趣味のインターネット地図ウォッチ
第131回:土地の“地盤しっかり度”を採点するAndroidアプリ「G-Banz」ほか
東日本大震災の発生以降、防災関連のスマートフォンアプリが続々とリリースされたが、その勢いは今もなお続いている。震災直後に高まった防災への意識を継続的なものにしていくためにも、日ごろからこのようなアプリをインストールして、いざという時に備えたいものだ。今回は、そんな防災関連アプリの中から、最近リリースされた注目のアプリを紹介しよう。
●土地の“地盤しっかり度”を採点するAndroidアプリ「G-Banz」
東日本大震災の発生以降、自分の住む土地の地盤が気になっている人も多いと思うが、そんな人の参考になりそうなのが、ヤフー株式会社が提供するアプリ「G-Banz」だ。Google Play(旧Android Market)から無料ダウンロード可能で、対応OSはAndroid 2.1~2.3.7。
G-Banzは土地の地盤を独自基準で採点するアプリだ。GPSで現在地を測位したり、地図上で判定したいエリアを指定したりすると、該当エリアの“地盤しっかり度”をポイントで示した上で、そのポイントが全国ランキングで何位かを表示する。結果はFacebookやTwitterなどで共有することも可能だ。エリアを指定する時の地図は、標準の地図のほか、航空写真や地形図、水域図、鉄道路線図など5種類が用意されている。
地盤しっかり度とは、地盤の状態を示す独自の指標で、得点が高いほど地盤がしっかりしており、軟弱地盤で起こる液状化や地盤沈下が起こりにくいという。採点のアルゴリズムは、日本の低地の大半が地盤の軟弱な「沖積低地」であることに着目して、次に挙げる4つの判定項目を用いている。
1)標高判定
標高が著しく低い場所はポイントが低く、そうでない場所は高くポイントを与える。
2)水面判定
海・河川・湖沼の近くで水面とほぼ標高が同じ場所は低く、そうでない場所は高くポイントを与える。
3)起伏判定
指定場所および東西南北方向に500m離れた周囲4地点の標高を比較して、その内訳によりポイントを計算する。指定場所が周囲よりも高いと加点、低いと減点となる。
4)地名判定
地名に地盤(地形)との関連性の高い漢字が含まれていた場合、その漢字によりポイントを計算する。強固地盤に関連した漢字ならば加点、軟弱地盤に関連した漢字ならば減点となる。
地盤しっかり度のスコア表示に加えて、「まあまあの点数です(^_^)」や「低めの点数です(;_;)」といった具合にコメントも表示するほか、4項目の判定の詳細結果についても表示する。
例えば標高判定・水面判定・起伏判定については、「周囲より標高が低い(高い)場所です」「平坦な場所です」といったコメントや、「河川が○m先にありますが、ここは水面とほぼ同じ高さの場所です」といったコメントが表示される。
さらに地名についても、例えば「地名の『郷』は、地盤がしっかりした土地に多い漢字です」といったコメントが表示される。地名判定の対象となる漢字とポイント配分については、全国町大字データについて調査した結果を反映しているという。地名判定とはつまり、これまでの土地の歴史を参考にしているわけで、標高などの数値データとはひと味違った情報と言える。
メニュー画面 | 標準地図 | 航空写真 |
地形図(都市部) | 地形図(山岳地) | 水域図 |
鉄道路線 | 東京駅周辺の判定結果 | 東京都庁周辺の判定結果 |
G-Banzはこれらさまざまな角度からその場所の地盤についての情報を知ることができるので、住まいやオフィスを選ぶ時の参考にもなるだろう。
ただし注意しなければならないのは、ヤフーでも説明しているように、G-Banzは実際の地盤調査の結果を表示するアプリではないということだ。
判定は前述の4つの基準によって行っており、自沈層や活断層の有無など、地盤判定に用いられることがあるその他の基準は採用していないとしている。正確な地盤強度については、公的機関や地盤調査会社などが提供する情報を確認するよう求めている。
また、地名判定については、現行バージョンでは最新の住所をそのまま判定対象としている。しかし、区画整理や自治体合併などで地名や行政区域が大きく変わり、古来からの土地の特性に由来する地名が消え、それらとは無関係な地名になっている地域もあるほか、そもそも地名の漢字だけでは地盤との関係性を断定できない場合もある。そのため、地名判定による加点/減点の比重は最大でも10%(±1000点)と、補正的な扱いとしている。ヤフーでは、時期は未定だが、旧住所データを参照するような改善も検討しているという。
◆G-Banz(Google Play)
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.yahoo.android.gbanz
◆アプリ紹介ページ(Yahoo!ラボ)
http://gbanz.yahoo-labs.jp/promo/
◆Tech Blogの該当記事(Yahoo!デベロッパーネットワーク)
http://techblog.yahoo.co.jp/lab/banz/
●全国の避難所や地震情報・気象警報がわかる「全国避難所ガイド」
個人にできる災害対策といえば、非常時の持ち出し品をまとめておいたり、家族との連絡方法を決めておいたりすることなどいろいろ挙げられるが、中でも大事なのは最寄りの避難所をあらかじめ確認しておくこと。ファーストメディア株式会社と一般財団法人日本気象協会が提供する「全国避難所ガイド」は、全国の自治体が定めた災害時の避難所や避難場所を収録するアプリで、昨年登場したiPhone版に続き、2月にAndroid版もリリースされた。Android 2.2以上に対応しており、Google Playから無料でダウンロード可能。
全国避難所ガイドは、地図データとしてGoogle マップを使っており、オンラインで利用するアプリだ。収録されている避難所・避難場所は10万件以上で、広域避難場所や地域避難場所、一時避難場所、津波避難場所、コンビニやファミレス、ガソリンスタンドなどの帰宅支援ステーション、医療機関、倉庫など幅広い避難所を収録している。これらのデータベースは随時更新されるという。
