地図と位置情報

まるで現代の伊能忠敬――その極みにはAIもまだ辿り着けてない!? 地図データ整備の最前線を盛岡で見た

地図づくりのDXを推進、新たなスタートを切ったジオテクノロジーズ株式会社

ジオテクノロジーズが保有する地図データベースシステム「SiNDY」上で、参照資料の計画図面をもとに建物の外形を抽出するマウス操作を実際に体験する筆者(右)

 2022年1月にインクリメントP株式会社(iPC)から社名を変更し、独立した地図会社として再スタートを切ったジオテクノロジーズ株式会社。同社がiPC時代の1997年から地図制作の拠点としているのが、岩手県盛岡市にある「東北開発センター(TDC)」だ。

 このTDCにおいて3月、東京などからも報道関係者を招待して見学ツアーが開催された。筆者はiPC時代の2015年にもTDCを訪れて地図整備の現場について取材したことがあり、その模様をこの連載でお伝えしたことがあるが、9年前と比べて現在の地図整備の現場がどのように変化したのかレポートする。

地図整備の拠点「TDC」を1997年に設立、道路実走調査の子会社も保有

 iPCの設立は1994年で、パイオニアの子会社としてカーナビゲーション向けのデジタル地図データを提供する企業としてスタートした。当初は地図データは外部の企業から購入していたが、1997年に地図データを社内で制作することになり、その際に地図制作の拠点として盛岡市にTDCを設立した。

ジオテクノロジーズ株式会社の沿革
東北開発センター(TDC)が入居する盛岡駅西口の複合ビル「マリオス」

 地図制作の拠点を盛岡に設立した理由としては、東北新幹線により東京本社とのアクセスが良いという面もあるが、UターンやIターンを希望する優秀な人材の獲得を目指したという点も大きい。また、1998年に開学予定だった岩手県立大学からの採用に期待したという理由もある。岩手県立大学はソフトウェア開発に強い大学で、現在のメンバーの中にも同大学の出身者が多いという。

 TDCには約200名が在籍し、そのうち50名が開発者で、地図編集管理システムや制作ツールの自社開発や運用、そして先行技術の研究開発を行っている。残りの約150名は、地図データの入力や、上海にある海外拠点(GeoTechnologies Shanghai)で入力されたデータの管理などを担当している。

東北開発センター(TDC)のオフィス

 なお、同社はグローバル・サーベイ株式会社という子会社も保有しており、埼玉県さいたま市を拠点として全国の道路の走行調査や歩行調査などを行っている。グローバル・サーベイは2005年から全国の道路にくまなく調査車両を走行させて画像を収集しており、長年の間に蓄積した膨大な走行画像は地図データの制作や更新に役立てられている。

グローバル・サーベイ株式会社についての詳細記事

道路の現状は走ることで分かる――国内延べ500万kmを5mおきに撮影した男たちがいた
地図会社を訪ねて~グローバル・サーベイ株式会社(2015/4/4)

自社開発の独自システム「SiNDY」で4種類の地図データを管理

 ジオテクノロジーズの地図データは大きく分けて、地形や道路、建造物などの形状を描いた「地図背景データ」、全国の住所や行政界を整備した「住所データ」、全国の施設とさまざまな属性情報を整備した「施設情報データ」、道路および属性情報を整備した「道路ネットワーク」の4種類がある。

4種類の地図データを管理できる「SiNDY」

 これらのデータは自社開発のシステム「SiNDY(Spatial INtegrated Database sYstem:空間的に統合されたデータベースシステム)」でデータの種類ごとにレイヤー(階層)で管理されており、制作・管理の全工程を社内で一貫体制で対応している。SiNDYでは建物の図面や道路の走行画像、ニュース記事など地図データの制作・更新に必要な素材や資料も一元管理することが可能で、そうした参照素材の情報を管理するシステムは「SiNDY-i(information)」と呼ばれている。

 このようにTDCにおいて作成された地図共通データベースをもとに、東京本社にてカーナビゲーションやウェブ地図サービス/スマートフォン向け地図アプリ、地図ソリューションなどとして製品化される。

「SiNDY」「SiNDY-i」についての詳細記事

カーナビの地図データはこうして作られていた! 点と線の地図「道路ネットワーク」とは
地図会社を訪ねて~インクリメントP株式会社<前編>(2015/3/31)

道の形、家の形、駐車場入口の正確な位置……最新地図を支える日々の情報収集とトレースの日々
地図会社を訪ねて~インクリメントP株式会社<後編>(2015/4/2)

 SiNDYの特長は、複数の拠点からリモートで同時にシームレスに直接データベースを編集できることで、複数のレイヤーの整合性を保ちつつデータを更新できる。同時に約300名がアクセスすることが可能で、複数人での編集により発生するコンフリクトを自動的に検知することが可能だ。もちろん誰がどのような編集を行ったか履歴は全て記録されており、編集後に参照できる。現在、年間で約9000万のオブジェクトが更新されているという。

 SiNDYには同社が28年間の地図整備で蓄積されたノウハウが詰め込まれており、いかに新しい情報を効率的に取得して早く反映するか、不具合の自動検出や効率的に変更を行う仕組みなどを実現しながら低コスト化を追究したシステムと言える。

 SiNDYは、TDCにて地図データの内製化を始めた2003年から長年かけて熟成されてきたが、年々新たな機能が実装されているため、仕様が複雑化してきている。現在はクラウドベースでシンプルなアーキテクチャを採用した新たなシステムの開発を開始している。

