テレワークグッズ・ミニレビュー
第128回
USB充電式電動ドライバーって便利なの? 人気のパナソニック 充電ミニドライバーとベッセル 電ドラボールプラスを比べてみた
2025年4月18日 12:15
パナソニックのUSB充電式電動ドライバーが人気だ。セールの記事を掲載すると、毎回かなり読まれるし、実際に売れている。
結構な工具マニアの筆者だが、実のところこのタイプの電動ドライバーは持っていない。USB充電式の電動ドライバーというとベッセルの電ドラボールが火付け役だったが、当時はすでにペン型のドリルドライバーを2つも持っていたので、買い足すことはなかった。
ただ、これだけ注目を集めているとなると実際に触ってみたくなる。そこで今回は本誌でも人気のパナソニックの電動工具ブランド EXENAの「充電ミニドライバー EZ1D11S」と、ベッセルの最新モデル「電ドラボールプラス 220USB-P1」を使って、筆者視点でオススメの電動ドライバーを選んでみたい。
目からウロコ!! 使ってみると結構いいぞ! 電動ドライバー
電動ドライバーの上位互換のようなペン型ドリルドライバーを持っている筆者からすると、電動ドライバーなんて、軽いとはいえ、非力過ぎてさほど役に立たないだろうと思っていた。
だが、今回初めて電動ドライバーを使ってみたところ、これが想像以上に使い勝手がよくて、かなり気に入ってしまった。
その最たるポイントが、電動からシームレスに手動に移れるところだ。
ペン型のドリルドライバーであっても、本締めの際は手の力で行う。その場合、ペン型ドリルドライバーの場合、ロックスイッチでドライバーのビットが空転しないようにする必要がある。
ただ、いちいち切り替えるのは面倒だし、ペン型とはいえあまり握りやすい形でもないので、作業の際にはもう1つ普通のドライバーを持っておいて、手締めは普通のドライバーに持ち替えて行う、というのが筆者の使い方だった。
ところが電動ドライバーの場合、ロックスイッチのようなものはなく、電動で締め込んだら、そのままグイッと手締めすることができる。しかもグリップはボール型で一般的なドライバーと似た形状なので、手締めの際のトルク感も分かりやすい。
手締めで使う時は多少スイッチ部分がジャマにはなるものの、重さとしてもハンドツールとして許容できる範囲で、ほぼ普通のドライバーの感覚で使える。これはかなり画期的に感じた。
そして収納場所もポイントだ。ドリルドライバーだと、専用の充電器なども入れられるハードケースに入れてあって、使う時はケースを出してきて、ビットを選んで取り付けてと、まぁ多少なりとも準備が必要になる(といっても電動工具なら当たり前のことだが)。
だが、電動ドライバーにケースは不要だ。普通のドライバーと一緒にドライバーホルダーに挿しておける。USBで充電できるから、専用の大きな充電器もいらない。もちろん場合によってはビットを替える必要はあるが、おおむね使うのはプラスのNo.2だから、それをつけっぱなしにしておけばいい。
ネジ数本のためにわざわざドリルドライバーを出す気にはならないが、電動ドライバーは特に事前準備も不用で、普通のドライバーと同じ感覚で扱えるから、使う時のハードルが圧倒的に低い。これは目からウロコ、もっと早く買っておけばよかった。
人気の電動ドライバーを比較
さて、電動ドライバーの魅力にすっかりハマってしまったわけだが、では数ある電動ドライバーでどれがオススメなのか?
