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海賊版押収累計455万枚、コンテンツ海外流通促進機構が活動報告

中国とネット上の違法アップロード問題について意見交換も実施

 コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は30日、海賊版対策として中国、香港、台湾の現地取り締まり機関と共同で推進している活動の実績を発表した。取り締まり活動を開始した2005年1月から2008年3月までの期間で押収された映画やアニメ、音楽、ゲームなどの海賊版DVDやビデオCD、CDは累計455万枚で、1815人が逮捕された。1枚あたり1300円と見積もると、押収物の総額は59億2000万円以上に上る。


映像内にもCJマークを表示

CODAの高井英幸代表幹事

CJマーク付き商品の例
 CODAは、日本のコンテンツ業界が海外での事業展開を図ることを目的に、文化庁と経済産業省の呼びかけで、2002年に設立された民間の任意団体。現在、音楽や映像、アニメ、ゲームの制作会社や流通業者、著作権関連団体など、22の企業と20の団体が参加している。

 CODAの活動には海外での海賊版対策があり、その1つとして展開しているのが、DVDのパッケージなどに「CJ(Content Japan)マーク」を掲載するというものだ。CJマークは各国で商標登録されており、パッケージをコピーした海賊版の場合、それを商標権侵害として摘発できる。CJマークによって、著作権侵害よりもシンプルなプロセスで海賊版を摘発できるという。

 CODAの高井英幸代表幹事は、CJマークについて、「(海外における)日本コンテンツの権利保護の基盤になりつつある」と話す。高井氏は、パッケージだけでなく、映画のエンドロールにもCJマークを表示した例を紹介。「CJマークは、日本のコンテンツに表示を義務付けるものではまだないが、我々としてはより多くのコンテンツに表示して広く普及させ、海賊版対策の効果を上げていきたい」とした。


CJマークによる初めての摘発

CODAの後藤健郎CJマーク委員長
 CODAの後藤健郎CJマーク委員長は、2007年度の活動実績について説明した。それによると、2007年度に香港、中国、台湾において押収した海賊版は86万枚で、逮捕者数は616人だった。2008年2月には、香港でCJマークの商標権侵害による海賊版摘発を行なった。「特定国の業界団体が統一マークを用いて商標権審議で差遺族版の摘発を行なうケースとして、世界初の成功事例」だという。

 CJマークを商標登録している国および地域は、日本をはじめ、香港、台湾、EU諸国、米国、韓国で、中国は出願中となっている。なお、CJマークの表示は強制ではなく、コンテンツホルダー各社の判断に任せている。後藤氏は、「中国において、まだ出願中であることを、ネガティブにとらえている企業がいるのも事実」とコメント。中国における早期のCJマーク商標登録が待たれるところだ。

 また、CODAでは、取り締まり活動とあわせて、各国の取り締まり担当官に対する摘発協力や関係構築を目的とした「トレーニングセミナー」を実施している。2007年度は、香港、台湾、深セン、広州、マカオ、上海、北京の7都市で開催し、505人の担当官が参加した。「現地の執行機関と常に対話を重ねており、現在では有形物(パッケージ商品)だけでなく、P2Pで流通している海賊版対策の話も出ている」(後藤氏)という。

 加えて、2007年度は、私的録画補償金管理協会(SARVH)の助成を受け、中国および韓国における日本コンテンツのインターネット違法サイト実態調査を実施した。調査結果は、今後の取り締まり活動の基本情報として活用するほか、関連セミナーなども行なう予定。後藤氏は、「今後はインターネット上の違法アップロードについてもCJマークの権利行使を検討したい」として、「まずは削除要請を行なうことになるだろう」と述べた。


2007年度の取り締まり活動の成果 CJマーク商標権による海外版摘発の事例

初の訪中ミッションを実施

 CODAの高嶋裕彦法制度委員長は、訪中ミッションについて説明した。CODAでは、2008年6月1日から6日にかけて、中国の北京と上海に初めて訪中ミッション団を派遣。音楽、ゲーム、出版社などの代表者および文化庁、経済産業省など、合計9社・3団体・2省庁から22人が参加した。CODA独自の海外ミッションは初めてになるという。

 訪中ミッションでは、インターネット上の違法アップロード問題改善に向けて、国家版権局に申し入れを行なったほか、中国インターネット協会や中国版権協会内の海賊版撲滅委員会、中国のコンテンツホルダーと意見交換を行ない、協力関係構築方針を確認した。なお、今回は、CODAが2006年度に発表した中長期ビジョンの実践に向けた対話型ロビー活動による展開の第1歩として実施したものだ。

 高嶋氏は、訪中ミッションの背景について、「2008年5月に中国の胡錦濤国家主席が来日した際、福田総理との日中共同声明において、知的財産保護協力について触れられたように、中国政府が知的財産保護に前向きに取り組んでいること。また、四川大地震において、日本からの積極的な救援・救済があったことなどから、有意義なミーティングを行うことができた」と述べた。「今回、インターネット上の問題については、国家版権局も同じ問題意識を抱えていることを確認できた」とし、「CODAとしては、中国政府への協力・要請を継続していきたい」とコメントした。


CJマーク開始の経緯 中国で人気の日本コンテンツ

海賊版の例 パッケージのCJマーク

関連情報

URL
  コンテンツ海外流通促進機構
  http://www.coda-cj.jp/
  ニュースリリース
  http://www.coda-cj.jp/news.html

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( 野津 誠 )
2008/06/30 16:50

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