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Q&AをWeb検索と同じくらいメジャーにしたい、OKWaveとMSに聞く

「OKWave」「MSN相談箱」にマルチメディア機能追加

オウケイウェイヴの兼元謙任代表取締役社長(左)、マイクロソフトのコンシューマー&オンラインマーケティング統括本部・業務執行役員の浅川秀治氏(右)
 Q&Aサイト「OKWave」は、質問や回答に、画像・動画・音声を添付できるマルチメディア機能を追加した。同時に、OKWaveが提携するマイクロソフトの「MSN相談箱」でもマルチメディア機能が利用可能になったほか、OKWaveと連携する90以上のパートナーサイトについても年内にマルチメディアQ&Aサービスの提供を開始する。

 マルチメディア機能を追加した経緯やコンセプト、今後の展開などについて、「OKWave」を運営するオウケイウェイヴの兼元謙任代表取締役社長、および「MSN相談箱」を運営するマイクロソフトのコンシューマー&オンラインマーケティング統括本部・業務執行役員の浅川秀治氏、同サーチグループ・プロダクトマネージャーの柏木淳氏に話を伺った。


最終的にはあらゆる方法でQ&Aできる環境を目指す

――マルチメディア機能を追加した経緯は

兼元氏:以前から、「回答を書く時に文章だけで説明するのが難しい」というご意見や、あるいは、OKWaveでは質問・回答とも400文字という文字数制限があるのですが、「400文字以内の文章でまとめるのが難しい」といったご意見をいただいていました。

 そうした利用者のニーズに加えて、マイクロソフトさんからのご提案もあり、一緒にアイディアを出し合って、マルチメディアQ&Aサービスの提供にこぎ着けました。

――サービス開始当初からそうした声はあったのでしょうか

兼元氏:いえ、そもそもQ&Aサービスを始めた当初は、同種のサービスがまったくなかったので、こうしたサービスに慣れていただくまで数年かかりました。

 当時は、掲示板サービスなど不特定多数の方が書き込めるサービスは、質問と回答に分けるというような必要もなく、思いついたことをどんどん書いていくものしかありませんでした。ですから、質問と回答をきちんと分けて書くということ自体がユーザーにとってフラストレーションに感じられたと思います。マルチメディアまで考えられるような状況ではなかったんです。質問と回答を、明示的に分けて書く、ということをユーザーの方に理解していただくのに3年くらいかかりました。

 そうして運営を続けていくうちに、Web 2.0時代と呼ばれるようになり、クラウドソーシングなど新しい言葉やサービスも生まれて、質問・回答コミュニティ、あるいはQ&Aサービスと言えばどんなサービスか、みなさんにわかっていただけるほど浸透しました。

 動画や画像共有サービスも普及しました。こうした条件が揃って、さきほどのような利用者の方の要望が挙がるようになりました。システム的にも回線やハードなどコストも含め、最近になってようやくマルチメディア対応ができるようになりました。以前から、そういう機能もあった方が良いとは思っていたので、実現できて嬉しいですね。

――動画などを扱うことによるシステムへの負荷やコスト面での対策は

兼元氏:まず、ユーザーの利便性を考えて、アップロードできるファイルは多くの形式に対応するようにしました。ユーザー側でこの動画はこのフォーマットだから上げられるとか上げられないとか、そうした障壁をできるだけ取り除きたかったのです。ですから、3GPやMP4などの携帯電話で利用されているフォーマットを始め、ほとんどのフォーマットをアップロードできるようにしました。アップロードしたファイルは、サーバー側で変換して、動画であればFlashフォーマットで管理します。

 システム的な負荷については、アップロードできるファイルサイズに制限を設けました。ただし、1ユーザーあたりのアップロード上限などは設けていません。


あらゆる方法でQ&Aサービスを利用できるようにし、もっと簡単で身近なサービスにしたいと語る兼元氏
――著作権への対応は

兼元氏:内容のチェックはもちろん常にしています。ただし、どこから引用されたか、また引用なのかオリジナルなのかという判断が微妙な場合もあります。テキストについてはJASRACと協力していますが、動画や音声などについては、今後いろいろ詰めていく部分があると思います。YouTubeなどの事例も参考にしながら進めていきます。

――マルチメディア機能を使うユーザー数の見込みは

兼元氏:マルチメディア機能についてこれから啓蒙していくことになりますが、今後1年くらいでOKWave全ユーザーのうち10~20%がマルチメディア機能を利用すると考えています。

――企業向けサービスでもマルチメディア機能に対応しますか

兼元氏:これについてはすでに進めています。自社の製品サポートで使い方などを回答する場合は、動画の方が良いことも多いんです。従来から画像表示は可能でしたが、動画の要望もいただいていたので、いくつかのクライアントと話を進めています。また、ユーザー向けではなく社内向けのコンテンツとして、自社の熟練技術者の技術やノウハウを動画で残したいというご要望もいただいています。

