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これから始める「Windows 8」
Part 3:Windows 8で戸惑わないための8つのポイント


 Windows 8は、高速かつ新しい体験ができるOSであることは間違いない。しかし、それゆえに、普段、使ううえで「とまどい」を感じるシーンも少なからず存在する。Windows 8でありがちな8つのシーンで、どのような対処をすればいいのかを紹介する。

(1)スタート画面になじめない

 Windows 8をはじめて使うユーザーにとって、一新されたスタート画面は、大きな楽しみでもある一方で、もっとも「とまどい」を感じる部分のひとつであろう。また、デスクトップから、これまでのスタートボタンがなくなったことも、操作に迷うポイントの1つと言える。

 正直なところ、これは一週間も使えば慣れて違和感もなくなるのだが、使い方のヒントとして、検索機能をうまく活用することをオススメしたい。

 スタート画面は、アプリの更新情報を表示する役割も持っているが、基本的にはアプリのランチャーだ。従来のスタートメニューと違うのは、デスクトップから画面が完全に切り替わること(デスクトップを見ながらメニューを展開できないこと)、階層構造だったメニューを個別に開く方式からすべて展開した状態で表示されるようになったことだ。

 このため、すべてのアプリを表示すると、画面いっぱいに、ごちゃっとした感じでアイコンが並び、目的のアプリを探し出すのに苦労してしまう。

 そもそも、従来のスタートメニューも、たとえば「Windows転送ツール」がアクセサリだったか、システムツールだったかを覚えいる人の方がまれで、アプリを探しやすいかと言われると決してそうではなく、単に長年の慣れから感覚的にアプリを起動していたに過ぎないが、感覚をつかむまでガマンするというのも非効率的なので、検索で探した方がいい。

 スタート画面に切り替え、「mspaint」とか「メモ帳」とか起動したいアプリの名前を直接入力すると、インクリメンタルサーチによって候補が次々に絞り込まれていく。大抵は3〜4文字も入力すれば、目的のアプリが表示されるので、「Enter」キーで起動すればいいだけだ。

キーボードをうまく活用してアプリを検索するという使い方をすると素早く操作できる

 要するに、懐かしの「DOS」的な使い方をすればいい。そう割り切ると、筆者もそうだが、BASICとかDOSからPCの世界に入った人間にとっては、古い感覚がよみがえってくるようで、むしろサクサクとPCを操作できるようになる。

 言わば、今までの「カチ、カチ、カチカッ」の世界から、「カタ、カタ、ターン!」の世界への変革だ。

 いや、もちろん、すべてのアプリをコマンド的に使えという意味ではなく、よく使うアプリはタスクバーにピン留めしておけばいい。あくまでも純レギュラーのアプリを「カタ、カタ、ターン!」と起動すればいいだけだ。これは、これで慣れてくると、素早い操作が可能なうえ、何となく気持ちのいい操作になるのでオススメだ。


(2)コントロールパネルやデバイスマネージャーが開けない

 通常のアプリであれば、前述した方法で起動するのが手っ取り早いが、そうはいかないのが設定だ。コントロールパネルやデバイスマネージャーなども、スタート画面から[設定]を選択して検索することはできるが、操作的にスマートではない。

 そこで、利用したいのが、「Windowsキー+X」のショートカットキー、もしくは画面左下にマウスポインタを移動してからの右クリック操作だ。

 コントロールパネル、デバイスマネージャー、ディスク管理、電源オプションなど、よく使う設定項目をメニューから簡単に起動することができる。

 この機能は、Windows 7にも欲しい機能で、慣れるとスタートメニューからコントロールパネルを起動して、項目を探すなんて、かつての操作が非常に面倒に感じられるほどだ。

 Windows 8には、他にもいろいろなショートカットキーがあるが、個人的に必須と思えるのは、この「Windows+X」と、外部ディスプレイへの出力するための「Windows+P」、拡大鏡の「Windows++」だ。

 シャットダウンもチャームから実行しようとすると、若干、手間がかかるが、これはショートカットというより、電源ボタンにシャットダウンを割り当てる方が話は早い。

Windows+Xで各種設定に素早くアクセスできる


(3)Windowsストアアプリの印刷方法がわからない

 Windows 8では、Windowsストアからダウンロードして利用可能な全画面表示のアプリを、従来のデスクトップ上で動作するアプリと区別する目的で、Windowsストアアプリと呼ぶ。

 このアプリは、タッチでの操作を重視した、どちらかというとビューワー的なアプリとなっているが、従来のデスクトップ版アプリとは異なる操作が要求される。たとえば、画面を右クリック、もしくは下からスワイプすることでアプリバーが表示され、ここからアプリの機能を利用することができる(地図で自分の場所を表示するなど)。

 ただし、アプリバーから利用できる機能は限られており、たとえば印刷などのメニューは表示されない。そこで活用したいのが「チャーム」だ。

 チャームは、Windows 8でよく使う機能をまとめたランチャーでもあり、デスクトップの右クリックで表示されるコンテクストメニューのようにも使える機能だ。「検索」、「共有」、「スタート」、「デバイス」、「設定」の5つの機能があり、ここからアプリのデータを検索したり、設定を行なうことができる。

