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「ヤフオク・ヘビーユーザー座談会」レポート(後編)


 Yahoo!オークションのスタッフと一般ユーザーが出席して開催された「ヤフオク・ヘビーユーザー座談会」。昨日掲載した前編に引き続き、今回の後編では、携帯電話からの利用や、悪質な利用者への対処、評価などをテーマに出席者から寄せられた意見を紹介する。


匿名で取引可能なオークションサービス

ヤフーのスタッフ、ユーザー合わせて20名近い出席者が意見を交換した
 2006年に楽天が、オークション新サービスとして開始して、話題になったのが、出品者と落札者、双方が匿名のまま取引可能な“匿名エスクロー”サービスだ。「楽天オークション(楽オク)」は、2006年11月から日本郵政公社提供の「あて名変換サービス」を利用することで出品者・落札者がお互いの個人情報を知らせずに商品をやりとりできるサービスを開始している。

 個人情報の重要性が叫ばれる時代だけに匿名のメリットは大きい。出席者からも「オークション詐欺にあった身からすれば、ぜひ利用したい」「女性には便利なサービスだと思う」という声が上がった。特に一人暮らしの女性の場合は、電話番号や住所、氏名を明かすのには抵抗もあり、切実なニーズがあるようだ。

 実際に楽オクを利用した出席者によると、落札確定後の手続きが比較的自動化されており、スムーズなのも特徴という。Yahoo!オークションでは、落札後の出品者・入札者間の連絡手段は基本的にメールのみ。送付先住所や振込口座、配送日時の指定などを相手の都合に合わせて毎回書き起こさねばならない。取引数が多いユーザーほど作業負担がかかるため、これらの伝達が自動化されればという切実な声もあった。

 一方、楽オクにおいては自動化ゆえの便利さをデメリットにする意見もある。「通常のオークションサービスでは、同時期に同じ出品者から複数の商品を落札した場合、別途連絡することで発送物を1つにまとめて送料を安くしたり、落札者の希望を聞いてなるべく安価な方法で発送するなどが可能だが、あて名変換サービス利用が前提のため、こうしたフレキシブルな対応ができない」という。

 ある出席者の「自分個人としては、相手からの信頼を得るために、自分の情報をさらけ出すことに抵抗はない。ただし、そうした要望があるのは理解できるし、匿名取引機能が選択制のオプションとして用意されるのであれば、都合のいい方法が選択できるのでいちばん良いと思う」という意見には、ほかの出席者も概ね賛同していた。

 なお個人間の取引サービスとしては、通販サイト大手のAmazonによる「Amazonマーケットプレイス」もある。座談会出席者の中で出品したユーザーも多かったが「梱包方法の指定が厳格で面倒」「終了日というが定められていないため、売れるまで時間がかかる場合がある」などの意見が多かった。対して入札者側からは「新品と一緒に検索できる」「カード決済ができて便利」など一定の利便性を評価していた。


携帯電話ユーザー増加の影響

携帯電話からの利用者が増加しているという
 Yahoo!オークションは携帯電話からの利用にも対応している。入札期限間際の値動きチェックなどに活用する出席者も、少なからずいた。

 また携帯電話からの出品もできる。出品手数料無料キャンペーンなども行なわれているが、入札数などに影響を与えるとされる写真の処理に自由度がないことを懸念する声が多数を占め、「携帯電話を使った出品物への入札はしない」とする発言すら聞かれた。なおオークション担当スタッフによれば、携帯電話で出品手続きを行なった後、パソコンから写真を追加することは可能だという。

 座談会出席者からは、携帯電話を利用するユーザーに対して若干の戸惑いが伺えた。「連絡メールが全文切れずに送られているか不安」「連絡メールを夜間に送ってもいいのか心配」「携帯電話からメールを送る人は『すぐに返信がくるはずだ』と思っているようだが、パソコン環境ではそれに答えられない場合もある」などが代表的な声だ。

 また、優れた見栄えの写真、丁寧な説明文などを仕上げた努力が、携帯電話の小さな画面では伝わらず、結果として相手からの評価を得られない可能性を心配する意見もある。なお、「モバオク」や「auオークション」といった、他の携帯電話向けオークションを利用している人も今座談会では少なかった。

 一方で、携帯電話を徹底活用するユーザー層がいるのもまた事実だ。「携帯電話を複数台所有し、パケット定額サービスに加入してオークションをやる知人もいる。そこまでするのであればパソコンを利用した方がリーズナブルとも思うが、もともとその発想がないようだ」と語り、パソコンと携帯電話のカルチャーの差を厳然と感じている出席者もいた。

