マイクロソフトがシニア向けクラウド講座、Windows Liveなどテーマに講師育成
マイクロソフト最高技術責任者の加治佐俊一氏 |
マイクロソフト株式会社は29日、シニアにおけるICTの利活用を支援するための施策強化を発表した。シニア向けのクラウド活用講座を実施するほか、テキストの提供拡大、ポータルサイトの開設などを進める。
マイクロソフトではすでに1997年よりシニアの支援活動に取り組んでおり、「シニアICTリーダー」講師の育成や、シニア向けに最適化したテキストの提供などを行ってきた。今回、取り扱う内容を個人向けのクラウドサービスにも拡大した。
「シニアICTリーダー向けクラウド活用講座」では、従来のWindows OSやOfficeなどの活用方法に加えて、Windows LiveやOffice Web Appsといったパーソナルクラウドサービスを取り扱う。12月2日にベルサール九段(東京都千代田区)で開催されるイベント「Citizenship Day 2010」を皮切りに、2011年末までに1600人の受講を目指す。
マイクロソフトによると、財団法人ニューメディア開発協会が推進する「シニア情報生活アドバイザー」資格の保有者が現在約3200人いるという。この半数を目標にクラウド活用講座を実施したい考えだ。
シニア向けのICT活用テキストの拡充も図る。これは、シニアの講師が同じシニアを対象に講座を行う際のテキストとして、マイクロソフトが無償提供するもの。従来は、主に地方自治体との連携により9つのNPOに提供していたが、それを約130団体に増やす。ニューメディア開発協会がとりまとめているシニアネットと連携し、規模を拡大したいとしている。
11月29日には、ポータルサイト「シニアデジタルライフ」も開設した。「クラウド入門」「地デジ相談室」など、シニアが多く疑問に思っていたり、知りたいと思っているような一般的な情報を掲載する。また、シニアがブログで発信している情報などをRSSで取得するなどして、同ポータルサイトからアクセスできるようにしていくという。会員登録制にする予定はなく、シニアが気軽に情報を獲得できるようなサイトになればとしている。
このほか、千葉県との連携による「シニア・ショートムービーコンテンスト」も開催する。千葉県民の日のPR動画など3部門で、「ムービーメーカー」で作成した動画を募集する。応募方法は、オンラインストレージ「SkyDrive」にデータを投稿するかたち。
29日、アクセシビリティに関するマイクロソフトの取り組みについて報道関係者向け説明会が行われ、その中で同社最高技術責任者の加治佐俊一氏が、今回のシニア向け支援活動についても言及した。
2010年版情報通信白書によると、日本における65歳以上のインターネット利用率は36.9%で、全体平均の78%と比較すると低水準にとどまっている。マイクロソフトでは、まだインターネットを使っていないシニアにも使ってもらいたいとして、パーソナルクラウドサービスによるICT利活用施策を強化することにしたという。
加治佐氏はまた、マイクロソフトにおけるアクセシビリティの取り組みで対象と考えている人々について、障碍(しょうがい)者とともに、シニア層があると説明。日本では65歳以上の人口が2901万人に上り、高齢化率が22.7%に達していることや、これが2013年には25%(4人に1人)に増加することなどを説明した上で、ICTが今後進化して便利になる一方で、高齢による障碍も含めた障碍者にとって格差が広がっていくこともありえると説明。これをどうやって埋めていくか、技術的にも支援する人も重要になってくるのではないかと述べ、ICTが重要になるに連れてマイクロソフトが果たさなければならない責任も増えてくるとした。
【お詫びと訂正 2010/12/1 16:45】
記事初出時、12月2日開催のイベント「Citizenship Day 2010」の会場を「ベルサール神田」と記載しておりましたが、正しくは「ベルサール九段」です。お詫びして訂正いたします。
関連情報
(永沢 茂)
2010/11/29 17:52
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