ここでは、次の2本をピックアップしてみた。本誌記事で注目度が高かったパナソニック EXENAの「充電ミニドライバー EZ1D11S」と、電動ドライバーの代名詞とも言えるベッセルの「電ドラボールプラス 220USB-P1」だ。どちらもUSB Type-Cで充電できるタイプを選んでみた。
この両者は、どちらもかなり人気の高いモデル。Amazonでの実売価格は記事執筆時点でパナソニックの充電ミニドライバーが7258円(記事掲載時点では6695円で販売中)、ベッセルの電ドラボールプラスが4473円と結構な差がある。にもかかわらずパナソニックがベッセルに負けじと人気がある理由も気になるところだ。
なお、パナソニックの充電ミニドライバーには、miniQuの愛称の「EZ7412S」もあるが、こちらは充電ポートがmicroUSBで回転速度も遅い。見た目がそっくりなので購入時は注意していただきたい。また、ベッセル電ドラボールにも「プラス」の付かないベーシックなモデルや、ハイスピードモデルがあって、やはりmicroUSBタイプ。こちらは型番もそっくりなのでやはり注意が必要だ。
では、それぞれのスペックを見ていくと、パナソニック 充電ミニドライバーの特徴はなにより速さだろう。最大回転速度は850回転/分とかなり速い。その点、ベッセルの電ドラボールプラスは3つのモード切替が可能なものの、最高でも400回転/分にとどまる(同じシリーズの電ドラボールハイスピードだと1200回転/分)。
ただしパナソニックは高速ではあるものの電動のトルクは低く0.4Nmにとどまる。その点電ドラボールプラスは最大2.0Nmだ。
それと、電動ドライバーには手締めの最大トルクというのもある。スイッチ切り替えなど不要で手締めができる代わりに、手締めで空転しない最大トルクがあるわけだ。この手締めの最大トルクはパナソニックは8.0Nm、ベッセルが12Nmとある。
プラスのNo.2のドライバーで扱うのはおおむねM5程度までだと思うが、一般的なM5ネジの標準締め付けトルクは3Nmなので、どちらも問題のないレベル。ちなみにM6の標準締め付けトルクが5.2Nm、M8が12.5Nmなので、M8だとベッセルでも足りない。おそらく太い木ネジを木にねじ込むような使い方だと、パナソニックの8.0Nmだと足りないことがあるかも、という感じだろう。
というわけで届いた製品を見ていこう。
まず本体の大きさと重さだが、パナソニックのほうが16mmほど短くコンパクトだが、重さは公称値ではどちらも170gと同じ。狭い場所での作業を考えると、少しでもコンパクトなほうがいいので、パナソニックに軍配が上がる。
どちらもNo.2のプラスドライバーのビットが付属するがパナソニックには短いビットもあって、狭いところでの作業を意識しているようだ。一方のベッセルは皮膜付きタイプのドライバービットとなっていて、電工での利用を意識したものになっている。
回転のスイッチは、どちらも先端に近い方が締め込みで、手前側が緩める方向になっていて、直感的で分かりやすい。不慣れな人だと緩めるのは右回転か左回転か分からなくなるので、そういう人にも使いやすいだろう。
ただし、スイッチのタイプが、パナソニックが押しボタンなのに対して、ベッセルはスライドタイプになっている。どちらが良いかはなかなか悩ましいところ。操作が楽なのはパナソニックのボタン式だが、ボタンが2つあると、たとえばグローブをしている時などに押し間違える可能性がある。それよりは1つのスイッチの操作する方向で挙動が変わるベッセルのほうが、特に手元が見えないような作業では利にかなっているかもしれない。ただ、どちらも使い勝手が悪いわけではないので、これは慣れの問題だろう。
そしてベッセルには回転スイッチのほかにモード切替のスイッチがあって、長押しすることで3つのモードを切り替えることができる。
どのモードになっているのかはスイッチの点灯、点滅の仕方で分かるようになっている。のだが、まぁはっきり言って分かりにくい。速い点滅と遅い点滅と点灯、毎日使っていれば覚えるだろうが、DIYでたまにしか使わない身としては、結局一通り試して確認することになりそうだ。これこそスライドスイッチにしておいてくれれば、切り替えも速いし、モードの確認も直感的でよかったのでは? と思ってしまう。
充電ポートはどちらもUSB Type-Cだ。ベッセルには充電ポート部分にカバーがあるが、パナソニックにはない。木工作業など粉塵が多い場所で使うにはカバーがあったほうが安心だろう。
バッテリー容量はパナソニックが3.7V・850mAhで市販のUSB充電器(5V/2A)を使って約45分で充電可能。ベッセルが3.6V・800mAhで5V/1AのUSB充電器を使って約1時間で充電できる。ちょっとした差だが、作業中にバッテリーが切れた場合、予備バッテリーに交換できないので、少しでも短時間で充電できるほうがありがたい。ちなみにどちらも充電しながら利用することはできなかった。
トルクの低いパナソニック、だが使いやすい!!