 座談会では「携帯電話利用者の増加で入札参加者が増えること自体は良いこと」としながらも、携帯電話利用者だけを対象としたオークションも場合によっては必要だとの意見が上がっている。


“悪質な入札者”への不満も

期間限定の入札無料キャンペーンが実施中。モラルの低い入札者を呼び込むとの懸念も示された
 座談会に参加したユーザーからは、希望入札価格と落札キャンセル時の繰り上げ処理を悪用したと思われる事例について、不満の声が上がった。例えば希望入札価格10,000円の商品が1,000円の価格でスタートしたとする。1,000円で1度入札されたあと、即座に10,000円の値が入札されると取引は早期終了する。そして10,000円で入札したユーザーが落札をキャンセルしてしまうと、圧倒的に安値な1,000円で入札した補欠落札者に落札権が移転してしまい、結果的に希望入札価格が意味をなさなくなってしまう。この事例を紹介した出席者からは、入札者同士が共謀している可能性も指摘された。

 この行為が悪質なものと出品者が察知した場合、オークションをキャンセルすることは可能だ。ただしそのためには取消手数料525円が必要なほか、再出品時には改めて手数料が必要となる。「出品者に落ち度はないはずだが『結果的に儲かっているのはヤフーだけ』という話にもなる」と、出席者からはシステムに対する不満も出た。

 この問題への対処として、早期終了後も落札者がキャンセルした場合はオークションを再開させる、あるいは繰り上げを義務とせずに、出品者の手数料などの金銭負担なく取引を一度終了させてはどうかとする提案もあった。

 このほか、コンサートのチケットのように鮮度が重要視されるオークションで、落札者とスムーズに連絡が取れず苦慮した経験のある出席者もいた。

 これらの意見からわかるのは、出品者だけではなく入札者にも一定の質が求められていることだ。Yahoo!オークションでは2007年6月20日正午まで、月額294円のYahoo!プレミアム会員費を支払うことなく入札できるキャンペーンを実施中だ。キャンペーン期間中は、Yahoo! JAPANのメールアドレスを取得するだけで入札でき、入札するための敷居は限りなく低い。その気軽さゆえにモラルの低い一部入札者が増加したのでは、と分析する出席者は多かった。

 こうした声に対して、ヤフオク担当スタッフは、「このキャンペーンは入札者を増やすことで、落札価格が上昇するなどの効果により出品を増やすことを狙ったもの。入札者の意識に関する意見はいただいているので、真摯に対応していきたい。期限を決めたキャンペーンなので、終了後についてはキャンペーンの結果をもとに検討する」と回答している。


「評価しないで」の要望にどう答える?

積算されていく評価は、ユーザーの趣味・嗜好を浮き彫りにする
 このほかにも出席者の多くから「取引相手から“評価”をつけないでほしい」と要望されるケースが増加しているとの声が寄せられた。ここでいう評価とは、取引満足度について落札者と出品者の双方が採点しあうシステムのことで、数値として積算されていくのが特徴だ。

 出席者からは、「評価は100もあれば、取引上は十分。また何年も前の評価よりも、直近の1年から数年程度の評価を残しておけば、すべての評価を蓄積する必要はないのではないか」との意見も出た。今後サービスが継続していけば数十年といったスパンで利用するユーザーも出てくる。そうした中で、例えば10年以上も前の評価ポイントが取引の参考になるのか、という疑問だ。

 また、評価は、取引商品の履歴を公開する側面もある。取引回数が増えていくと、買った商品によってユーザーの趣味・嗜好が透けて見えてしまう。それを嫌って評価を拒否する声が、オークション参加者全体で広まっているようだ。座談会出席者からも「難しいとは思うが、何を取引したかわからないような仕様にはならないか」という要望も出た。

 しかし、評価や履歴は、稀少なイベントチケットを転売目的で出品する“チケットゲッター”を判別できるといった効能もあり、ユーザーの希望も参照できる方が良いとする意見も出ており、それぞれの利用方法により判断も分かれる点のようだ。

 また、出品者のIDをのっとった詐欺取引へ代金を振り込んでしまったユーザーからは「(チケットゲッターの是非を含め)どの問題も最終的にはオークション参加者全員の適性をどう判別するかにかかってくる」とコメント。ID発行の厳格化はもちろん、ワンタイムパスワード制度など、本人認証の徹底を訴えていた。


関連情報

URL
  Yahoo!オークション
  http://auctions.yahoo.co.jp/
  「ヤフオク・ヘビーユーザー座談会」募集概要(募集は終了しました)
  https://cgi1.watch.impress.co.jp/docs/internet/yahooauction/index.htm

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( 森田秀一 )
2007/02/21 11:09

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