第329回:ネットワークプレーヤー「LinkTheater LT-H91LAN」
アクトビラ対応で動画配信サービスも楽しめる



 バッファローからネットワークプレーヤー「LinkTheater」の新製品として、「LT-H91LAN」が登場した。DLNAクライアントとしての利用に加えて、アクトビラに対応したことでインターネット経由での動画配信サービスにも対応したのが特徴だ。その使い心地を検証してみよう。


無線LANか地デジか、アクトビラか

 今回の「LT-H91LAN」の発売によって、LinkTheaterを購入しようとしたとき、果たしてどのモデルを選べば良いのかが少々悩ましくなってきた。

 バッファローのLinkTheaterシリーズは、ネットワーク経由でPCやDLNA対応機器に保存した動画や写真、音楽を再生できるネットワークプレーヤーだ。そして、この機能をベースに付加価値をプラスしたモデルが本製品以外にもいくつか存在する。まとめると以下の表のようになる。

表1:モデル比較
LT-H90LANLT-H90WNLT-H90DTVLT-H91LAN
ネットワーク有線有線+無線有線有線
デジタルチューナー×××
アクトビラ対応×××
実売価格1万9800円2万4800円2万4800円2万2800円
*有線:10BASE-T/100BASE-T、無線:IEEE802.11a/b/g/n
*実売価格は2008年2月6日時点のヨドバシ・ドット・コム調べ。

  (いずれも別途15%程度のポイント還元)


手元にあったLT-H90LAN(左)と新製品のLT-H91LAN(右)の比較。デザインも良くなっているが、何と言ってもアクトビラに対応したのがポイント

 いずれのモデルも、HDMI端子搭載でAVCHDやHDVの再生に対応し、DTCP-IP対応のDLNAガイドラインに準拠したネットワークプレーヤー機能、それにUSBポートに接続したデジタルビデオカメラの動画再生、バックアップ機能(USB HDD/LinkStation)を搭載している点は同一である。

 「LT-H90WN」では、ここにIEEE 802.11a/b/g/n準拠の無線LAN機能を、「LT-H90DTV」は地上デジタル放送の視聴やUSB接続HDDへの録画にテレビチューナーを、そして今回の「LT-H91LAN」はアクトビラの動画配信サービス機能を搭載している。

 いっそのこと全部一緒に……、と言ってしまいたくなるところだが、コストの問題もあってそうはいかないのだろう。実際、実売価格を比べると微妙な差になっており、無線LAN機能を持つ「LT-H90WN」と、デジタルチューナーを搭載した「LT-H90DTV」は2万4800円と同じ価格帯となっている。

 おそらくどれを選ぶかは、現在のLAN環境や利用しているテレビに合わせるのが無難で、物理的なLAN配線ができないのであれば無線LANの「LT-H90WN」、テレビが地デジに対応していなければ「LT-H90DTV」、地デジ対応だがアクトビラ非対応のテレビを使っている場合は「LT-H91LAN」ということになるのだろう。

 個人的には、デジタルチューナーとアクトビラは一緒にして欲しかったところだが、これは今後に期待したいところだ。


セットアップは簡単。テレビとネットワーク接続でアクトビラ利用が可能に

 というわけで、ネットワークプレーヤーとしての機能にプラスして、アクトビラ ビデオの視聴にも対応するのが、今回取り上げる「LT-H91LAN」だ。

 外観は、既存のデジタルチューナーモデル「LT-H90DTV」とほぼ同じで、付属するリモコンもまったく同一となっている。本体、リモコンの質感は悪くなく、サイズもHDDレコーダなどと比べて、半分程度の幅でコンパクトなので置き場所にも困らないだろう。


アクトビラに対応したLinktheater「LT-H91LAN」LT-H90DTVと共通のリモコン。質感も悪くなく使いやすい

本体前面背面。LAN端子やHDMI、USB端子などを備える

 セットアップに関しては非常に簡単だ。本製品は10BASE-T/100BASE-TX対応の有線LANモデルとなるため、LANケーブルを配線する必要はあるが、これを背面のLAN端子に接続。さらにHDMI、D端子、ビデオ入力のいずれかでテレビに接続し、電源を入れるだけとなる。機器側に関しては、設定らしい設定をすることなく、すぐに利用可能だ。

 もちろん、ネットワークプレーヤーとして利用する場合は、付属のCDを利用してPCにサーバーソフトウェアをインストールするか、別途、DLNAサーバーを用意する必要がある。しかし、「LT-H91LAN」の最大の特徴となる「アクトビラ」の利用自体は、テレビとネットワークに接続すればすぐに利用可能だ。


LT-H91LANのトップ画面。使える機能がアイコンでわかりやすく配置されている設定画面。基本的にはつなぐだけで使えるため本体側の設定は不要。画面の設定などを確認しておく程度で良い

