第150回:NTT電話加入権を買い取ってくれる平成電電の「CHOKKA」
気になる加入権の買い取り価格は?
筆者宅で利用していたNTTの固定電話を平成電電の直収電話サービス「CHOKKA」へと切り替えた。その使い心地と、気になる加入権の買い取り価格がいくらだったのかを紹介しよう。
●NTTのアナログ回線がなくなった日
2005年に入って、筆者宅の固定電話環境は大きく変化した。これまでは、「家庭用」「仕事用」「FAX用」と、3回線のアナログ回線(もちろんすべてNTT)を利用していたのだが、このうち仕事用をBフレッツのひかり電話に、FAX用をプロバイダーの050番号IP電話へと変更した。そして、最後まで残っていた家庭用のアナログ回線も、ついに平成電電のCHOKKAへと変更した。
もちろんBフレッツ+ひかり電話の環境があるので、完全にNTTの回線がなくなったわけではないが、「NTTのアナログ回線」が我が家から無くなったということは、何とも感慨深いところだ。昨年あたりから直収サービスが注目を集めているが、もはや「電話=NTT」という絶対的な式が成り立つ時代ではなくなりつつあるのかもしれない。
さて、今回導入したCHOKKAの固定電話であるが、導入する前は品質は問題ないか? かけられない番号があるが本当に乗り換えて良いのか? とそれなりに悩んだが、いざ開通してみると何ということはない。実に普通の電話だ。開通してから、すでに2カ月近く利用しているが、音質が悪いと感じたことなどは一切なく、電話が停止するなどといった致命的なトラブルにも見舞われていない。
筆者の場合、通信機器のテストのために配線変更や機器の入れ替えなどを頻繁に行なうこともあり、まれにルータやVoIPアダプタ側のトラブルでIP電話がうまく使えなくなることなどがよくあるのだが(あくまで個人的な問題の話)、直収サービスとなるCHOKKAの場合、家庭内に通信機器などを設置する必要がないため、こういったトラブルも皆無だ。
●使い勝手はNTTと同様とはいかない
もちろん、これまでのNTTのアナログ回線とまったく同じに使えるというわけではない。たとえば、先日こういう問題があった。筆者は、テストのために購入した無線LAN機器などをよく量販店に買い取ってもらうことがあるのだが、その際、本来なら買い取り品と一緒に送るべき身分証明書やポイントカードのコピーを、同梱し忘れて発送してしまった。
あわてて先方に電話で確認しようと番号を確認したところ、その電話番号が「0077-xx-xxxx」だった。CHOKKAではいくつかかけられない電話番号が存在するが、0077から始まる番号もその1つだ。そのため、CHOKKAから電話をかけることができず、番号をダイヤルしてもお話中の「プー、プー」という音しか聞こえてこない。仕方なく仕事用のひかり電話からもかけてみたが、「おかけになった番号ではおつなぎできません」とのアナウンスが……。
結局、携帯電話からかけられることがわかり、先方と話をすることができたのだが、今度は「書類をFAXしてください」と言われ、またまた困惑した。我が家の電話の都合で0077にかけられないことを先方に伝え、通常の0AB~JのFAX番号を教えてもらい何とか事なきを得た。正直、フリーダイヤルやナビダイヤルなど一部の番号に電話をかけられないのは承知の上で固定電話を変更していたのだが、実際に、こういったトラブルに直面すると、結構あわてるものだと実感させられた。
個人的には、事業者によって提供されるサービスが異なる以上、かけられない番号があること自体は致し方ないことだと考える。そして任意で電話サービスへ加入する以上、ユーザー側もある程度の制限があることは覚悟すべきだとも考える。
しかし、このようなトラブルは、今後も増えてくると予想できる。であれば、ユーザーにトラブルを起こさせないようにするための何らかの努力は必要になってくるだろう。事業者側はかけられない番号がなくなるように、他事業者との連携していく必要があるだろうし、さまざまな企業はホームページや各種パンフレット、テレビCMなどで電話番号を告知する場合にユーザーの電話環境を配慮する必要がある。
たとえば、クレジットカード会社の紛失届などの連絡、オンラインバンキングなどの問い合わせ先などは、大抵、0AB~J番号か、フリーダイヤルとOAB~J番号の併記となっている。これらと同様に、どのようなアクセスラインからもかけることができる番号を併記するような取り組みを期待したいところだ。
●気になる買い取り金額は?
