都青少年問題協議会、フィルタリング解除の困難化などを提言
東京都青少年・治安対策本部は14日、東京都青少年問題協議会からの答申を受けたことを発表した。答申では、青少年に安全・安心な携帯電話を推奨する制度の創設や、保護者が容易にフィルタリングを解除できないよう手続きを厳格化すること、国に対して児童ポルノの単純所持の処罰化を強く要望することなどを提言している。
東京都青少年問題協議会では、2009年1月から10月まで専門部会を開催し、青少年とネット・携帯電話をめぐる現状と課題、青少年を性的対象とする図書類のあり方について分析・審議し、問題解決の方向性を検討。11月26日に答申素案に対してパブリックコメントを募集し、今回「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」として答申をまとめた。
答申では、ネットと携帯電話での被害・トラブルの防止策について、青少年へのアプローチとしては、青少年自身による援助交際の誘引や他人に害悪を与えるメールの発信など不健全行為に対する指導・勧告を行うこと、インターネットは匿名ではないことを周知し「ネットいじめ」の抑制を図ること、情報モラル教育とメディアリテラシー教育の徹底を図ることを提言している。
また、保護者へのアプローチとしては、青少年にとって安全で安心な機能を備えた携帯電話を都が推奨する制度を創設することや、他人に迷惑を与えた青少年の保護者に対して指導・勧告などを行うことで責任の自覚を促すことを求めている。
このほか、学校に対しては、青少年が規制をかいくぐる方法などに関する最新対策や対処法をタイムリーに提供する仕組みを設けることや、教育がネットいじめなどのトラブルに対する適切な対処法を身に付けるための学校の取り組みを支援することを提言。事業者に対しては、子供のネット・携帯電話の利用状況を保護者が管理できるサービスや、青少年が安心して利用できる携帯電話の提供を促すための要請を行うこと、コミュニティサイトなどで青少年が被害に遭いにくくなるための取り組みの推進と環境整備を要請すること、青少年がトラブルに遭った事件において利用されたサイトやフィルタリングの利用状況を公表することなどを求めている。
フィルタリングの実効性向上に向けては、青少年が使用する携帯電話については、原則としてフィルタリングを解除できないようにするとともに、保護者が容易にフィルタリングを解除できない仕組みを制度化することを提言。また、フィルタリングの基準についても、実態に照らして青少年が実際に被害に遭わないものにするため、条例への規定や第三者機関への要請などを行うとともに、第三者機関(EMA)が認定したサイトが標準設定で閲覧可能となるフィルタリング方式のあり方についても、携帯電話事業者に対して見直しの要請を提言している。
●児童を性の対象としたメディアとして「ジュニアアイドル誌」にも言及
児童を性の対象として取り扱うメディアの現状を改善するための方策としては、児童ポルノがインターネット上などに蔓延していることに対して、「児童を性の対象として扱うこと、児童を性的に搾取し虐待することや、これを助長する行為は、社会的に是認されるものではなく、これを決して許さない」という都としての姿勢を条例などにおいて明確に示すべきだと提言。児童をみだりに性の対象として扱う風潮の根絶に取り組むことや、児童ポルノを製造・販売・所持してはならない旨を定める規定などを設けるとともに、国に対しても児童ポルノのいわゆる「単純所持」の処罰化を強く要望すべきだとしている。
また、いわゆる「ジュニアアイドル誌」において、幼児・小学生が半裸や水着などで扇情的なポーズをとった写真が掲載されていることについては、ジュニアアイドル誌に子供の売り込みを行った保護者に対する指導・勧告の仕組みを検討すべきだと提言している。
児童の性的行為などを描写した漫画などについては、強姦などを積極的に肯定するような著しく悪質な内容のものは、青少年への販売などを規制する「不健全図書」の指定対象とすることを提言。また、小中学生向けの漫画についても、児童・生徒の性行為の描写を多く含むものがあるとして、映画やゲームと同様なレーティング(推奨年齢の表示)の導入について、出版・流通業界に努力を求めることなどを検討すべきとしている。
関連情報
(三柳 英樹)
2010/1/15 16:24
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