アクトビラ ビデオ・フルに対応

 アクトビラを利用するには、メインメニューから「アクトビラ」を選択するのだが、ここで1つ注意点がある。

 メニューからアクトビラを選択しても、すぐにアクトビラのトップページが表示されるわけではなく、いったん画面が暗くなり、10秒前後してWebブラウザが起動。画面の読み込みが行なわれてトップページが表示される。要するに、ネットワークプレーヤーからアクトビラモードへの切り替えに若干時間がかかるのだ。


アクトビラへの切り替えには20秒前後の時間がかかるとの警告が表示される。実際にはブラウザの起動に10秒強、アクトビラトップページの読み込みに数秒といったところだった

 アクトビラの利用に関しては、アクトビラ対応テレビでも表示の切り替えに若干時間がかかるのだが、これよりもうワンテンポ遅いといった印象だ。

 ただし、アクトビラの画面に切り替わってしまえば、動作としては比較的軽快と言って良い。アクトビラ対応でも、少し前の製品では画面上の選択肢の移動だけでストレスを感じてしまうこともあるが、本製品ではそういったストレスは感じなかった。

 また、アクトビラを起動した状態で電源を切ると、次回に電源を入れた際はアクトビラの画面が起動してくれる。あたかもアクトビラ専用端末のようにも利用できる。


アクトビラトップページ。アクトビラ対応のテレビとほぼ同じ画面だ天気予報などの情報サービスも楽しめる

HDコンテンツもスムーズに再生可能。早送り/巻き戻しはできなかったが、30秒スキップは利用できた

 動画再生に関してもまったく問題なく楽しむことができた。本製品は、アクトビラのサービスのうち、HD画質の動画を再生できる「アクトビラ ビデオ・フル」に対応しているが、映像の再生もスムーズで、映像品質に問題を感じることはなかった。

 アクトビラのサービスに関しては、TSUTAYA TVやフジテレビ On Demandが2008年3月から、そして12月からNHKオンデマンドが開始され、ここ1年でサービス内容が非常に充実してきている。

 動画配信サービスの場合、利用にあたって視聴したいコンテンツがあるかが最大の決め手となるのだが、NHKオンデマンドで見逃した大河ドラマを見たり、過去のドキュメンタリーを見るといったことが可能となる上、TSUTAYA TVでも海外ドラマなどを中心に魅力的なコンテンツが提供されている。


2008末に開始されたNHKオンデマンドも利用可能TSUTAYA TVもコンテンツは豊富

デジタルビデオカメラユーザーにも便利

 このほか、DLNA対応サーバーと組み合わせることで、NASやPCに保存した写真を再生したり、MPEG-1/MPEG-2/H.264/WMV9/MPEG-4/Xvidの動画ファイルをネットワーク経由で再生することもできる。


DLNA対応サーバー上の写真やビデオも再生可能。AVCHDの映像も再生できる

 また、デジタルビデオカメラをUSBに接続することで、同じくUSBに接続したHDD、もしくはネットワーク上にある同社製のNAS「LinkStation」や「TeraStation」にデジタルビデオカメラの映像をバックアップすることも可能になっている(他社製NASは不可)。

 筆者は普段、パナソニックのデジタルビデオカメラ「HDC-SD9」を利用しているのだが、「AVCHD(Advanced Video Codec High Definition、ハイビジョン映像の記録・再生規格)」で撮影した動画というのは保存や再生環境が限られるため、扱いに苦労することがある。PCに再生ソフトをインストールするのも面倒なので、現状は同じくパナソニック製でAVCHD対応のHDDレコーダに保存しているのだが、テレビで見るのには良いものの、PCで扱いたいときなどに不便な場合もある。


意外に便利なのがビデオのバックアップ。USB HDDやネットワーク上のLinkStationにデータをコピーできる。もちろん、映像の直接再生も可能

 その点、LT-H91LANを利用すれば、デジタルビデオカメラをUSB接続して直接映像を再生できるのはもちろん、データをUSB HDDやNASに保存することができる。さらに、DLNA対応のNASに保存してけば、テレビで再び再生することが手軽にできるわけだ(AVCHD配信対応の場合)。

 要するに、保管、PCでの利用、テレビでの再生と、デジタルビデオカメラの映像をいろいろな用途に使いやすいのだ。この機能は他のLinktheaterシリーズにも搭載されているが、意外に便利なので活用してみて欲しい。

 ネットワークプレーヤーというと、少し敷居が高く、そもそもNASやサーバーを使っていないと手を出しにくい製品だが、本製品はアクトビラなどのネットワークプレーヤー以外の機能を目的に購入してもじゅうぶん活用できる。ぜひ1度使ってみることをおすすめしたい製品だ。


関連情報

2009/2/10 10:58


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。