ドイツ最高裁、Google画像検索の縮小画像表示は合法と判断


 ドイツ連邦通常最高裁は4月29日、Googleなどが展開するインターネット上の画像検索サービスに著作権侵害はなく、合法であるとの判決を下した。

 この裁判は、2005年2月にある女性芸術家が起こしたもの。Googleの検索サイトで自分の氏名をキーワードとして検索をしていた際に、自分の作品が検索結果として提示されたことから、Googleに対して自己の著作権を侵害するとして提訴していた。第一審では、芸術家の差止請求を棄却。控訴審では、女性芸術家の著作権が不法行為により侵害されたと判断されたが、差止請求自体は権利濫用として認められなかった。

 上告審にあたる連邦通常最高裁では、著作権侵害にあたるか再度審理された。検索結果では、実際のサイズの画像ではなく、縮小された画像が提示されるのみであり、この程度であれば著作権を侵害することはないとの理由により、著作権侵害はないと判断された。判断にあたり、控訴審でも認容された事実として、確かに芸術家はGoogleに対して明示的あるいは暗黙に検索結果として芸術家の作品が提示陳列されることを法的に承諾したとの事実はないものの、上告審では直ちに違法との判断はせず、むしろ検索結果に縮小画像を掲載することが直ちに違法になるということではないと判断。その理由として、検索結果では、芸術家との関係について削除していないから違法性はないとしている。また、芸術家は、Googleなどの画像検索がなければ自己のインターネットサイトにアクセスさせることは事実上困難であるにもかかわらず、縮小画像の掲載なしで自己のサイトへアクセス可能とするような技術的手段を提示していないということも理由として掲げられた。

 なお、最高裁は、欧州連合(EU)のIT産業育成に関するガイドラインや2010年3月のGoogleフランスのルイ・ヴィトン事件も参照し、今回のケースと異なる場合でも、画像検索サービスの保護も重視されるべきと付言している。特に検索サービス提供のためのデータ保存について参照すべきと付言されている。3月のルイ・ヴィトン事件では、EUの最高裁にあたる欧州司法裁判所は、Googleがルイ・ヴィトンの商標を検索結果でリンクに使用したサービスが合法であり商標権侵害はないと判断している。

 今回のドイツでの判断は、インターネットにおける知的財産権保護のあり方に一石を投じる判決として注目を浴びそうだ。


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(Gana Hiyoshi)

2010/5/6 11:07