さて実際に触ってみた感想だ。実のところ、パナソニックはトルクが小さすぎてダメなんじゃないかと思っていたのだが、結論からするとパナソニックが気に入ったしオススメだ。
もちろん利用用途によって異なる。だが、おそらく本誌読者だと、木ネジを締め込むような使い方より、自作PCの組み立てなどが多いだろうということ、加えてそこまで電動工具にも慣れていないだろうことを踏まえると、パナソニックはとてもよくできている。
まず一番がスピードだ。手回しからすればベッセルの400回転/分でも十分速いと思っていたが、パナソニックの850回転/分を体感してしまうと、遅く感じてしまう。
その分締め付けトルクが弱いので、たとえば木ネジとか、あるいはさび付いたネジを緩める時などは力不足かもしれない。試しにコーススレッドと呼ばれる木ネジを木材にねじ込んでみたが、1cmほど入ったところで止まってしまった。ただ、普段室内で使っているPCや家電などのネジなら、そこまで固いことはないので、パナソニックのトルクで十分だ。
ベッセルは、トルクが強いので多少渋くても問題なく締め込むことができる。先ほど同様スレンダースレッドを木材にねじ込んでみたが、細身の木ネジなら電動パワーだけで最後までねじ込むことができた。ただし、トルクが強い分、最後の締め終わりに反動でグリップ側が逆回転しようとして手首を持って行かれる。もちろんちゃんと力を入れて構えておけば問題ないのだが、特に工具に不慣れな人だと、そのタイミングでネジの頭をなめる可能性がある。
その点、パナソニックは潔いほどにカンタンにあきらめる。ネジを締め込んでいって奥まで当たるとほぼ同時に電動の回転が止まるし、同時にブレーキがかかるようで、手首が持って行かれることがほとんどない。あくまで早回しできる部分だけを電動でやって、締め込むところは手動でやる、という割り切りがしっかりしている。
使ってみるとこれは結構重要で、たとえばインパクトドライバーの様に、本締めまでできる電動工具もあるが、その使い方は難しく、素人がやるとカンタンにネジの頭をなめてしまう。パナソニックの充電ミニドライバーはそこをしっかりと割り切った製品に思える。
筆者がドリルドライバーを持っているというのもあるだろう。木ネジを締め込むような作業であれば、ドリルドライバーを使えばいい。実際のところ木が割れないように下穴をあける必要もあるので、ドリルも使えるドリルドライバーは木工作業には最適なのだ。なので、パナソニックじゃ木工には力不足、と感じる人にはむしろドリルドライバーをオススメしたい。
下穴ドリルも使えるベッセルなら木工でも使える!!
ではベッセルの電ドラボールプラスがダメかというとそんなことはない。こちらはたぶんもっとプロユース向けだろう。先ほど言った手首が持って行かれるところなども、電動工具に慣れている人であれば問題にはならないし、木工やさび付いたネジなど、扱うネジが多岐に渡る場合には、ベッセルのトルクの大きさは武器になる。
さらに面白いのが、電ドラボールには専用の下穴ドリルも用意されているところだ。
小さいトルクでも穴が開けやすい逆テーパーのらせん形状になっているとのことで、電ドラボールでも木に下穴が開けられるというもの。下穴を開ければ、木が割れたり、ねじ込むときに曲がったりすることも防げるし、締め付けトルクが弱くても、下穴があればより入り安くなるので、電ドラボールと組み合わせるのは、利にはかなっている。
個人的には、そこまでやるならドリルドライバーを用意したほうがいい気はするが、電動ドリルの類を1つも持っていない人なら、こういう選択肢もあるのかもしれない。
ビットの話で言うと、さすがはドライバーが得意なベッセルで、ビットのバリエーションが充実している。面白いのがスパナ掛け付きのビットが用意されているところ。これは普通のドライバーでも付いているものもあるのだが、ドライバーの付け根の部分にレンチを掛けられるようになっていて、ネジが硬くて緩まないときに、レンチを掛けることでより大きい回転力を掛けることができる。
電動ドライバーの場合、手締めにも最大トルクの上限があるので、あまり硬く締まったネジは外すことができないが、そんな場合にもレンチを掛ければ電動ドライバーの限界を超えたトルクを掛けることができるわけだ。
そして、このビットは電ドラボール専用ではなく、パナソニックのミニドライバーでも使うことができる。なので、個人的にはパナソニックの充電ミニドライバーに、このレンチ掛けできるビットを組み合わせるのが一番いい組み合わせじゃないかと思っている。
INTERNET Watch編集部員やライター陣が、実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズをリレー形式で紹介していく「テレワークグッズ・ミニレビュー」。もし今テレワークに困りごとを抱えているなら、解決するグッズが見つかるかも!? バックナンバーもぜひお楽しみください。