スクエニのFFXIII-2とIE9がコラボ、FlashではなくHTML5でキャンペーンサイト


 株式会社スクウェア・エニックスが12月15日に発売するプレイステーション 3/Xbox 360向けのRPG「FINAL FANTASY XIII-2(FFXIII-2)」のキャンペーンサイトが公開された。Internet Explorer 9(IE9)との共同キャンペーンとして展開するもので、HTML5やSVGなどの最新ウェブ技術を活用しているのが特徴。日本マイクロソフト株式会社も技術面で協力した。

 キャンペーンサイトの目玉は、「モーグリ投げ」をモチーフにしたHTML5アプリ「モーグリのTweetキャッチ」。モーグリ投げとは、FFシリーズに登場するキャラクター「モーグリ」をプレイヤーが投げることで、遠くからアイテムを集めてきてくれるというゲーム内システム。FFXIII-2で新たに導入されたものだという。モーグリのTweetキャッチでは、円盤の上にいるモーグリをマウスドラッグ操作で地上に放り投げることで、FFXIII-2に関するツイートを集めてくる仕掛けとなっている。TwitterアカウントでOAuth認証することで利用できる。

モーグリのTweetキャッチ(C)2011 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA

 集めてきたツイートに対して、モーグリのTweetキャッチの画面上から返信することも可能。また、各ツイートの投稿者のTwitterアイコンがユーザーごとのコレクションページに保存されていき、25件集まるごとにFFXIII-2の壁紙などがダウンロードできる。モーグリ投げで手に入るのはツイートだけでなく、プレミアムアイテムとしてFFのキャラクターのドットアニメーションアイコンが当たる時もある。入手したアイコンは自分のTwitterアイコンとして利用できるほか、プレミアムアイテムを集めるビンゴゲームにもなっており、ビンゴが成立するとFFXIII-2のWindows 7テーマがダウンロードできる。

 ツイートの収集は、マイクロソフトが専用の検索アルゴリズムを開発。ユーザーはキーワードやハッシュタグで検索することなく、FFXIII-2に関するツイートを収集でき、同ゲームのファン同士でコミュニケーションするきっかけが生まれるとしている。

 キャンペーンサイトではこのほかにFFXIII-2の告知ページもあり、こちらでもHTML5を活用。ページ遷移することなくコンテンツをスクロールで切り替えるようになっており、スクロールするとコンテンツごとに独立したアニメーションが表示される。

 なお、キャンペーンサイトを利用するにはHTML5対応のウェブブラウザーが必要で、特にIE9(Windows 7を推奨)に最適化しているという。さらに12月15日には、Windows Phone 7.5以上のスマートフォンに最適化したサイトも公開予定だ。

 従来、ウェブでこのような動的あるいはインタラクティブなコンテンツを提供する場合、Flashを用いるのが一般的だった。実際、スクウェア・エニックスのFFXIII-2の公式サイトも映像や画像を多用したリッチコンテンツを取り扱っているためにFlashを使用している。

 一方で、同社サイトにアクセスするユーザーの使用端末としてスマートフォンの割合が増えてきており、FlashではPCと同じ形で表示することが難しい状況になってきているという。そこで、スマートフォンでも同様に閲覧できるようにならないかと検討。さらにHTML5では機能が大幅に強化されたことで、これまで作成していたようなリッチコンテンツも再現できると判断し、HTML5の活用を決めたという。ブラウザーベンダーとして大手のマイクロソフトがHTML5に積極的に対応する姿勢を示していることも後押しした。

 マイクロソフトによると、FFXIII-2のキャンペーンサイトでは、HTML5のAudio、Video、Canvas、Geolocationといった要素を活用。また、ページ上で踊るモーグリのレンダリングはSVGを使っている。また、地上の衛星地図画面の表示にはBing Map APIを利用。バックエンドにもWindows Azureを活用するなど、マイクロソフトのソリューションでサポートしている。

 マイクロソフトは、スクウェア・エニックスのようなコンテンツ企業のHTML5活用をバックアップすることで、最新ブラウザーで楽しめるHTML5サイトが多数登場するのを後押しし、IE9の導入・普及を促したい考えだ。すでに公開されているエキサイト株式会社の「excite.ism」のフォトギャラリーや、株式会社ぐるなびの「旅するレストラン」というHTML5サイトでマイクロソフトが協力している。今週にはニフティ株式会社のポータルサイト「@nifty」や「デイリーポータルZ」でもHTML5サイトによる共同キャンペーンが始まった。

 マイクロソフトでは、「HTML5自体まだ策定中の規格ではあるが、ウェブ開発者の方は導入するのはまだ早いと考えてしまわず、実験的でもいいので今からHTML5ウェブへの投資を始めてほしい。マイクロソフトも会社として全面的にHTML5を支援していく」とし、今後もウェブコンテンツ企業と広くパートナー展開していきたい考えだ。特に今回のスクウェア・エニックスのようなゲームベンダーは「遊ばせるコンテンツに長けている」と指摘。HTML5およびIE9のGPUアクセラレーションのメリットを発揮できる分野として注力していくという。


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(永沢 茂)

2011/12/8 06:00