地図と位置情報
QGISで作成した地図、そのままウェブ公開可能。組織内のデータ共有も容易に
MIERUNE、QGIS向けクラウドサービス「Kumoy」提供開始
2026年2月25日 06:55
株式会社MIERUNEは2月18日、オープンソースのデスクトップGIS(地理情報システム)ソフトウェア「QGIS」向けのクラウドサービス「Kumoy(くもい)」のパブリックベータ版を提供開始した。
Kumoyは、QGIS用のプラグインソフトを組み込むことにより、作成した地図やデータをクラウドにアップロードし、プロジェクトやデータを一元管理できるサービス。QGISで作成した地図の見た目を変えずにそのままウェブ地図として公開することが可能で、URLを伝えることで複数人で共有できる。
これまではQGISで作成した地図をウェブで公開するには「qgis2web」などのプラグインを使ったり、手動でコーディングしたりする必要があり、地図のスタイルの設定などコーディングの知識が必要だったが、Kumoyを導入することによりノーコードでワンクリックするだけでウェブで公開できるようになる。
クラウドにアップロードしたデータには、QGISの初期画面から直接アクセスすることが可能。QGISが対応する主なベクトル形式のデータに対応しており、ファイル形式を気にすることなく利用できる。また、スタイルなどの情報も保管でき、異なる環境から同じレイヤーとスタイルのまま操作できる。
Kumoyのプランは、無料の「コミュニティ」に、「チーム」「エンタープライズ」を加えた3種類を用意。パブリックベータ版ではコミュニティプランを試用でき、無料分のデータ容量を利用可能だ。Kumoyの本公開後は、データ容量を追加で購入することにより保存できるプロジェクト数やマップ数が緩和される。
チームプランは、コミュニティプランの機能に加えて組織管理機能を利用可能な有償プラン。50名までの組織で利用できる。組織・プロジェクト内のアクセス権限と更新管理が可能となり、権限管理やメンバー管理をウェブ上で一元化できる。データの更新状況もリアルタイムで共有できるため、作業の進行が可視化されて作業効率の向上を図れる。
契約組織以外の組織のメンバーをチームに招待できることも特徴の1つ。QGISをインストールしていない顧客などに対してシームレスに地図を提示できる。なお、チームプランでは大規模のデータ容量が契約時に付与される。また、チームプランで対応できない要件についてはエンタープライズプランとして応相談となる。
MIERUNEは、Kumoyで想定されるユースケースの例としてウェブ地図のサンプルを公開している。
高潮浸水ハザードマップ
国土数値情報の高潮浸水想定区域データを利用して、想定される最大浸水域を浸水深の区分ごとに色分け表示した簡易的なハザードマップで、役場や鉄道路線や高潮浸水リスク、人口などのレイヤーの表示・非表示を切り替えられる。
都市計画図
日本全国の都市計画区域および用途地域を表示したマップで、左メニューで表示する用途地域を切り替えられる。地図のスタイルはQGISで設定したものがそのまま適用されており、独自情報を重ねることで外出先からもアクセス可能な営業地図として使える。
公共交通空白地域
国土数値情報に公開されている「国土数値情報とQGISを活用した交通空白地の抽出と人口分析」を参考に作成した地図で、QGIS上のツールで作成した解析データをそのままKumoyにアップロードして作成した。
立地適正化計画の人口推移
国土数値情報に公開されている「立地適正化計画における居住誘導区域の人口推移分析」を再現した地図で、バスルートや鉄道路線、居住誘導区域、人口推計メッシュなどのレイヤーの表示・非表示を切り替えられる。
Kumoyの本公開は4月を予定しており、チームプランおよびエンタープライズプランの料金や、データ容量の追加料金は本公開前に発表となる。契約は1カ月ごと、または1年ごとで、支払い方法はクレジットカードまたは請求書に対応する(請求書払いは別途手数料が必要)。
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INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。











