中国動画サイトで日本のコンテンツ正規配信へ、海賊版対策のCODAが後押し


 コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は30日、海賊版対策として中国、香港、台湾の現地取り締まり機関と共同で推進している活動の実績を発表した。2011年4月から2012年3月までに押収された映画やアニメ、音楽、ゲームなどの海賊版DVDやCDなどは28万9868枚で、170人が逮捕された。

 CODAは、日本の映画、音楽、ゲーム、放送、アニメ、ゲーム産業の企業や団体などで構成。2002年8月に任意団体として設立し、2009年4月に一般社団法人化した。日本のコンテンツを海外に事業展開するにあたって障害になっているという海賊版の横行に対処する活動を行っている。

CODAが押収した海賊版DVD

日本のコンテンツ専門の海賊版販売店が増える

 中国、香港、台湾での取り締まりは、MPA(米国映画協会)と共同で実施しているもの。CODA常務理事・事務局長の永野行雄氏によれば、この取り締まりでは、日本のコンテンツを専門に扱う海賊版販売店舗は対象外。米国のコンテンツを扱う海賊版販売店舗が日本のコンテンツも販売していた場合のみ、取り締まりの対象となっている。

 このため、現地では「日本のコンテンツを専門に扱っていれば摘発されない」という認識が広がり、昨今では日本のコンテンツ専門の海賊版販売店舗が増えてきた。そこでCODAは現地の行政組織と連携し、上海市と台湾で日本コンテンツ海賊版販売店舗の一斉取り締まりを実施した。

 その結果、上海では7軒の店舗を摘発し、約2万枚の海賊版DVDを押収。このうち約1万6000枚は、日本の放送番組やアニメの海賊版だった。なお、CODAでは取り締まり後にも各店舗が海賊版販売を再開したことを確認したため、2012年4月までに合計5回の取り締まりを実施した。台湾では5店舗を摘発し、約1万枚の海賊版DVDを押収した。

正規コンテンツの流通は東アジアでも機が熟した

CODA常務理事・事務局長の永野行雄氏

 また、CODAに参加する25社・団体の協力を得て、「Youku」や「PANDORA.TV」といった中国や韓国の動画投稿サイトに対して日本のコンテンツの削除を求める通知を送付。2011年8月から2012年3月までに、6万2392件の通知を送付し、削除率は99.46%とほぼすべてが削除されたという。

 ネット上の著作権侵害対策と並行して、中国の動画投稿サイトで日本の正規コンテンツを配信するための交渉も行っている。CODAでは正規ライセンスを行う際に必要な契約内容を検討しており、2012年2月には東京に中国の動画投稿サイト運営者を招待し、日本の権利者との正規ライセンスを目的にした会合を開いた。

 インターネット経由の著作権侵害を解決する究極の方法は、正規コンテンツを適切な方法と価格で提供することと語る永野氏。「身近に本物がないので仕方なく海賊版を買っている状況もある。正規流通は東アジアでも機が熟した」。年内には、中国の動画投稿サイトと共同で、正規配信許諾の実験をスタートする予定だ。


関連情報


(増田 覚)

2012/5/30 14:54