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米MozillaがFirefoxにDRMを採用へ〜オープン性に疑問符がつく苦渋の選択

 米Mozillaは14日、オープンでないデジタル著作権管理(DRM)システムをFirefoxに組み込むことで妥協せざるを得ないとの決定を発表した。

 デスクトップ版Firefoxが採用するのは、HTML5でDRMコンテンツを再生するためのウェブ標準規格仕様「W3C Encrypted Media Extensions(EME)」である。Android版、FirefoxOSには当面採用しない。

 EMEにより、HTML5でも動画コンテンツに著作権保護を加えられるようになり、特定の端末、一定の期間しか見られないようにするなどの制限が可能になる。これは映画、動画業界が強く求めてきた技術だ。2013年に米Googleと米Microsoftが米動画配信サービス最大手のNetflixと共に仕様として提案していた。

 MozillaはこれまでDRMに強く反対してきた。Mozillaのミッションステートメントは「私たちのミッションは、インターネット上のオープン性と革新、機会を促進すること」と謳っており、DRMはこの「オープン性」に反していると考えられるからだ。しかも他社と異なり、Mozillaは非営利団体である。

 それにもかかわらず今回の決定に至った理由として、Mozilla会長Mitchell Baker氏は、「ビデオがオンライン生活の重要な側面であり、ビデオを有効にできないウェブブラウザーは、コンシューマ向け製品としてそれ自体に大きな欠陥があると言わざるを得ない。Firefoxユーザーは、制限のかかったビデオを見たいと思うたびに別のウェブブラウザーを使用しなければならず、製品としてのFirefoxの有用性に疑問を投げかけることになる」と説明した。

 Mozillaのミッションに反するのではないかとの懸念については、「Mozillaは、代わりとなるシステムが所定の位置に収まるまでの間は、Firefoxユーザーがウェブブラウザーでストリーミングビデオを視聴する時に、DRMを使用するかどうか選択できなければならないと考えている」と説明し、矛盾しないとの見解を示した。

 MozillaがEMEをFirefoxに搭載する具体的日程はまだ明らかにされていない。ただMozillaはDRMモジュールを独自実装せず、オープンなサンドボックスを実装し、その中にAdobe製のモジュールをインストールする方法を採用する。利用者はDRMコンテンツが必要になったときに、このAdobe製モジュールをインストールするかどうかを決定できるとしている。

 今後の理想的な展望として、Mozilla CTOのAndreas Gal氏は、「W3C EMEベースのDRM世界とはしばらく共存しなければならない可能性が高いが、我々は最終的には電子透かしのようなより良いシステムが勝利すると確信している。なぜならその方がユーザーにとって利便性が高く、また最終的にはビジネスのためにも良いからだ」と述べている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)