ICT人材教育で産学協力、シスコやNTT Comのトレーニング課程を大学でも


ICT教育推進協議会の会長を務める東京大学の江崎浩氏
Training Center Japanとの連携

 ICT技術者の教育のあり方や現状の問題点などについて、産学で意見交換や情報共有を行う「情報通信技術教育者合同会議2010」が8月17日・18日の2日間、東京大学本郷キャンパスにおいて開催されている。

 主催するのは、東京大学教授の江崎浩氏を会長として4月に設立された「ICT教育推進協議会(ICTEPC)」。これまでICT人材育成に対する考え方については、中長期スパンでの学術研究を主とする大学・大学院などと、事業で即戦力となるスキル教育を求める産業界ではミスマッチがあったという。ICTEPCでは、教育界と産業界との橋渡し役・交流の場となり、社会のニーズに合った人材を輩出していくための教育の実践を行う。

 活動は教育テーマごとにワーキンググループ(WG)を設置して展開し、すでに「ネットワーク教育WG」が進行中。さらに「IPv4アドレス枯渇対応WG」や、留学生に対応できるよう教育・教員のグローバル化を支援する「国際化対応WG」も2010年度中に設置予定だ。

 ネットワーク教育WGは、ICT教育プログラムの講師を支援するための組織「Training Center Japan(TCJ)」が運営。シスコシステムズ合同会社が提供している教育機関向けプログラム「Cisco Networking Academy(CNA)」とすでに連携をとっており、講師への支援や同プログラムを導入している教育機関における運営状況や教育成果の調査などを行っている。

 さらに今後、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が運営しているインターネット検定「ドットコムマスター」との連携も決まっているという。

 江崎氏は、ICT教育のあり方について議論するだけではなく、こうした少人数制によるハンズオン形式のICT教育プログラムを教育機関の現場で実践して見せることがICTEPCの最大の特徴だと説明。さらに初等・中等段階でのICT教育の実践および講師の育成も方針として掲げており、今後は政策提言活動なども展開する考えだ。

 ICTEPCの運営委員は、大阪大学サイバーメディアセンターの下條真司氏、日本電子専門学校の木下稔雅氏、奈良先端科学技術大学院大学の山口英氏(TCJ西日本代表世話人)、東京大学の吉田眞氏(TCJ東日本代表世話人)、シスコシステムズ合同会社が務める。

 8月12日現在、一般会員としてIPv6普及・高度化推進協議会、青山学院大学附置情報科学研究センター、麻生情報ビジネス専門学校、帝塚山大学、東京大学大学院情報理工学系研究科江崎研究室、奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科、日本電子専門学校、WIDEプロジェクト、賛助会員としてインフォテリア株式会社、特定非営利活動法人エルピーアイジャパン、シスコシステムズ合同会社、株式会社日経BPマーケティング、ネットワンシステムズ株式会社が名を連ねている。会員を募集しており、2010年度中に計100団体の加盟を目指す。


(左から)東京大学の吉田眞氏、奈良先端科学技術大学院大学の山口英氏(左から)日本電子専門学校の木下稔雅氏、シスコシステムズ合同会社の長部謙司氏




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(永沢 茂)

2010/8/17 14:14