」と要望している。


(つづく――明日の後編では、携帯電話からの利用や、悪質な利用者への対処、評価などをテーマに出席者から寄せられた意見をご紹介します。)


関連情報

URL
  Yahoo!オークション
  http://auctions.yahoo.co.jp/
  「ヤフオク・ヘビーユーザー座談会」募集概要(募集は終了しました)
  https://cgi1.watch.impress.co.jp/docs/internet/yahooauction/index.htm

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( 森田秀一 )
2007/02/20 11:29

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