少し話がずれたのでCHOKKAの話に戻そう。今回、筆者がNTTのアナログ回線をCHOKKAに変更したのは、基本料や通話料といった通信コストをなるべく抑えたいという理由もあったが、最大の理由は、やはり加入権を買い取ってくれる点にあった。
NTTが加入権の料金(施設設置負担金)を値下げしたのも記憶に新しく、最近では家電量販店やADSL事業者自体が、格安の加入権、もしくは加入権不要で利用できるADSLサービスを展開しており、もはや加入権という考え方自体の存在が問われるようになりつつあるが、平成電電が現在行なっているキャンペーンでは、すでに所有している加入権を最大で36,000円で買い取ってくれる。これはユーザーにとってみれば非常にありがたい話だ。
とは言え、前述した36,000円での買い取りはあくまでも最大の場合だ。同社のADSL接続サービス「でんわ石火」、ISPサービスの「HeySayネット」に同時加入した場合は、満額買い取りとなるが、そうでない場合の買い取り金額はケースバイケースとなる。
今回、筆者はあえてADSL接続サービスを申し込まない状態で加入権を買い取ってもらうことにした。この場合、CHOKKAへの加入後、一定期間の通話料などによって買い取り金額が決まるが、どのくらいの通話料なら、いくらで買い取ってくれるのかを実際に検証してみたかったからだ。
結論から言うと、筆者の加入権の買い取り料金は、最終的に19,946円(手数料を引いた振込金額)と、個人的には少々残念な結果だった。買い取り金額がいくらになるのかは、同社のホームページで提供されている「加入権買取価格シミュレーター」で試算することが可能で、試してみると、個人アナログ回線で付加サービスとしてナンバーディスプレイのみを契約した場合、CHOKKAで約3,370円通話すると満額の36,000円の買取り金額となる。
平成電電から送られてきた加入権の査定結果。加入後、2カ月後くらいに送られてくる。前月、前々月の請求金額から単純に査定されるわけではなく、独自の方法で査定していると考えられる |
これに対して、CHOKKAへの加入後、実際に筆者が支払った通話料は、加入後1カ月目が1,984.3円、2カ月目が1,795.6円であった(両方とも基本料を含まない通話料のみの金額)。加入後、満額買取りを目指して、なるべく携帯電話に電話をかける、電話がかかってきたら必ず折り返すと、涙ぐましい努力をしてみたのだが、さすがに1カ月で3,000円を超える通話料を実現するのは難しかった。
ちなみに、前述した筆者の2カ月の通話料の場合、シミュレーターで計算すると前者の場合の買取り金額は24,939円、後者の場合は23,427円だが、実際の加入権の査定金額は、このどちらとも異なる。細かな査定結果は送られてこないため、想像でしかないのだが、一定期間のみを抽出して査定しているか、極端に通話料が高い日などを除外するなど、独自の査定方法で計算されているのだろう。毎日、平均的に電話を使うようにし、最終的に3,000円を超えるような通話料になるようにすれば、満額での買取りを目指すことができるかもしれない。
平成電電のホームページで提供されているシミュレーター。加入プランや通話料を入力すると買取り金額の概算が表示される |
このように、CHOKKAの加入権買取りというキャンペーンは、なかなか興味深いものと言える。筆者の場合、もう少し買取り金額を上げたかったというのが正直なところだが、少なくともほかの加入権買取り業者に売るよりも遙かに高い金額で買い取ってもらうことができた(一般的な買取り業者の相場は現在3,000円程度)。
ただし、買取りを申し込んだ場合、3年未満で解約すると残余期間分の基本料金を一括で請求されるので注意が必要だ。3年以上、確実に利用するのであれば問題ないが、そうでない場合は慎重に検討する必要があるだろう。
関連情報
2005/6/7 11:15
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