楽天市場の日商が50億円突破、創業当時の月商32万円から成長、一大販路に


 楽天株式会社は、「楽天市場」の12月15日の流通総額が56億円を超えたと発表した。1日あたりの流通総額が50億円台に乗ったのは初めて。

 この金額は、楽天市場と楽天ブックスを合わせた速報値。同日実施したキャンペーン「お買い物マラソン」「トラベルマラソン」が奏功した。昨年行った同様のキャンペーンと比べても25%増加している。さらに、楽天トラベル、楽天オークション、楽天デリバリーも含めると、同日の流通総額は67億円超となる。

 キャンペーンでは、12月14日午後8時から16日午前1時59分までの30時間、購入店舗数や予約件数などに応じて、楽天スーパーポイントの付与率を最大10倍までアップする企画を実施。例えば、購入店舗数と予約件数の合計が2件なら2倍、3件なら3倍となる仕組みだ。時間帯によって目玉商品が入れ替わるタイムセールも行った。

 この30時間では、楽天市場と楽天ブックスの流通総額は83億円を超えた。特に開始直後のわずか1分間で1000万円を超えたという。クリスマスが近いこともあり、玩具やゲーム、ホビー、腕時計などの販売が伸びたとしている。

 楽天取締役常務執行役員の小林正忠氏は、キャンペーン効果による1日のみのデータだと前置きしながらも、「今秋以降、日本の景気や消費がかなり快復してきたという感覚がある」とコメント。また、楽天市場で展開しているクリスマス特集で対前年比115%増、おせちなどの年末特集でも同70%増の伸びを示していることを明らかにした。

1997年、サービス開始当時の「楽天市場」

 楽天市場は、1997年5月にサービスを開始。小林氏によれば、当初の出店数は13店舗で、初月の流通総額はわずか32万円だった。トップページは、少しでも多く店舗が出店しているように見せるため、すべての店舗名をテキストで羅列したデザインで、しかも小林氏が素でHTMLを書き、バナーも自分でPhotoshopで作成したものだったという。

 楽天市場を立ち上げる前年の1996年、楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏が構想を練っていた事業の1つにインターネットショッピングモールがあったが、日本では当時、大企業でさえも多額の投資をしながらこの分野で成功しているところがなかったという。

 しかし楽天では、「インターネットは、もっと簡単に、もっと便利になる」「インターネットは、爆発的に普及する」「インターネットで、日本人はモノを買うようになる」「インターネットで、流通が変わる」という4つの仮説を立て、これに基づいて楽天市場の事業を開始。単にカタログ通販をインターネットに置き換えるのではなく、「Shopping is Entertainment!」とのコンセプトで展開してきたと語り、それは現在でも変わっていないと小林氏は語っている。


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(永沢 茂)

2010/12/16 19:29