NTT東西は会社分割せず「機能分離」が適当、「光の道」構想に向け骨子案
総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」は22日、「光の道」構想に関する合同検討部会を開催し、最終報告書に向けた骨子案をまとめた。焦点となっていたNTT東西のあり方については、NTT東西の組織はそのままで光回線の設備保有部門と他部門を分離する「機能分離」が適切だとして、ソフトバンクが提案していた光アクセス会社を分離新設する案は退けた。
「光の道」構想は、2015年ごろをめどに超高速ブロードバンドの整備率を100%とし、日本のすべての世帯でブロードバンドサービス利用の実現を目標とするもの。この構想に対してソフトバンクが、NTT東西のアクセス回線部門を分離して会社を新設し、この会社が既存の電話回線(メタル線)をすべて光ファイバーに置き換えることで、5年間で光100%が実現できると提案。これに対してNTTが「強制的な移行は困難」とする見解を示していた。
総務省では、2009年10月からタスクフォースで光の道構想に関する議論を進めており、2010年9月に合同部会が戦略大綱案を発表。今回さらに最終報告に向けた骨子案をまとめた。
骨子案では、超高速ブロードバンドの整備を進めるにあたっては、基幹的な事業者であるNTTと競争事業者との間で一層の校正競争条件を確保し、サービスの高度化・多様化と料金の低廉化を促すことを基本的な考え方として提示。NTT東西に対して、接続料算定方法の見直しなど、さらなる接続料の低廉化を求めた。
また、公正な競争環境整備の観点からは、アクセス回線などのボトルネック設備について、設備を保有するNTT東西自身が利用する場合と、その他の事業者が利用する場合の同等性をより一層確保する措置が必要だとして、アクセス回線部門を完全分社化する「資本分離」、NTT持株会社のもとに分社化する「構造分離」、NTT東西の組織見直しは行わずに社内での分離を行う「機能分離」の3案について検討している。
この点について、設備競争やサービス競争の促進、国民のアクセス権の保障、グローバル競争への対応、NTT株主への影響、実現のための時間やコストといった観点から検討した結果、合同部会としてはNTT東西のアクセス回線保有部門について、その他の部門との間で人事・情報・会計などのファイアウォールを厳格化する機能分離が「最も現実的かつ効果的と考えられるのではないか」と結論付けている。
一方、ソフトバンクが提案した光アクセス会社構想については、事業成立の可能性およびメタルから光への移行に伴う諸課題を踏まえると、不確実性が高いのではないかとして提案を退けている。
合同部会では次回の会合を30日に開催。今後は骨子案をもとに、最終報告をまとめる見込みとなっている。
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(三柳 英樹)
2010/11/22 21:06
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