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「名刺なんてなくなればいい」、無料名刺管理サービス「Eight」の狙い


 「すべての名刺を持ち歩こう」をコンセプトに、無料で名刺をデータ化するサービス「Eight(エイト)」を開始した株式会社三三。ユーザーが撮影した名刺の画像をもとに、会社名、氏名、電話番号、メールアドレスをオペレーターが無料で入力する「世界初」のサービスにかける意気込みを、同社の寺田親弘社長に聞いた。

有史以来の課題を解決するサービス

三三株式会社の寺田親弘社長

――サービスを開発したきっかけは。

 いちビジネスパーソンにとって、名刺管理は有史以来の課題です。そうした中、スマートフォン向けの名刺管理アプリが次々とリリースされていますが、「一度は試してみたけどあきらめてしまった」という人が大半だと思います。

 それでもなお、新たな名刺管理アプリが登場するたびに、App Storeのビジネスカテゴリーで上位にランクインしていますが、これは名刺管理へのニーズの表れです。Eightは名刺管理の課題を解決するサービスの「決定版」という自負があります。

――類似サービスとの違いは。

 最大の特徴は、スマートフォンのアプリで撮影した名刺データをEightのサーバーに送信すると、弊社のオペレーターが会社名、氏名、メールアドレス、電話番号を手作業で入力してデータ化することです。データ化までを無料で提供するのは世界初でしょう。

 データ化した名刺情報については、スマートフォンやタブレット端末、PCといったマルチデバイスからアクセスできます。当初はiPhoneとiPad向けのアプリのみを提供しますが、年内にAndroid向けアプリを提供する予定です。

 ソーシャルを意識した設計になっているのも特徴です。Eight上でつながっている(Eight上では「リンク」と呼んでいる)人に対しては、自分の名刺を更新すればその内容が反映される仕組みになっています。

 Facebookやmixiとの連携も可能です。例えば、Eight上の名刺にFacebookの顔写真を表示させたり、Facebookのアカウントを紐付けられる。Eight上から相手のFacebookにアクセスすれば、訪問前にその人が何をしていたかがわかり、訪問時の会話も弾むでしょう。
Eightのサービスイメージ

スキャナー対応? 年賀状配信? 有料プランは年内に発表

――データ入力はどのように行っているのですか。

 日本国内と中国にオペレーションを置いています。法人向けサービス「リンクナレッジ」では、複数のオペレーターが同じ名刺データを入力することで誤りがないかをチェックしていますが、Eightでは1人が名刺データを入力するのみです。ただし、メールアドレスだけは誤りがないように、1人が2度入力しています。

 繰り返しになりますが、名刺のデータ入力まで無料というのは世界初だと思います。人件費は鼻血が出るくらいかかりますね(笑) 当初は赤字覚悟ですが、今後はフリーミアムモデルとして、有償プランを提供していきます。

――当面は無料サービスのみのようですが、収益化はどう考えていますか。

 具体的な有償サービスは未定ですが、例えば、メールや転職の案内を一括配信したり、市販のスキャナーから名刺データを読み込むサービス、名刺データをもとに年賀状を送るなど、アイデアは山ほどあります。課金形態や料金とともに、年内に発表します。

 ちなみにEightでは、画像のマッチングをもとに、1度入力した名刺を再度入力しないテクノロジーを導入しています。名刺データは入力するごとに人件費がかかりますが、同じ名刺を見つけた際はデータを入力しないようにしているのです。

 世界では3億人が名刺を使い、年間100億枚の名刺が流通していると言われています。極端な話ですが、世界中で3億枚の名刺データを入力すれば、新たな入力、つまり人件費は発生しない。そのため、Eightはフリーミアムモデルに適していると考えています。

紙の名刺を電子名刺に置き換える

――今後の目標は。

 年内にはAndroidをサポートし、NFC(非接触カードリーダー)を活用して名刺データを交換するサービスを提供する予定なのですが、将来的には紙の名刺を電子名刺に置き換えるアプローチをしています。

 我々は創業以来、名刺管理サービスを提供していますが、「名刺なんてなくなってしまえばいい」と思っています。とはいえ、携帯性を考えると、名刺はコミュニケーションデバイスとして現時点で最強。いきなり電子名刺に切り替えようというのは、「夏は暑いので裸で歩きましょう」と同じで、実現は難しい。徐々にパラダイムを変えていきたいですね。

――海外展開も視野に入れているのでしょうか。

 FacebookやLinkedInが名刺を置き換えるという声も聞きますが、実際には名刺の流通枚数は増えています。新興国の人々がホワイトカラー化し、名刺を使い始めているからです。我々としては新興国も含めてグローバルを視野に入れています。

 世界で通用するサービスを見てみると、例えばTwitterはTwitter、EvernoteはEvernoteしか提供しておらず、Dropboxに向かって「次は何をやるのか」と聞いても意味がありません。

 つまり、特化しないと世界で勝負できないということ。我々は創業から4年半、名刺のことだけを考えている集団で、世界最先端の名刺管理ノウハウを持っている会社です。そのような立ち位置から世界を取りにいきます。


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(増田 覚)

2012/2/28 13:00