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ニコ動「時報広告」の販売戦略と、ニコ割「時報」声の主の裏話

ニワンゴと共同で媒体管理・企画・制作を行なうCELLに聞く

 ニワンゴが運営する動画コミュニティ「ニコニコ動画(SP1)」は、2008年3月に「時報広告」の販売を開始した。ユーザーが動画を視聴している最中に、それを中断し、広告を表示させるものだ。

 6月9日には、時報広告の新商品「ニコ割フル」「ニコ割Jr.」の販売も開始した。ニコ割フルでは、動画視聴画面全体に広告を配信する。ニコ割Jr.では、ニコニコ動画視聴画面上部の「ニワニュース情報局」欄にテキストによる情報を掲出し、動画再生を停止せずに配信する。

 時報広告を開始した経緯や現在の状況などを、ドワンゴのニコニコ事業本部事業推進部担当部長兼広告セクションマネージャーの岡村裕之氏と、時報広告を企画・制作するCELLの横澤大輔代表取締役会長に伺った。あわせて、ニコニコ動画(RC2)から開始された「ニコ割」で、「時報」の声を担当する女性(名前は非公開につき、ここでは「時報さん」)に裏話を伺った。


時報広告でユーザーに申し訳ないと思ったことはない

ドワンゴのニコニコ事業本部事業推進部担当部長兼広告セクションマネージャーの岡村裕之氏
──そもそもニコ割で時報をしようと思ったきっかけを教えて下さい。

横澤氏:ニコニコ動画では、同一の共有体験をしてもらいたいと考えていて、視聴中に割り込んで何かできないかというのが根本的にありました。

──それで時報を?

横澤氏:最初は「尋ね人」企画を考えていました。ニコニコ動画で有名な人たちをピックアップして、フィーチャーしてあげられるような企画です。どうやってその人たちを紹介しようか考えたとき、トップページや掲示板を使うのもあれだし……ということで、動画を止めてナレーションを臨時ニュースみたいに入れたら面白いだろうと発想しました。そこから時報になりました。

──尋ね人の企画を見ると、当初は1時間ごとに割り込んでいたようですね。

横澤氏:やりすぎても駄目なので1日3回にしました。

──時報の時間を午後7時、0時、午前2時にしたのは?

岡村氏:エコノミーモードの開始時間と終了時間、日付が変わる時間にしました。今はID制限はないですが、昔は午後7時から午前2時の間は、ID番号の遅い方は見られませんでした。サーバー増強が間に合ってなかった頃は、解放制限をしていたので、その時の名残りですね。加えて、今は午前5時にも流しています。

──時報開始後のユーザーの反応を見てどう思いましたか。

横澤氏:予想していた反応でした。というもの、適度な迷惑を与えないと、トラウマにならないかなと思ったんです。トラウマにすることによって、伝えたいことを深層心理に焼き付けたいと思いました。

──そういった意味では新しい手法ですね。

横澤氏:ニコ割では、動画を止めて30万人くらいにリーチできます。同一時間に出るバナーというWeb的な機能と、音声を使えるというラジオ的な要素、時間を指定して強制的に見せるテレビ的な要素、これらを併せ持ったメディアミックスを実現できる新しい広告メディアになったと思います。

──ニコ割の導入当初から時報の広告化は考えていたのでしょうか。

岡村氏:もともとニコ割で考えていたのは、ラジオの時報の広告だったり、テレビドラマが終わった後に流れる5分くらいの提供が入ったミニ番組をイメージしていたので、広告にしていくことは当初から考えていました。ゆくゆくは提供が入ったら良いという思いから、まずは単発で始めました。

──3月に広告枠の販売を開始してからの、問い合わせやクライアントの状況は?

