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MSの「Bing」が日本でも正式版へ、でも検索アルゴリズムは従来のまま!?


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 マイクロソフト株式会社は、検索エンジン「Bing」の日本版について、7月13日より正式版サービスを開始すると告知した。「Bing正式版、いよいよ登場。」と題したページを開設。同社の樋口泰行代表執行役社長はじめ社員らによるメッセージを掲載し、Bingの特徴や機能をアピールしている。

 Bingは、「Live Search」に代わるMicrosoftの新たな検索エンジンとして2009年6月に英語版サービスが公開された。検索内容に応じて検索結果ページを最適化して表示する点が特徴で、同社では「意志決定エンジン(Decision Engine)」と称している。

 日本でも同時に公開されたが、日本版では当初、後述するようなBingならではの機能が実装されてなかったため、意志決定エンジンのレベルには達していないとの判断で、そうした機能が実装されるまでの間はベータ版として運用するとしていた。また、コアとなるアルゴリズムもLive Searchから強化されていたものの、日本語のクエリーに対しては、特徴的な“Bingらしい”検索結果ページが実際に表示される割合は多くなかった。そのため、Bing日本版については「ページデザインのみBingになったが、エンジンは従来のLive Searchのままではないか」といった厳しい指摘もあった。

 それがいよいよ正式版に移行するわけだが、マイクロソフトによると、「Live SearchあるいはMSN Searchという検索アルゴリズムが従来存在していて、それがベータ版卒業を機に、Bingというアルゴリズムに切り替わるということではない」という――。

検索内容によってダイナミックに変化する検索結果ページ

 Bing日本版はこれまでの間、機能の追加やユーザーインターフェイスの改良などが行われ、正式版サービスに向けて準備が進められてきた。来週の正式版までにまだ変更があることも考えられるが、Bing日本版の検索結果ページは現在、左側のエクスプローラーペインに「カテゴリ」や、よく使われる「関連キーワード」が表示される形式となっている。


検索結果ページの表示例 サジェスト機能の例

 例えば、「沖縄」で検索すると、カテゴリとしては「沖縄 観光」「沖縄 土産」「沖縄 ホテル」など、関連キーワードとしては「沖縄旅行」「沖縄宝島」「沖縄国際映画祭」などが並ぶ。「沖縄」というキーワードでは、旅行に関する検索ニーズが多いことから、こうしたニーズに合わせたチューニングがなわれているわけだ。

 検索結果一覧の部分には、一般的なウェブからの検索結果に加え、「沖縄 観光」「沖縄 土産」「沖縄 ホテル」など前述のカテゴリで検索した結果もそれぞれ3件ずつ表示される。さらに検索キーワードによっては、ニュースからの検索結果(ニュースアンサー)、動画の検索結果(動画アンサー)、画像からの検索結果(画像アンサー)の項目も自動的に検索結果一覧の間に挿入して表示される。これについても、例えばニュースの情報に対する検索ニーズが高いと判断されるキーワードでは、ニュースアンサーの項目が最上部に表示されるなど、表示位置はダイナミックに変化する仕組みだ。

 検索結果一覧は、上部にあるクイックタブで「ウェブ」「ニュース」「動画」「画像」などを切り替え可能だ。このタブの種類も、検索キーワードによって変化する。

 6月に入ってからも、こうしたタブ形式のユーザーインターフェイスやサジェスト機能の導入、さらには「ホバープレビュー」「セレビリティアンサー」といった機能追加のテストが行われた。

 ホバープレビューとは、検索結果にマウスオーバーするだけで、リンク先の人気メニューなどを表示する機能で、検索結果のリンク先をいちいちクリックせずに自分の探しているサイトなのか判断できる。セレビリティアンサーは、有名人のプロフィールや写真、公式サイトなどの基本情報を検索結果ページに表示するものだ。ニュースで噂になった有名人や、名前と顔が一致しない有名人など、有名人の検索はBingでも多いのだという。

 このほか、地図検索サービス「Bing Maps」にも、乗換案内機能を実装するなどしたという。


「ホバープレビュー」機能の例 「セレビリティアンサー」の例

「Bing日本版、中身はLive Search」は誤解?

 マイクロソフトによれば、Bingについて、世間にはそもそも誤解があると訴える。すなわちBingは、検索アルゴリズムを強化するだけのサービスではなく、また、冒頭で述べたように、何か新しい全く別の検索アルゴリズムが存在して、それに切り替えることでもないという。確かに、コアとなる検索アルゴリズムは最も高いプライオリティで取り組んでいる部分であり、実際のところ、日々、改善を図っているが、「アルゴリズムの強化だけで、ユーザーの求める検索エンジンを達成するには限界がある」と説明する。

 マイクロソフトの調査によると、Live Search時代の検索クエリーのログから判断するに、ユーザーは検索結果に満足しておらず、求める情報をあれこれ探し回ってセッションが長時間化する傾向があった。また、ショッピングや旅行の手配など、何らかの“タスク”を遂行するために検索エンジンを使っていると思われるクエリーが増加しているという。

 こうした課題やニーズに対応するために、検索結果ページをカテゴリーごとに最適化・整理して表示することにより、タスク遂行をスムーズに行えるようにすることがBing最大の特徴であり、同社がBingを「意志決定のための検索エンジン」と位置付けているゆえんだ。

 もちろん、アルゴリズム自体も今後も注力していくが、「Bingの目指しているものは、アルゴリズムの精緻化だけでは解決できない問題をどう解決するか?」。そうした問題を解決するための新しいアプローチとして、ユーザーインターフェイスの改善を含め、検索エンジン全体としての機能の強化を継続していくという。

「ECナビ」との協業で価格比較サービスを開設

 何らかのタスクを遂行する目的での検索行動に対する、Bingのもう1つの特徴的なアプローチとして、業種ごとのバーティカルサービスを用意する点がある。ショッピングや旅行、レストランなどのローカル検索など、検索クエリーの中にどのような業種が多いのか分析し、購買につながるキーワードが多い業種について、それぞれ専門のバーティカルサイトを立ち上げるという戦略だ。

 日本では、まずはショッピング検索のニーズがあるとして、価格比較サイト「ECナビ」を運営する株式会社ECナビと協業。「Bing ショッピング」を5月19日に開設済みだ。同社の保有する5万店舗以上/3000万点以上の商品についてのデータベースを対象に、複数店舗の価格などを横断して検索して比較できるほか、ユーザーレビューや口コミも整理して表示してくれる。


「Bing ショッピング」の検索結果例 (向かって右から)株式会社ECナビでショッピング事業本部/Bingショッピングプロジェクト副本部長を務める松井竜哉氏、同じくショッピング事業本部の斉藤明日香氏、マイクロソフト株式会社コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部オンラインマーケティング本部サーチグループの中村真理子氏、佐下橋恵氏、米窪洋子氏

 こうしたバーティカルサービスについては、やはりレストランなどのローカル情報などもニーズが高いとし、マイクロソフトでは今後、日本での検索ニーズをふまえなたら、他の業種についても検討していく考えだ。

【記事更新 23:00】
 画面写真などを追加するとともに、アルゴリズムについての説明部分に加筆・修正しました。


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(永沢 茂)

2010/7/7 20:19