――携帯電話やFAXなど、PC以外でのQ&Aサービスの利用は

兼元氏:携帯電話については、やはりGPSによる位置情報という要素が活用できるようにしたいと思っています。現在も携帯電話からOKWaveを利用することはできますし、こんな長い文章を、と思うような長文の投稿も、本当に悩んでいる人は携帯電話からでも書かれるんですね。ただ、携帯電話の文化はPCとは違うものとして、今後切り分けをすることも重要かもしれないと考えています。

 FAXについては、技術的には難しくないのですが、コストとの兼ね合いがあります。FAXを使うと、電話回線を利用するため通信料が発生します。それをどう吸収しつつ、ユーザーにメリットを提供するのか。ビジネスロジックの組み立て方を考える必要があります。

 電話から質問する機能は、企業からスポンサードをいただいていて、PCメーカーやソフトメーカーのサポート用途などで、ユーザーの方から電話で質問を入れてもらえるようにしています。

 FAXなど、PCや携帯電話などのインターネットへの接続機能を持たない機器からの利用は、ユーザーが望んでいることだと思っています。何からでも質問できる環境は必要です。最終的には、隣の人に尋ねるようなノリで、簡単に、どんな方法でも質問できるようにしたいと思っています。それがWeb検索の補完にもなると信じています。

――マイクロソフトの次世代検索・知識検索についてOKWaveとしての考えは

兼元氏:ビル・ゲイツ氏もおっしゃっているように、検索はアンサーだと思っています。良いアンサーを出す手段の1つが人の知識。人が持つ知識をどう出してもらうかは、とても重要なところですが、経験や勘を引き出すトリガーがQだと思います。検索ワードと、Qは遠くない存在だと考えています。





Q&Aサービスの実用性を増すためにマルチメディア機能を追加

次世代検索実現のために今後もOKWaveと協力してQ&Aサービスを広めたいと語る浅川氏
――MSN相談箱についてお聞きしたいのですが、まず、リニューアル後の状況は

柏木氏:残念ながらユーザー数については現在非公開なので、具体的な数字はここで言えないのですが、6月にリニューアルしてから、何倍とかいうレベルではなく、桁がひとつ違うくらい、利用者数が急激に増えました。今回のマルチメディア対応でさらに増えることを見込んでいます。

――ユーザーの質問内容も変化しましたか

柏木氏:リニューアル前は、恋愛相談や人生相談など、どちらかというと漠然とした質問が多かったように思います。リニューアル後は、実生活の疑問点だったり、何かの使い方だったり、より具体的な質問がリニューアル前に比べて非常に多くなりました。

――マルチメディア機能については

浅川氏:「あったらいい」くらいの思いつきで始めた機能ではありません。Q&Aサービスは、恋愛相談などWeb検索ではわからないことに強いというイメージで、ビジネス用途などの実用性は薄いというイメージがあるようですが、これを、ビジネスなどでも実用的にもっと使ってもらえるための機能として考えた結果、マルチメディア対応になりました。当然、携帯電話にも展開できるものを考慮していますし、Live Searchの画像検索との連携などももちろん考えています。

――Live Searchとの連携強化については

柏木氏:MSN相談箱で検索すると、Q&Aの検索結果とLive SearchのWeb検索結果が同一画面上に出るようになりました。今後は、Live Search側でも検索結果にQ&Aの項目が入るよう、現在テストを行っています。

――ユーザビリティの向上については

柏木氏:OKWaveのデータベースには膨大な知識があるのですが、トップページ上の情報量が少ないと、ユーザーが簡単に興味のある情報へ行き着くことができません。もちろん、検索すればいいのですが、ふと見たときに自分の興味のある情報が表示されているようにしたかったので、MSN相談箱では、最新のQ&Aをカテゴリーごとに表示するようにしました。

 また、OKWaveの仕様にならって、仮登録のプロセスも変更しました。従来は、仮登録で届いたメールにあるリンクをクリックすると本登録が完了するという一般的な方法でしたが、今回から仮登録のプロセスをなくして、Webページだけで登録が完結するようにしました。

――今後の展開については

浅川氏:いろいろ考えているのですが、残念ながら、現段階ではお伝えできないことが多いんです(笑)。ただ、ひとつ言えるのは、Web検索に匹敵するくらい、Q&Aサービスをメジャーにしたいと考えています。わからないことがあれば検索するのと同じように、わからなければQ&Aサービスを使うという行動がもっと広まるようにしたいと思います。

――ありがとうございました


関連情報

URL
  OKWave
  http://okwave.jp/
  MSN相談箱
  http://questionbox.jp.msn.com/

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( 野津 誠 )
2008/11/20 17:10

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