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中小企業もAdWordsなどGoogle活用で海外展開を、製麺機や弁当箱で成功事例
(2014/11/10 17:50)
Googleは10日、「Helping Small Business Go Global(世界に誇る日本を海外へ)」と題して、インターネットを活用し、日本の製品を世界に展開する中小企業の取り組みを紹介するプレスイベントを開催した。
Googleのケビン・オケイン氏(アジア太平洋地域Small & Medium Businessマネージングディレクター)は、インターネットの普及によって中小企業であっても海外展開が容易になり、海外へのアピールにはインターネット広告が活用されていると説明。日本の中小企業の海外への広告配信額は昨年比で2倍になり、日本から海外への広告配信先としてはアジア地域が最も多いというデータを紹介した。
一方で、日本の中小企業全体で見ると、インターネットの利用は世界に比べてまだ不十分なレベルであり、インターネットを活用することで企業は世界中から顧客を見つけることが可能になるとして、そのためにGoogleの広告商品やツールを活用してほしいと訴えた。
オケイン氏は、世界からの日本に関する検索の動向を紹介。日本についての検索は全体的に増加傾向にあるが、分野別では和食への関心もあって「食」に関する検索が最も多く、日本発のファッションへの関心の高まりを受け、2014年には「ファッション」分野が「観光」を上回ったという。
地域別に検索動向を見ると、アジアでは「観光」の検索割合が高く、欧州では「ファッション」、北米・南米では「食」の割合が高いといったように地域ごとの違いがあり、さらに国別の違いもあると説明。こうした違いは「Googleトレンド」のようなツールを使うことで見ることができ、企業にとっても自身の顧客がどの国や地域にいるのかを発見できるとした。
また、世界中でモバイルへの移行が進んでいるが、特にアジア地域はスマートフォン普及率世界トップ2の国(シンガポール、韓国)が存在するなど普及が急速で、ユーザーの商品選びから購入まですべてがモバイルで行われるようになってきていると説明。発展途上国ではスマートフォンからインターネットの普及が進んでおり、こうしたユーザー層にリーチするためにモバイル対応が重要になっているとした。
オケイン氏は、世界への輸出を考える日本の企業にとっては、モバイルへの対応、広告による世界中の顧客へのリーチ、ツールを活用した広告効果測定の3点が重要なポイントだとして、こうした企業を手助けする広告やツールをGoogleでは提供しており、ぜひ活用してほしいと呼び掛けた。
独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の山口大介氏は、日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査の結果を紹介。「今後は輸出を拡大したい」という意向は特に中小企業で顕著で、理由としては「国内需要の減少」よりも「海外需要の増加」を挙げている企業が多いという。
海外展開における課題としては「海外でのビジネスパートナー」を挙げる割合が高く、JETROでも「アジア・キャラバン」「アセアン・キャラバン」として、海外の各都市で商談会などを実施。また、中小企業がSNSなどを使って、直接海外のバイヤーにコンタクトするといった事例も増えており、JETROでもこうしたネット活用をまとめたレポートなどを配信しているため、企業に活用してほしいとアピールした。
インターネットを活用して海外に日本の製品を輸出している企業としては、和傘や提灯などを販売している有限会社辻倉商会、製麺機を販売している株式会社大和製作所、日本の弁当箱を海外に販売している株式会社BERTRAND(Bento&co)の3社の事例を紹介した。
辻倉商会では、2012年からインターネット広告を活用。日本の伝統工芸品や文化に興味を持つ海外からの観光客が、京都の店舗に直接来店することが増えたことから、インターネットを利用した海外展開を思い立ったという。広告については、検索連動型広告とモバイル広告に特化したことで、公式サイトのページビューは2年で倍増し、海外からの売上も3倍に増加。現時点では海外の購入割合は2割程度だが、将来的には5割まで伸ばしていきたいとした。
大和製作所では、2004年からAdWordsを使って全世界に広告を出稿し、どの国からの問い合わせがあるかを検討。問い合わせが入る国が徐々に分かってきたため、最近では米国やシンガポール、韓国などに製麺機と製麺の講習会に関する広告を出稿。また、サイトにアクセスしたことのあるユーザーを対象に広告を配信するリマーケティングの手法も、広告効果が高いとした。
Bento&coは、オーナーのベルトラン・トマ氏が、日本の弁当箱をフランス向けに販売するために2008年に立ち上げたECサイト。日本のアニメやマンガなどに登場する「弁当」への関心が当初は高かったが、より幅広い層にアピールするため、日本の料理や食品に興味のある人をターゲットとしてAdWordsを配信。一般消費者だけでなく、ホテルやレストラン、ショップのバイヤーなどからの問い合わせも増え、バイヤー向けのサイトも開始し、卸販売も好調だという。