「G Data 2011」シリーズ発売、愚直なまでに“検出率99.9%”でアピール


 株式会社ジャングルは、独G Data Software開発によるセキュリティソフトの新バージョン「G Data インターネットセキュリティ 2011」を7月22日から販売する。対応OSは、Windows 7/Vista/XP SP2以降。価格はオープンプライスだが、1年版/1台用が想定価格3980円、5台用が同7480円、10台用が同1万3800円、1年版3台用USBメモリー版が同4980円など。


「G Data インターネットセキュリティ 2011」1年版/1台用用パッケージ「G Data インターネットセキュリティ 2011」25周年記念パッケージ(25カ月/3台用)「G Data インターネットセキュリティ プラス 2011」1年版/3台用パッケージ

 また、独G Data Softwareの創業25周年を記念した「25周年記念パッケージ」も用意した。25カ月/3台用で想定価格4980円と割安になっている。

 これらパッケージ版の発売に先立ち、15日からはダウロード版の販売を開始している。標準価格は、1年版/1台用が2980円、3台用が3480円など。

 なお、従来バージョンの2009シリーズ、2010シリーズの利用者で、ライセンス有効期間が残っている場合は、無償で最新版にバージョンアップできる。22日以降、最新版のプログラムのダウンロード提供を開始する。

 このほか、法人向けに販売しているボリュームライセンス版も「G Data 2011」シリーズにバージョンアップされる。

フィッシング対策にもクラウド技術を導入、UIはタブ形式に

 「G Data インターネットセキュリティ 2011」は、ウイルス/スパイウェア対策機能に加え、迷惑メール防止機能、パーソナルファイアウォール機能、フィルタリング機能を備える。


「G Data インターネットセキュリティ 2011」メイン画面。インターフェイスをタブ形式に変更。ほとんどの基本操作がワンクリックで行えるようになったというG Data Software株式会社のJag山本代表取締役社長

 ウイルス対策機能としては、発生後1分前後で新種ウイルスを緊急ブロックするというクラウド技術「アウトブレイクシールド」をすでに2005年から導入しているほか、未知のウイルスが侵入してしまった場合も、怪しい挙動があった場合にアラートを出す「ふるまい検知(ビヘイビア・ブロッキング)」などの機能を備える。

 ブラウザー経由で侵入を試みるウイルスに対しても、HTTPフィルターとクラウドスキャン技術により、ウイルスサイトやフィッシングサイトを遮断。また、USBメモリー経由のウイルスの対策機能として。USBメモリーとPCのやり取りを常時監視し、危険なファイルがPCにコピーされるのをブロックする。

 今回、アウトブレイクシールドは、フィッシング対策にも導入された。URLをリアルタイムにチェックすることで、定義ファイルに頼ることなく新しいフィッシングサイトを遮断するという。技術の詳細は非公表だが、日本のフィッシングサイトに関しても対策が強化されているという。

 このほか、PCが起動しないなど緊急の場合、CD-ROMやUSBメモリーから起動してウイルスを検出・削除する「レスキュー起動」機能もある(Ubuntu Linuxが起動可能なPCの場合)。

 2011シリーズは、4月末に完成したドイツ版マスタープログラムを日本市場向けに強化し、他社製品に先駆けて「2011」の年号を冠して市場投入するものだが、日本法人であるG Data Software株式会社のJag山本代表取締役社長によると、すでに2010シリーズで機能的なブラッシュアップは済んでおり、今回はそのファインチューニング。目に見えて大きく変わったのはタブ形式を採り入れたユーザーインターフェイスぐらいであり、「正直言って、新機能と言えるものは無い」と言い切る。「これまでと同様、ウイルス検出率99.9%を強く押し出していく。新機能を付けるのではなく、確実にウイルスから守る」。

重いとのイメージは承知済み、検出率高いソフトとして売っていく

 セキュリティソフトを販売するにあたりウイルス検出率99.9%をアピールし続ける点について、山本社長も「時代遅れではないか?」との指摘があることを認める。警察庁がまとめたサイバー犯罪に関する相談受理件数においても、コンピューターウイルスや不正アクセスに関するものは割合が比較的低く、詐欺や悪質商法に関する相談が圧倒的に多いのが実情。また、このほかにも名誉毀損や誹謗中傷、迷惑メールに関する相談もあるため、セキュリティソフトには、ウイルス検出率だけでなく、広範囲な総合力が求められる時代になったというわけだ。

