凸版とインテルが協業、クラウド型電子書籍ストア「BookLive!」を2月開始


(左から)凸版印刷の大湊満常務取締役、ビットウェイの小林泰代表取締役社長、淡野正常務取締役、インテルの宗像義恵取締役副社長、インテルキャピタルジャパンの出川章理マネージングディレクター

 凸版印刷株式会社、インテル株式会社、凸版印刷子会社の株式会社ビットウェイの3社は20日、電子書籍市場の早期拡大に向け協力すると発表した。ビットウェイでは、凸版印刷とインテルの投資部門から出資を受けて「株式会社BookLive」を新たに設立。クラウド型電子書籍ストア「BookLive!」を2月上旬に開始する。

 BookLive!では、コミック・小説・実用書などを中心にサービス開始時に約3万点のコンテンツを揃える。雑誌や写真集など取り扱い分野を拡充させ、春までには取り扱い点数を10万点に増やす見通し。サービス開始時点ではPC(Windows)とAndroidに対応し、iPhone/iPadについても追って対応する予定。出版社では、講談社、集英社、小学館、新潮社、日経BP、文藝春秋の各社が賛同を表明している。

 購入した書籍はクラウド上の本棚に保存され、IDによりPCやスマートフォンなど複数の端末から閲覧が可能。また、BookLive!以外の電子書籍ストアとも連携し、他のストアで購入した電子書籍もクラウド上の書庫で管理し、複数の端末で閲覧できる「共有書庫」のサービスも実現していくとしている。

 BookLive!のビューワーソフトには、ドットブック(.book)、XMDF、EPUBの各フォーマットに対応するビューワーエンジンを搭載。国内の主要電子書籍フォーマットが1つのソフトで閲覧でき、今後登場する新フォーマットにもエンジンを追加することで対応するという。

購入した電子書籍は複数端末で閲覧が可能他社のストアとも提携し、クラウド上の「共有書庫」で管理できる仕組みを提供する
ドットブック、XMDF、EPUBに1つのビューワーで対応会場ではスマートフォンやタブレット端末の参考展示も行われた

 凸版印刷では、今回の投資を通じてビットウェイを中心とした電子書籍事業の強化を図り、事業で蓄積したビジネスプラットフォームを他の市場にも展開していくとした。

 ビットウェイでは、電子書籍の取次事業も行っているが、BookLive!と他社のストアを区別することなく、同じ扱いで取次を行っていくと説明。既にソニー・KDDIの電子書籍配信プラットフォーム「ブックリスタ」と提携しているが、今後はさらに紀伊國屋書店やシャープの電子書籍事業にも対応する方向で協議していることを明らかにした。

 ビットウェイの小林泰代表取締役社長は、「多くの読者に本に出会う機会を増やしていきたい」という理念から、BookLive!では複数端末での閲覧や共有書庫といった機能を備えたとして、取次事業では「できるだけ多くのコンテンツをできるだけ多くの会社に提供してきたい」と語った。

 インテルでは、今回の事業協力では書籍のデジタル化やその流通と利用をさらに促進し、新たな市場の創造に貢献すると説明。BookLive!の事業では、電子書籍プラットフォーム環境の構築や、電子書籍ビューワーの開発などについて技術協力を行う予定とした。また、今後はメーカーとの協力により、電子書籍の利用に最適化された独自端末の開発も検討するとした。

 インテルキャピタルジャパンのマネージングディレクターを務める出川章理氏は、「日本にはマンガなどの豊富なコンテンツがあり、通信環境も整っている。世界的メーカーも揃っている。電子書籍市場が爆発的に成長するエコシステムがすべて揃っており、日本でイノベーションを起こして、それを世界に展開していきたい」と投資の意義を語った。


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(三柳 英樹)

2011/1/20 19:39