岡村氏:業種の異なる複数社に入っていただいています。今までのインターネット広告はクリック数などの数値がはっきり出るものでしたが、時報広告に関しては、そういった商品とは違うので、ユーザーの反響などを広告主さんもある意味いちユーザーとして楽しんでもらっている感覚があります。

──具体的にはどのような広告が入っていますか。

岡村氏:既に入ったもので言うと、フィギュアや映画、CDの発売。それ以外にも、大手メーカーや大手人材系の会社からも話は来ています。サイトの更新時間や商品の発売タイミングなど、他の広告商材よりも日時を意識した告知ができる点に興味を持たれて、お問い合わせをいただくことが多いです。


──ユーザーに迷惑がられていることについて、広告主はどう考えているのでしょうか。

横澤氏:迷惑がられることも含めて武器に使ってもらうという考えです。

岡村氏:代理店向けの説明会でもお話しするのですが、「この商品はユーザーと一緒にウザさを楽しむ広告です」と言っています。「ウザイ」とコメントされることもありますが、あれほど濃密にユーザーと接する場所はそんなにないと思います。

──0時枠の1本84万円〜の価格設定の根拠を教えて下さい。

岡村氏:今までなかった広告商品なので、時間帯によって一定の価格を提示することで、試しやすくしました。

──今後の販売目標についてお聞かせください。

横澤氏:全く新しい広告商品なので、理解してもらえるのに時間がかかるとは思っています。効果的な時報広告を試している段階でもあるので、そういったことをわかってくれるクライアント様とともに、新しいメディアを作っていく段階です。目標はありますが、公表はできません。

岡村氏:時報広告は黎明期なので、営業をしていても、先方は興味と恐る恐るが半々の状態。とはいえ、すでに出稿されている方やリピートして下さる方もいらっしゃるので、そういったところを1件ずつ増やしていきたいです。とりあえずの目標としては、例えば、一定期間を帯で買っていただいたりとか、安定して購入してもいいと言ってもらえる段階まで持っていきたいです。

横澤氏:使い方はさまざまにあると思っています。時報広告は、決めた時間に強制的に入るところが強みです。音声と絵と時間の3つを使って訴求できる新しいサービスだと考えます。例えば、某電話会社さんだったら、今から通話料が安い時間帯に入りますよという告知を一気にリーチできます。

──最後にアピールポイントを挙げるとすれば。

岡村氏:ニコニコ動画は、どこのメディアよりもユーザーと最も近いところでやっているサイトです。プロモーションは、ユーザーがどう反応するのかもわかった方がいいわけで、そういった意味ではプロモーションしやすい場ですね。今までのプロモーションとは考え方を少し変えていただく必要はありますが、やっていただいて損のないメディアではあると思います。ぜひ試していただきたいです。

──動画を楽しんでいるユーザーに対しては、中断してしまうので申し訳ないところですよね。

横澤氏:申し訳ないとは一切思っていないですね。

岡村氏:逆にコンテンツの1つとして捉えているし、コンテンツに捉えられるような広告展開を心がけています。儲けを優先して一方的にやっていくのであれば、申し訳ないと思うかもしれないですが、面白いコンテンツの1つとしてやっているので、そういう気持ちになったことはないです。


ニコ割のコンセプトは“共有体験”

CELLの横澤大輔代表取締役会長
──ニコニコ動画のコンテンツは以前からCELLが制作していたのですか。

横澤氏:ドワンゴさんとは、「いろメロミックス」の立ち上げから一緒に携帯電話向けのコンテンツを作ってきました。ニコニコ動画については、削除動画から多く関わるようになりました。

──時報の声の人を選んだ理由は?

横澤氏:まず、女性で声が綺麗な人。社内で作ることになったので、時間的に自由が効く人で探していたところ、今の人に決まりました。外に頼むといろいろと時間がかかるので、近場にいる人にお願いしたんです。彼女はもともと声楽もしていたようです。最初は、削除動画のナレーションをやってもらっていて、その流れでニコ割もお願いしました。

──制作はすべて自社で行なっているのですか。

横澤氏:公共コメント委員会では、「荒しをなくそう」という趣旨のミニドラマをしていますが、最初は私も含め、社員が交代で声優をしていました。

──最初は素人っぽさが逆に印象に残りました。

横澤氏:真面目にやると駄目かなと思いました。あえて素人っぽい感じというか。ラジオで聞くような提供ナレーションをイメージしました。

──収録も自社で?

横澤氏:社内のスタジオで録っています。着ボイスなどの携帯電話コンテンツを作っているので、それと同じスタジオで録っています。

──収録はどのような感じで行なっているのですか。

横澤氏:時報の人には、いつも企画の詳しい内容を伝えないで、原稿だけ渡しているんですよ。本人は何が行なわれているのか理解していないのかも。逆に理解させるとあれなので……(笑)。

──ダメ出しなども?

