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仮想通貨「Bitcoin」、初めて信任を得る〜仏当局が既存銀行経由で実質的認可

 今週、仮想通貨「Bitcoin」がフランスの通貨当局から一定の信任を得たことによって、国家が発行する通貨に一歩近づいたことが話題となっている。

 これは、仏Paymium社が仏銀行Credit Mutuel Arkea社と同社関連決済サービス企業Aqoba社との提携発表したことに端を発する。Paymiumはユーロ経済圏で人気のBitcoin取引所「Bitcoin-Central」を運営している。

 この提携により、計画されているサービスが実現すれば、Bitcoinをユーロに交換する限り、Bitcoinを仏金融当局が認可した一種の銀行口座(決済専用口座)の中で保有できるようになる。

 ただし、Bitcoin自体を口座で保有できるわけではない。Aqoba社の決済専用口座は、投資や銀行ローンなどを受けられないという意味で、普通の銀行口座とは異なる。しかし、ユーロと交換することにより、預金引出、デビットカードの発行が可能だ。また、仏金融当局による口座番号(IBAN)が付与され、日本の預金保険機構に当たる「Garantie des depots」によりユーロ口座資産が保護されることになる。

 Bitcoinは、これまでもごく一部のサービスや商品では使用することができた。しかし「クーポン券」のような扱いを超えて、一種の通貨として取引できるレベルで規制当局の信任を得られたのは今回が初となる。

 Bitcoinは、2009年に「Satoshi Nakamoto」氏らによって論文で発表された仮想通貨で、中央銀行のような発行母体を持たず、数学的、暗号学的アルゴリズムによってコンピュータの中で生成され、その後は匿名性を保ちながら流通できる特徴を持つ。考案者のNakamoto氏については、実在する人物であるかどうかを含め、様々な調査、憶測が行われてきたが、確認できていない。

 Bitcoinはその数学的特性や匿名性が技術好きコミュニティーの間で人気を集め、複数の取引所で扱われている。しかし、その一方で2011年に不自然な価格暴騰とその直後の暴落を引き起こし、背後にハッカー集団による不正取引、麻薬取引、マネーロンダリングに関する疑いが話題となったことから、米国上院公聴会が開催される事態に発展したこともある。発行母体がなく、匿名性の高い通貨であることから、今後もこうした危険性が伴うと考えられている。また、貨幣として経済学的な取り扱いも定まっておらず、金融当局も関心を持っているとされている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)