Windowsストアアプリではチャームをうまく活用するのがコツ。印刷もデバイスチャームから実行できる

 また、Androidの共有ボタンのように、アプリのデータをメールやSNS経由で共有することもできるようになっている。

 ポイントは「デバイス」で、これはアプリのデータをPCに接続されている周辺機器に対して出力する機能となる。つまり、アプリから印刷したいときは、この「デバイス」からプリンタを選べばいいわけだ。

 同様に、セカンドディスプレイが接続されているときは、「デバイス」からアプリの画面をセカンドディスプレイに出力することなどもできる。

 Windowsストアアプリの場合、このチャームの使い方を知らないと、詳細な設定ができなかったり、印刷に困ることがあるので、覚えておくといいだろう。

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(4)以前のバージョンがない

 Windows 8では、Windows 7まで存在した「以前のバージョン」が見当たらない。また、この機能のベースになる「システムの復元」も標準では無効になっている。

 Windows 7の感覚でいると、「以前のバージョンからファイル救出しよう」、「調子悪いからシステムの復元で戻そう」などと思っても、当てが外れて途方に暮れることになる。

 おそらく、PCのストレージがSSDメインとなってきた影響で、ローカルに復元用データを持つことが現実的に難しい影響だと考えられるが、Windows 8では、新たに「ファイル履歴」という機能が追加されており、これを有効にすることで、「以前のバージョン」と同じように、ライブラリやデスクトップのファイルを過去のスナップショットの時点まで戻すことが可能になる。

 「ファイル履歴」を有効化するには、保存先となるストレージが必要。外付けHDDやNASを利用するのが現実的だが、USBメモリも保存先に設定できる。取り外す機会が多いデバイスをバックアップ用に使うことに抵抗はあるが、最近のUSBメモリは大容量化も進んでいるので、ノートPCなどのバックアップ先として使うことも可能だ。

 この設定をすれば、自動的に「システムの復元」も有効になるので、ぜひ設定することをオススメしたい機能だ。

ファイル履歴はぜひ設定しておきたい機能の1つ。いざという時にファイルを復元できる


(5)Windowsストアアプリで日本語入力ができない

 これは、現段階の、しかも限られた環境のみの話ではあるのだが、Windows 8では、現状、Windowsストアアプリで日本語入力できるIMEが、標準のMS IMEしか存在しない。

 筆者もそうだが、古くからのPCユーザーの中には、「ATOK」のように贔屓にしているIMEが存在するが、現状、こういったサードパーティ製のIMEは、デスクトップ環境でしか日本語入力ができない。

 このため、どうしてもサードパーティ製のIMEを利用したい場合は、MS IMEと併用し、必要に応じて切り替えながら使うことになる。Windows 8では、「Windows+スペースキー」を押すことで、利用するIMEをその場で変更できる。つまり、普段、デスクトップではATOKを利用し、Windowsストアアプリを使うときに「Windows+スペースキー」でMS IMEに切り替えればいいわけだ。

 また、Windows 8では、アプリケーションごとに異なるIMEを利用することが可能で、その利用状況を記憶し、アプリごとに自動的にIMEを切り替えることもできる。コントロールパネルの「言語」から「詳細設定」を選択し、「アプリウィンドウごとに異なる入力方式を設定する」にチェックを付けておけば、自動切り替えが可能だ。

Windows+スペースキーでIMEを切り替え可能
アプリウィンドウごとにIMEを自動的に切り替えて利用できる


(6)POP3には未対応の「メール」アプリ

 おそらく、これからWindows 8搭載機の販売が増えてくれば、この問題が徐々に目立つようになってくるのではないかと思えるが、Windows 8のスタート画面に標準で搭載されている「メール」アプリ(Windowsストアアプリ)は、POP3の送受信に対応していない。

 最近は、Webメールの利用が増えてきたうえ、プロバイダーが提供するメールサービスもIMAPに対応してきているので、この状況を理解しているユーザーであれば困らないのだが、問題は、PC歴は長いものの、あまり最新のサービスに敏感ではない層だ。

 こういったユーザーは、POP3のままメールを使い続けている可能性が高いが、そのままではWindows 8のメールアプリでメールを送受信できないことになってしまう。

 もちろん、OutlookやWindows Live Mailなどのメールクライアントをインストールして利用することは可能だ。古いPCからメールデータを移行したい場合でも、Windows転送ツールを使って、データを移行後、Windows 8にWindows Live Mailなどをインストールすればメールデータを引き継ぐことができる。

 ただし、これはテクノロジーの先送りとでも言おうか、単なる延命処置に過ぎない。可能であれば、Windows 8を機にOutlook.comなどのWebメールに以降してしまった方がいいだろう。