 しかし山本社長は、「ウイルス検出率が高いに越したことはない」と反論する。例えば、ネットオークションや音楽ダウンロードサービスのアカウントが盗まれ不正利用される被害をはじめ、ネットバンキングやオンライン取り引きを行わないユーザーでも、ブログやSNSなどのアカウントを盗まれ、本人になりすまして誹謗中傷の書き込みを行われてしまう被害も、実際に日本で起きていると説明。これらアカウントの窃取に使用されるのがウイルスであり、ウイルスが侵入しないようにすること、侵入しても動作しないようにすることが重要だとした。

 テスト機関のAV-TEST.orgが行っているウイルス検出テストにおいて、G Dataは32カ月連続で1位を獲得。しかも、常に99%台を維持しているという。昨今のように新種ウイルスが次々と現れる状況では、検出率が1%低下しただけでも1万種以上のウイルスが見逃される計算になるとし、山本社長は、検出率99.9%を継続しながら、2011シリーズのテーマとして「G Dataユーザーのウイルス感染ゼロ」を掲げた。


日本市場では、独G Data Softwareのディルク・ホーフストラーテCTOをアメコミ風に描いたキャラクターを投入するパッケージに復活した「ダブルスキャンエンジン」の説明

 なお、高検出率が維持されていることの技術的理由は、G Dataが採用している「ダブルスキャンエンジン」にあるわけだが、その反面、エンジンを2つ搭載していることで処理が重いというイメージが根付いてしまったようだという。実際、G Dataが当初アピールポイントとしていたダブルスキャンエンジンの説明は、そうした理由で前バージョンではパッケージから消えていたという。

 しかし今回、2011シリーズではパッケージにおけるダブルスキャンエンジンの説明が復活。また、「2011シリーズでもデフォルトで週1回のフルスキャンを行う設定を外さなかった。重いと感じるユーザーもいらっしゃるが、そうしたことも納得済みの我々のメッセージと受け取ってほしい」と述べ、あらためて、検出率が高いセキュリティソフトであることをアピールしていくとした。「ウイルス対策ソフトに軽さを求めるならば、他社製品を選ぶべき。しかし、検出率の高さを求めるユーザーが多いのも事実だ」。

 そうはいっても、2011シリーズでもパフォーマンスの改善は図っており、スキャン処理の高速化やメモリー使用量の削減により、2010シリーズよりやや軽くなっているとしている。

Amazon.co.jpで簡易パッケージ版も発売

 2011シリーズは、セキュリティ総合ソフト「G Data インターネットセキュリティ 2011」のほか、これにPC最適化機能とバックアップ機能を追加した「G Data インターネットセキュリティ プラス 2011」、ウイルス対策機能のみに絞った「G Data アンチウイルス 2011」(ダウンロード版のみ)もラインナップされている。

 また、Amazon.co.jpにおいて、過剰な資材を省いた簡易パッケージである「Amazonフラストレーション・フリー・パッケージ」でも販売する。


株式会社ジャングル製品本部プロダクトマネージメント本部の松下豊彦部長。手に持っているのが「Amazonフラストレーション・フリー・パッケージ」版2009年版(左)や2010年版(中)は、どことなく他社製品に似ているパッケージだったが、2011年版(右)では、ロゴを大きくあしらい、G Data製品であることを押し出したデザインとした

 G Data Softwareではジャングルとの販売提携により、日本におけるシェアを3%獲得するという3カ年計画を掲げたが、1年で約1%のシェアが見えてきたという。2011シリーズでは、そのペースをやや加速し、次期バージョンまでの間に2.25%のシェア獲得を目指す。

 ジャングルでもプロモーション施策の一環としてセキュリティ啓発テレビドラマなどとの連携も計画しており、愚直なまでに検出率99.9%をアピールしながら、検出率の高いウイルス対策ソフトが存在するということを市場に認知させていきたいとしている。


関連情報


(永沢 茂)

2010/7/15 15:04