趣味のインターネット地図ウォッチ

東京駅を発着する列車の動きを3D地図上に表示するアプリ「Tokyo | Ogiqvo」

 1日あたりの発着列車本数が4000を超える巨大な駅、東京駅。この東京駅の3D地図の上に構内図と列車の動きを表示するAndroidアプリが、「Tokyo | Ogiqvo(トーキョーオギクボ)」だ。価格は1000円で、Google Playからダウンロードできる。

「Tokyo | Ogiqvo」
2D表示

 地図上には東京駅を発着する列車の動きが色別に表示されて、時刻表に沿って移動する。この列車の動きは、現地および周辺の駅で実際に掲示されている時刻表をもとに作成されたもので、円形のスクロールバーを使って時刻の巻き戻しや早送りを行う(1周で1分)と、時刻に連動して列車もその通りに動く。時間を進めると列車の動きも追従して早く移動し、逆方向に回すと列車も逆方向に移動する。

 なお、画面右下にはチェックボックスがあり、ディスプレイが小さい場合などはこのチェックボックスを1回タップするとスクロールバーやボタン群が非表示となる。

 列車のグラフィックはシンプルで、車両を細長い長方形で表現し、それらを連結させた絵になっていて、車両数や車両の寸法などは実際の編成を反映しているという。それぞれの列車には吹き出しが表示され、路線名および目的地、「急行」の表示などが記載されている。

長方形のつながりで列車を表現
車両数や車両の寸法

 地図データおよび建物3DデータはOpenStreetMapを利用しており、線路の形状や3D構内図は開発者が現地にて調査を行った上で情報を反映している。地図は真上からの視点のほか、2本指スワイプでGoogle Earthのように斜め視点に切り替えることもできる。

 対応路線は、東海道・山陽新幹線、東北・山形・秋田新幹線、上越新幹線、北陸新幹線、山手線、京浜東北線、東海道線・上野東京ライン・常磐線・成田線・宇都宮線・高崎線、中央快速線、総武快速線・横須賀線・成田エクスプレス、京葉線・武蔵野線、丸ノ内線。

3D表示でさまざまな角度から眺められる
地下鉄の丸ノ内線のデータも収録

 開発元であるオギクボ開発の川島和澄氏に、同アプリを作ったきっかけを聞いたところ、「最近のスマホ/タブレットには地図を閲覧するアプリが搭載されており、傾斜を付ければ建物の形状すらも表示できるのに、地図上を走っているはずの列車については表示する機能がありません。これは試す価値があるのではないかと考え、実装をいたしました」とコメントした。

 アプリ開発で苦労した点については、試作段階において、同時に存在する列車の本数が増えるとパフォーマンスを維持するのが難しくなることが分かったため、ベンチマークのために世界有数の列車発着本数を誇る東京駅のデータを作成し、このデータで列車をスムーズに動かすことを目標に性能を改善したとのこと。なお、なぜ新宿駅ではなく東京駅を選んだかというと、時刻表の調査を行うにあたり、関係する鉄道事業者の数を減らしたかったからだという。

 今後、ほかの駅についても同様のアプリを作る予定はあるかどうかを尋ねたところ、「今の時点では、アプリという形での具体的な計画を立てていませんが、それは『もう作らない』という意味ではありません」と前置きした上で、公共交通事業者に対して、「このアプリに御社の鉄道やバスを走らせてみませんか?」と呼び掛けている。また、今はAndroid版のみだが、iOS版を提供する予定もあるとのこと。さらに、時刻表が変更された場合には、それに連動してアプリを更新していくことも考えているという。

 部屋にいながらにして、東京駅を行き交う列車を眺めているかのような気分に浸れるこのアプリ、鉄道好きはもちろん、東京駅を利用する機会の多い人にも見逃せないアプリだ。

片岡 義明

IT・家電・街歩きなどの分野で活動中のライター。特に地図や位置情報に関す ることを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから法 人向け地図ソリューション、紙地図、測位システム、ナビゲーションデバイス、 オープンデータなど幅広い地図関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報ビッグデータ」(共著)が発売中。