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ネットバンキング不正送金、2014年上半期の被害は18億円以上、法人被害が急増

 警察庁は4日、2014年上半期(1月~6月)のインターネットバンキングにおける不正送金事犯の発生状況を公表した。期間中の発生件数は1254件、被害額は約18億5200万円で、1件あたりの被害額は約148万円。

被害額の推移など(警察庁の発表資料より)

 インターネットバンキングにおける不正送金の被害額は、2013年上半期の約2億1300万件から、2013年下半期には約11億9300万円に急増。2014年上半期もさらに被害の増加が続いている。

 被害に遭った金融機関の数も、2013年下半期の29から、2014年上半期には73に増加。都市銀行に加えて、地方銀行や信用金庫、信用組合などにも被害が拡大している。

 また、法人口座の被害額は2013年下半期は約7500万円だったが、2014年上半期は約5億7200万円となっており、法人口座の被害が急増している。

 不正送金の様態は、“出し子”による現金出金が64.9%、資金移動業者を介した国外出金が7.0%、電子マネーに換金が3.6%など。一次送金先口座名義人の国籍は、中国が69.5%、日本が26.0%、その他が2.7%、法人が1.8%。

 不正送金の防止対策としては、警察庁では5月にインターネットバンキングを標的としたマルウェア「Gameover Zeus」の国際的な摘発作戦に参加。約15万5000件の感染端末利用者に対して、ISPなどを通じて注意喚起を推進している。

 不正送金に対しては69事件で133人を検挙し、このうち中国人が83人(62.4%)を占めていた。警察庁では、関係部門と連携した取り締まりと積極的な国際捜査共助要請を推進していくとともに、関係事業者などと連携してセキュリティ対策を推進していくとしている。

(三柳 英樹)