 幸い、Outlook.comでは、従来のWindowsのメールクライアントから、POP3のアカウントやメールデータをオンラインに移行するためのツールが提供されている。現在利用しているPCで、Outlook.comにサインアップし、このツールを使ってデータを移行。その上で、Windows 8のメールアプリに、Outlook.comのアカウントを登録すれば、クラウドへのメールの移行も同時に可能になる。

 おそらく、本コラムの読者層には、こういったと言わせが身近な人から来る可能性が高いので、一度、テストしてみることをおすすめする。

Outlook.comの機能を利用すると、メールソフトの設定やデータをOutlook.comにアップロードできる


(7)Windows 8 Certifiedデバイスを使おう

 Windows 8は、軽量なOSとなっているため、最新のCPUなどを搭載したPCでなくとも、比較的、快適に動作させることができる。

 ただし、インストールできることと、Windows 8の実力を発揮できることは別のものであることは理解しておくべきだ。たとえば、本コラムでも以前に紹介したUEFIへの対応などが代表的だ。環境によっては、Windows 8の特長の1つである高速起動のメリットを発揮させることができない場合がある。

 実は、Windows 8では、このようなWindows 8の実力を発揮させるために必要なデバイスの要件が厳密に定められている。

 UEFIであれば2.3.1対応が必要であったり、タッチパネルであれば10点マルチタッチ対応であることやWindows 8のHIDドライバを利用すること、タッチセンサーの数、遅延などの数値がきっちり定められている。これらの要件を満たしていないと、Secure Bootが利用できなかったり、Windows 8からUEFIユーティリティを起動できなかったり、タッチ環境で使えないということになる。

 特にDSP版のWindows 8をインストールして利用する場合は、このような要件に注意すべきだ。アップグレード版を利用してWindows 7からのアップグレードする場合であれば、Windows 7の要件さえクリアしていれば、タッチパネルを「制限あり」という形で有効化することができるが、同じ環境にDSP版を新規インストールするとタッチパネルは無効化されてしまう。

 実際、筆者の手元にあるONKYOのタブレットPC「TW317A5」は、アップグレード版であればタッチパネルが利用出来るが、DSP版では無効化されてしまった。

 これは、TW317A5のタッチパネルがWindows 8の要件を満たしていないため(Windows 8のHIDドライバを使えないため)、システムによって無効化されてしまうためだ。Windows 7からのアップグレードであれば、Windows 8の厳しい要件ではなく、もともとインストールされていたWindows 7の要件にさえ適合していればいいので、問題ないということになる。

 こういった条件は、さまざまなパーツごとに定められており、MSDNのドキュメント(http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/windows/hardware/br259114.aspx)などで参照できる。

 当然もっとも確実なのは、Windows 8がプリインストールされたPCを購入することだが、自分でOSをインストールする場合は、要件を満たしたデバイスを「Windows Certified Products List(https://sysdev.microsoft.com/ja-JP/Hardware/LPL/)」で検索して、利用すべきだろう。

ONKYO TW317Aにアップグレード版をインストールしたところ。タッチが制限ありで有効になる
同じ環境にDSP版をインストールしたところ。タッチが使えないと表示され、無効化される


(8)セキュリティ対策はどうすればいい?

 今やPCを利用するうえで、OSにセキュリティ対策ソフトを導入することは当たり前のこととも言えるが、Windows 8では、無理にサードパーティ製のセキュリティ対策ソフトを導入する必要はなくなった。

 もちろん、企業などでライセンスや動作を一元管理したり、より高度な機能が欲しいのであれば、サードパーティ製のセキュリティ対策ソフトを利用するメリットもあるが、標準でWindows Defenderが搭載されているため、これだけでも最低限の保護を実現できるようになっている。

 Windows 7までのWindows Defenderは、スパイウェアへの対策しかできなかったが、新たにウイルスなどのマルウェア全般に対応し、常駐による不正なプログラムの検知と定期的なファイルチェック、自動的な定義ファイルの更新を実行できるようになっている。

 これにより、OSのインストール直後など、これまで手薄だった状態でもPCを保護できるようになったうえ、サードパーティ製のセキュリティ対策ソフトが無効化されていたり、定義ファイルが更新されていない場合など、何もセキュリティ対策がなされていない状態が15日間続いた場合に自動的にWindows Defenderを有効化してPCを保護することができるようになった。

 UEFIのSecure Bootなどもそうだが、従来のOSに比べて、より安全に使えるようになったというわけだ。

Windows Defender。スパイウェアだけでなく、ウイルスを含めた全般に対応した

 以上、3回にわたってWindows 8に関する情報を公開したが、今回の新OSは、マイクロソフト自身があまり積極的に公式な情報を提供していないため、実際に使い込んだり、調べていくほどに、「え、そうなの?」と思うような事実が判明したり、前回のWindows ADKのように有用にもかかわらず、ひっそりと公開たツールが存在するなど、いろいろ驚かされることが多い状況になっている。

 OSそのものも興味深いが、こういった情報を掘り起こしていくのもWindows 8の楽しみの1つと言える。ぜひ、使って、試して、調べてみるといいだろう。



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2012/11/8 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