ニュース

「iTunes U」ダウンロード回数が10億超~無料講義の影響は世界中に波及

 米Appleは28日、主に高等教育の講義を提供している「iTunes U」のダウンロード数が10億を超えたと発表した。

 現在講義を提供している大学は1200以上、中学・高校は1200校。米国のMITやエール大学、英国のケンブリッジ大学やオックスフォード大学など有名大学が名を連ね、提供されている講義数は2500以上に上る。

 講義は無料で視聴でき、Appleでは「25万人以上」の人々や学生が履修していると説明する。

 とくに人気があるのが、スタンフォード大学と英国のThe Open University(日本の放送大学に似たシステムの大学)の講義で、それぞれのダウンロード回数は6000万を超えているという。

 AppleはiTunes Uを2007年に公開した。2010年8月にはiTunes Uダウンロード回数が3億回を超え、800の大学が参加していることを明らかにしていた。その後2012年1月にはiPadとiPhone向け専用アプリを公開し、動画視聴だけでなく、講義録やシラバス(講義の目的や内容の計画)も合わせて提供可能にした。

 当初は米国を中心に開始されたiTunes Uではあったが、現在では米国外への影響力が増加している。全世界155カ国の人々がiTunes Uを利用でき、これまでのダウンロード数の60%以上が米国外からとなっている。

 講義の利用のされ方について、人気コースの1つであるオハイオ州立大学の「一般化学」講義では、初年度だけで10万以上「iTunes U学生」が履修したという。講義を担当しているMatthew Stoltzfus教授は、「私は様々な人たちと共に作業してきた。iTunes U資料を使用して自分の高校の授業を準備する高校の先生方、自分の同級生を教えるために講義を活用している世界中の高校生、知的に活動的であり続けるためにiTunes Uのコースをダウンロードしている退職者もいる」として、世界中で幅広い層が利用しているとコメントしている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)