横澤氏:しますね。ナレーションの時は声のトーンが毎回同じになるように言っています。前回収録したものを聞いて合わせています。あと、バカバカしい文章を真面目に言わなきゃいけないときがあるので、そこで笑ってしまうと、何テイクか録り直すときがあります。

──ヘビーユーザーにとって、時報は煙たがられていると思いますが。

横澤氏:逆にありがたいですね。「ウザイ」というのが時報のキーワードになっているじゃないですか。ウザかったら、それをコメントで書き込まなくてもいいのだけれど、0時の時報が終わった時、ユーザーは1位の動画に「時報ウザイ」と書き込みにいく。さらに、それを見にくるユーザーもいる。そういった意味では1つの文化が出来ていますね。

──年末やエイプリルフールに時報で特別企画をされていますが、あれはどういった考えから?

横澤氏:基本的には、驚いてもらえることを考えています。

──企画は入念にされているのでしょうか。

横澤氏:そうですね。企画書はけっこう書いてます。ニコニコ動画で何かする際のコンセプトとしては、“共有体験”をしてもらうこと。ユーザーの普段の会話の中で「昨日ニコニコ見た?」と言ってもらえるような企画を目指しています。世間的なイベント日もそうですが、ニコニコ動画の記念日にも毎回何かしようと考えています。


時報へのコメントは怖くて見られない

時報さんの姿は非公開。「個人的には、時報は人間ではない設定。」(横澤氏)
──普段は何をされている方ですか。

時報さん:CELLの社員として働いています。

──時報の声を担当することになった経緯は?

時報さん:横澤が(ニコ割の)企画をしていて、声をかけられました。最初は、ちょっとだけだと思っていたので軽い気持ちで引き受けました。去年の7月末だったと思います。

──時報の声を担当することになり、最初はどう思いましたか。

時報さん:時報というものが、どういう風に流れるのかわからなかったので、とりあえず録った感じです。

──時報の収録で気を付けていることなどはありますか。

時報さん:もともとの声が高めなので、女王様のような感じで言ってみるようにと、収録担当の方から言われました。

──ご自分では何時の時報が一番良い出来だと思いますか。

時報さん:午前0時ですね。響きが良いので。

──収録の前は、喉を気遣ったり、発声練習などしているのですか。

時報さん:全くしていません。急いで収録現場に行って録っている感じです。スタジオに入って、紙を渡されて、「これ読んで」「はい」みたいな感じです。

──何テイクも録り直しすることは?

時報さん:原稿が面白いと、笑ってツボに入って言えないことがあります。

──ニコニコ動画で個人的に好きな作品はありますか。

時報さん:ねこ鍋が好きです。可愛いですよね。

──周りでニコニコ動画を見ている人はいますか。

時報さん:IT関係じゃない友達でも見ていますね。

──自分が時報の声をしているとは?

時報さん:一切言っていないです。でもこの前バレそうになりました。中学生の時の同級生に「声が似てるんだけど、違う?」と言われましたが、「違います」と(笑)。

──時報に対する反応も動画にコメントされますが、見たことはありますか。

時報さん:同僚から時報へのコメントが上がっていることは聞くんですけど、見るのが怖くて……。読むと動揺して今までの声が出せなくなりそうな感じがするので、見ていないです。時報の流れる時間帯は、ニコニコ動画を見ないようにしています。

──時報以外で声を担当しているものはありますか。

時報さん:初代のニコニコ市場のナレーションと、0時の時報の後に流れている公共コメント委員会で子役などをしました。

──恥ずかしかったセリフはありますか。

時報さん:子役や女子高生、萌え系の擬音は恥ずかしかったです。「はきゅーん」とか……。

──今後もニコニコ動画でいろいろな声を担当されるのですか。

時報さん:ナレーションとかをやらせていただけるのであれば、頑張りたいです。本業が第一なのですが、スケジュールが合えばやらせていただくという感じで、続けていきたいと思います。

──ありがとうございました。


収録スタジオ 時報収録風景

関連情報

URL
  ニコニコ動画(SP1)
  http://www.nicovideo.jp/

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( 野津 誠 )
2008/06/13 11:12

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