現在地から最も近い避難場所を検索して地図上に表示でき、検索半径は1km/5km/10km/15km/20km/25kmの6段階から選択可能。データ取得件数も25件/50件/75件/100件の4段階から選べる。また、検索した避難所への道順をルート案内する機能も搭載しており、デフォルトの交通手段を車と徒歩から選択できる。
現在地からの検索だけでなく、地域を指定して検索することも可能。地域指定の画面で都道府県名や市町村名を選択すると、都道府県の場合は県庁所在地、市町村の場合は市役所や役場の場所もメニューから選べるようになっており、県庁や市役所の位置をすばやく確認できる。
このほか、避難所を検索した地域で発表されている気象警報や注意報のほか、地震情報や台風情報、津波情報、火山情報なども確認できる。また、各電力会社の電力使用状況も表示される。電力使用状況はエリアごとに使用電力および供給電力、電力使用率などがわかりやすくリスト表示されており、リストをタップすると「Yahoo! JAPAN」の節電・停電ページの詳細情報を閲覧できる。
なお、iPhone版についてもバージョン2になってAndroid版と同じように気象庁から発表される防災情報が表示されるようになった。災害時に調べたい情報を効率よく探せるツールとしてインストールしておきたいアプリだ。iPhone版はiOS 4.0以上に対応しており、App Storeから無料でダウンロードできる。
「現在地から探す」とタップすると検索開始 | 学校などの避難所を表示 | 避難所の詳細情報 |
医療機関の情報も表示 | 避難所へのルートも検索可能 | 県庁所在地や市役所・区役所の場所を直接指定できる |
防災情報のリスト | 地震情報も表示 |
◆全国避難所ガイド(Google Play)
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.hinanjyo.guide
◆全国避難所ガイド(App Store)
http://itunes.apple.com/jp/app/quan-guo-bi-nan-suogaido/id446063625?mt=8
●防災情報などを自由に追加できるiPhone向けKMLビューアー「ロケスマ」
Google マップやGoogle Earthなどで使われている地図データのフォーマット「KML」。このKMLファイルを表示できるiPhoneアプリが登場した。株式会社デジタルアドバンテージがリリースした「ロケスマ」だ。iOS 3.0以上に対応しており、App Storeから無料でダウンロードできる。
ロケスマはインターネット上に存在するKMLファイルを読み込んでGoogle マップ上に表示できるアプリだ。一度読み込んだ地図はアプリ内に保存されるので、いつでも自由に参照できる。Google マップのKMLファイル作成機能「マイマップ」で作成したKMLのURLを読み込んで表示することも可能だ。また、KMLファイルが格納されているURLを直接指定して読み込むこともできる。
なお、基本的にはオンラインで使用するアプリだが、オフライン時でもキャッシュに読み込んだ分の地図や、保存したKMLファイルを表示させることは可能だ。
インターネットで公開されているマップに加えて、デジタルアドバンテージのオリジナルマップも用意されている。現在公開されているのは全国の郵便局やバス停留所、警察・消防、図書館、動植物園/水族館/美術館/資料館、病院、学校、刑務所などの公共施設、鉄道の駅、発電所/ダム、家電量販店(ヤマダ電機/コジマ/ケーズデンキ)、Softbankショップ、auショップ、アップルストア、アップル製品取扱店など。
汎用性が高く、防災関連情報に特化したアプリというわけではないが、「ネットで見つけた便利マップ」として、「東日本大震災・災害・防災関連」や「電源・無線LAN」「医療・健康・美容」「放射線・放射能関連」など災害に関わるさまざまなカテゴリーも用意する。
さらにグルメやショッピング、観光情報など幅広い情報をカバーする。また、「最近ツイートされたマイマップ」として、Twitterに投稿されたマイマップをピックアップして表示する機能も搭載するほか、キーワードごとにネットから自動収集したマップのリストや、注目のマップのレビューコーナーなどもある。
地図画面は縮尺に応じて表示ピン数を間引く処理をしているので見やすい。最寄りのピンを表示する「周辺表示」ボタンや、画面内の地点数および表示ピン数を表示する機能、ピンまでの距離を表示する機能、地図のツイート(iOS 5.x以降)、住所検索などの機能を搭載。航空写真に切り替えることもできる。
なお、ロケスマが対応しているのはKML仕様の一部のみで、KMLのフル仕様には対応していない。試しにハンディGPSの軌跡情報を収録したマイマップのKMLファイルを読み込んでみたが、軌跡は表示されなかった。どうやら表示されるのは地点情報だけのようだ。
iPhone向けのKMLビューアーアプリはほかにもいくつかあるが、ロケスマはあらかじめオリジナルマップが多数用意されているので気軽に利用開始できるし、インターネット上に存在するKMLファイルのリンク先も用意されているので、初めてKMLビューアーを利用する人にもすぐに使いこなせるだろう。
マイマップなどで作成したKMLファイルを読み込む方法もわかりやすいので、自作のKMLファイルを持ち歩きたいという人にも最適だ。防災関連だけでなく、観光情報や街情報など自分が必要とするKMLファイルを自由に取捨選択して持ち歩けるツールとしておすすめだ。
起動画面 | 読み込んだKMLファイルのリスト | URLを直接指定できる |
インターネット上のKMLファイルへのリンクが用意されているマップライブラリ | ロケスマのオリジナルデータ | 公共施設のリスト |
注目マップのレビュー | 東京都内の避難場所マップ | 目印をタップすると施設名などが表示される |
◆ロケスマ(App Store)
http://itunes.apple.com/jp/app/id498923187?mt=8
2012/3/8 06:00
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