京都市、無料の無線LANスポット整備、バス停・コンビニなど市内に630個所


 京都市は4日、公衆無線LAN整備事業「京都どこでもインターネット(KYOTO_WiFi)」を実施すると発表した。誰でも無料で使える無線LANスポットを市内に630個所設置。京都を訪れる外国人旅行者が手軽にインターネットに接続できるようにする。国内からの観光客や一般市民も利用可能だ。

 設置場所は、市バスのバス停350個所、地下鉄駅31駅、セブン-イレブン(まちなか案内所)約130店舗、市役所や区役所、総合観光案内所、中央図書館、二条城などの公共施設約120個所。8月中旬以降、ターミナル周辺のバス停から順次設置を開始し、2013年3月末までに500個所に設置。その後、630個所まで拡大する予定だ。京都市によれば、自治体が展開する無線LANスポット事業で、具体的な設置個所数が示されているものとしては全国最大規模。

KYOTO_WiFiのステッカーの例

 利用できる場所にはKYOTO_WiFiのステッカーが張られており、そこに記載されたQRコードまたはメールアドレス宛に空メールを送信すると、ゲストコード(利用パスワード)が返信されてくる。利用者はスマートフォンなどからKYOTO_WiFiのアクセスポイントを選択し、ブラウザーからゲストコードを入力することで、インターネットに接続できる。なお、無線LANは暗号化されていない。

 受け取ったゲストコードでインターネットに接続できる時間は、バス停、地下鉄駅、セブン-イレブンでは3時間まで。これを経過すると自動的に切断される。ただし、あらためて利用手続きを行い、再度ゲストコードを取得すれば、同じスポットで利用を継続することも可能だ。一方、公共施設では、各施設が開所している時間は利用できる。また、災害時には、利用手続き不要で、時間制限なくインターネット接続できるよう解放される。

 KYOTO_WiFiは、公募により選定したKDDI株式会社と株式会社インフィニティとの官民協働事業として展開するもの。バス停などのスポットをKDDIが、公共施設のスポットをインフィニティが整備する。

 バス停などに設置するアクセスポイントは、株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)のインフラによるもの。KYOTO_WiFiのサービスのほか、同社の公衆無線LANサービス「Wi2 300」のスポットしても提供される。

 観光庁の調査によれば、外国人旅行者が旅行中に困ったことの第1位が「無料の公衆無線LAN環境が整っていないこと」だったという。すなわち、割高なローミング料金のため、日本への旅行中にスマートフォンなどで手軽にインターネットを利用できない状況にあるわけだ。

 京都市を訪れる外国人旅行者は年間200万人。一方、メールアドレスを登録するタイプの公衆無線LANサービスについて、外国人旅行者の67%が利用意向を示しているとの調査結果が出ているという。このことから京都市では、KYOTO_WiFiを利用する外国人旅行者を136万人に上ると見積もっている。これを踏まえ、ステッカーや接続画面なども日本語・英語併記にするという。


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(永沢 茂)

2012/7/5 19:59