ヤフーとグリーが包括的業務提携、ソーシャル分野で連携、新会社設立も視野
ヤフー株式会社(Yahoo! JAPAN)とグリー株式会社(GREE)は8日、包括的業務提携に関する契約を締結したと発表した。Yahoo! JAPANのメディア力や決済機能、GREEのソーシャルゲームコンテンツなどを相互活用し、シナジー効果を狙う。
ヤフーの宮坂学代表取締役社長とグリーの田中良和代表取締役社長(記者会見のUstream中継より) |
まず、ソーシャルゲーム領域における連携内容として、Yahoo! JAPANのスマートフォン版トップページなどからGREE上のソーシャルゲームへの誘導を実施するとともに、「GREE Platform」の決済手段の1つとして「Yahoo!ウォレット」を採用する。このほか、「Yahoo!ポイント」の連携を協議するほか、ソーシャルゲームの共同開発およびそのための新会社の共同設立についても協議する。
次にコンテンツの相互活用における連携として、GREEの有するエンターテインメントコンテンツなどをYahoo! JAPANグループの各種サービスで活用すること、Yahoo! JAPANが有する各種エンターテインメントコンテンツとGREEのSNSとの連携などについて協議する。また、エンターテインメントの新たな共同事業を開始することや、映像デジタルコンテンツへの投資を目的とした新会社の共同設立についても協議するとしている。
このほか、社会貢献活動への共同協賛、エンジニアやクリエイターの育成活動の共同支援といったCSR活動での連携も挙げている。
●グリー田中社長も提携へ“爆速”、具体的なスケジュールなどは今後
8日夜、ヤフーの宮坂学代表取締役社長とグリーの田中良和代表取締役社長が出席して記者会見が行われた。
宮坂社長によると、提携の基本的な枠組みは「Yahoo!で見つけて、GREEで遊ぶ(Discover on Yahoo!, Play on GREE)」と非常にシンプルで、Yahoo! JAPANが長年続けていたポータルサイトとしてのビジネスモデルだという。具体的には、Yahoo! JAPANのスマートフォン版トップページからGREEへリンクが張られるというもので、会見の30分ほど前には実際にトップページ上部の「オークション」「知恵袋」「地図」などと並んで「GREE」のリンクが設けられた。
ソーシャルゲームの連携に関する基本的な枠組み(記者会見のUstream中継より) |
さらに今後は、Yahoo! JAPANから流入したユーザーのGREEの利用が増加することから、Yahoo! JAPANのポイントや決済サービスをGREE上で使えるよう連携を進め、ソーシャルゲームのさらなる利用拡大を図る。
一方、“スマホファースト”を掲げて全社を挙げてスマートフォン向けサービスの強化に取り組んでいるYahoo! JAPANだが、スマートフォン向けゲームの領域においては、今までほとんど対応できていなかったという。すでにDeNAとの協業による「Yahoo! mobage」などで実現したというPC領域における“Only1ゲームポータル”の座を、GREEとの提携によりスマートフォン向けソーシャルゲームの領域でも目指す考えだ。
なお、今回の提携発表ではこのほかにも、ソーシャルゲーム開発の新会社や映像コンテンツの投資会社などを共同設立することなどを掲げているが、スケジュールのめどについてはまだ話せる段階ではないとした。田中社長によると、今回の提携は、以前より交流があった中でGREE側から提案したものだが、「両社で話しあううちに“爆速”で決まった。両社の関係者も、その“爆速”ぶりに驚くようなスピードで進めた」という。その結果、まだ具体的な検討・決定に至っていない部分もあるようだ。
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(永沢 茂)
2012/11/8 17:02
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