ニュース

Googleのディープラーニングシステムによって、人工知能が初めて囲碁のプロ棋士に勝利

将来は気候モデリングや疾病分析などへ応用

 米Googleは28日、同社が開発したディープラーニングシステム「AlphaGo」が初めて囲碁のプロ棋士に勝利したと発表した。

 チェスでは、1997年に米IBMの「ディープブルー」がプロに勝利しているが、囲碁において考えられる手の数は「宇宙の原子の数よりも多く、チェスの指し手のグーゴル倍(10の100乗倍)」になるため、すべての指し手に対して探索木を割り当てる従来のAI方式では人間に通用しなかったという。

 AlphaGoは、「モンテカルロ木探索」「ディープニューラルネットワーク」を組み合わせたもの。碁盤自体を入力と見立て、情報を数百万のノードからなる12層構成のニューラルネットワークで処理している。「ポリシーネットワーク」で次の手を決定し、「バリューネットワーク」で勝者を予測する。囲碁の達人たちによる3000万を超す指し手を用いてトレーニングすることで、57%の確率で次の手を予測することができるようになった。なお、これらの計算には同社の提供する「Googleクラウドプラットフォーム」を活用しているという。

 全トレーニング完了後、他のコンピューター囲碁プログラムとトーナメント形式で対戦させたところ、500戦中499勝を納めることができた。さらに、欧州大会で3回優勝したプロ棋士のFan Hui氏に5戦中5勝し、初めてコンピュータープログラムが囲碁のプロ棋士に勝利することができた。対局の詳細は28日付の米Nature誌に掲載されている。

Nature誌がまとめたFan Hui氏およびAlphaGo、その他の人工知能の段位(Google Research公式ブログより画像転載)

 AlphaGoは今後、3月にソウルで行われる韓国のプロ棋士、イ・セドル氏との対局に臨む予定。さらにGoogleは、AlphaGoで培った技術を「将来的に気候モデリングから、複雑な疾病分析など現代社会の喫緊の課題を解くために応用する」としている。

(磯谷 智仁)