機械処理による自動生成も導入し、「都市地図」人口カバー率100%を達成

 4種類の地図データのうち「地図背景データ」は、面と線によって地図を表現し、さまざまな属性を持つデータであり、大きく分けて「トップ(全国図)」「ミドル」「ベース(中縮尺)」「都市地図」の4段階がある。さらに、トップ、ミドル、ベースの3つについては、それぞれさらに4段階のレベルに分けられており、合計13レベルの地図を整備している。

 各レベルの地図背景データはレイヤー化して作成される。各レイヤーは情報を分類して属性が付けられており、例えば建物レイヤーは駅・官公庁・学校・病院・工場・ホテルなど28属性、土地レイヤーの場合は街区・道路・河川・ダム・砂地など37属性に分かれている。

4段階のレベルに分けられる地図データ

 なお、建物の形などが詳細に描かれる都市地図のうち、従来のような手作業による入力で整備している「詳細エリア」は人口カバー率95.1%にあたる国土の約24%(9.2万㎢)をカバーしており、残りの4.9%(28.8万㎢)は「拡張エリア」として機械処理による自動生成によって整備を行っている。拡張エリアの都市地図は2023年度から提供開始しているもので、これにより詳細エリアと拡張エリアを合わせて人口カバー率は100%となった。

 ただし、機械処理による自動生成は道路や地形の部分だけで、建物については詳細エリアと同様に、衛星画像を参照して手入力ですべての形状を取得している。

従来は未整備だったエリアも整備し、「都市地図」が人口カバー率100%に

変化点抽出にセマンティックセグメンテーション技術、機械処理の精度が向上

 SiNDYのシステムとデータの構成については2015年の取材時と比べて大きな変化はないが、地図整備のプロセスについては近年大きな変化があった。その1つが、深層学習を活用して建物や背景の変化点抽出を自動的に行う手法の導入だ。

 「航空写真や衛星写真をもとに、どこが変化したのかをピックアップしたうえで編集を行います。変化点の抽出技術は10年以上前からあった技術ですが、以前は抽出の漏れが多かったり、最終的に人がチェックする必要があったりと課題が多く、人の手で行ったほうが早いという時代が長く続いていました。最近はAIが非常に進化し、当社が保有する地図整備に関する大量の教師データを学習させることで機械処理の精度も向上し、地図の整備コストを大きく削減することができました。」(ジオテクノロジーズ株式会社 執行役員 マップディベロップメント統括 佐々木秀孝氏)

 変化点抽出には、セマンティックセグメンテーションという技術を使用している。これは画像の各ピクセルに対してそれぞれラベル付けして画像を複数のオブジェクトに分割する技術のことで、不定形の領域を高精度に検出できる。セグメンテーションというと一般的には航空写真をもとに建物の外形を抽出するといった使い方が多いが、同社の場合は建物や道路、河川などの変化があった箇所を推論する点が特徴だという。

AIにより変化点を抽出
抽出された変化点に色が付けられている

 地図背景データの整備工程は[建物の差分抽出]→[建物の差分を反映]→[背景差分の抽出]→[背景差分の反映]→[エラーチェック・修正]の順に行われるが、このうち[建物の差分抽出]および[背景差分の抽出]を人の目視からAIによる処理に変えることで、これらの作業時間を60%削減し、導入前は1メッシュあたりの整備にかかる時間が13時間だったのが5時間に減り、年間で総計10万時間の作業時間を削減することが可能となった。

 これにより、例えば従来はTDCでしか行えなかった作業がGeoTechnologies Shanghaiでもできるようになり、その分、TDCでは歩行者向け道路ネットワークの整備など新たな作業に取り組めるようになった。ジオテクノロジーズは2023年度より詳細地図の人口カバー率が100%となったが、これが実現できたのは、機械学習による業務効率化が大きく貢献しているという。

 なお、現在は変化点を抽出するという使い方だが、将来的には建物の外形もAIで自動的に反映できるようにしたいと考えている。現状では、建物をきれいにトレースすることはなかなか難しく、図化したときにどうしても形が崩れたり、不要な点が増えたりすることがあり、それを修正する手間のほうが大きくなってしまうため手動で行わざるをえないが、将来的には建物外形のトレースを自動的に反映できるようにすることを目指しているという。

 このほか、近年では都市のデジタルツインやシミュレーションにおいて3D地図が活用されるようになってきたため、これまで2次元で提供していた地図データを3D化する取り組みも進められている。

 さらに、POI(地点情報)の自動収集の技術についても、ウェブサイトをクローリングするAPIや生成AIを活用し、店舗や施設の情報を自動収集して構造化する仕組みを開発し、より高鮮度で網羅的な情報の提供を目指して開発を続けている。時代に合わせて新たなジャンルの施設の情報も追加しており、例えば近年ではEV車の普及にともなってEVスタンドのデータを拡充。件数は94%までカバーされ、属性の種類も「出力」「充電料金」「コネクタタイプ」など10種類まで増加している。

POIの自動収集

新たに細街路データの拡充も。ポイ活アプリ「トリマ」のプローブデータも活用

 カーナビのルート検索に使用する「道路ネットワークデータ」(点と線により道路のつながりを表したデータ)については、以前と同様に、子会社であるグローバル・サーベイの調査車両が全国の道路を走行し、撮影した画像をもとに整備が行われるが、これとは別に、近年では自動運転(AD)や先進運転システム(ADAS)向けの高精度3次元地図(HDマップ)を作成するためのMMS(モービルマッピングシステム)車両も運行されている。MMSには従来の調査車両に搭載されている光学カメラではなく、3D点群データを計測できるLiDAR(レーザースキャナー)が搭載されている。

 取得したHDマップは、従来のような道路の中心線形状を表現した道路ネットワークとは異なり、車線レベルの精度を表現できる「車線ネットワーク」を基盤として構成されている。これにより、従来のナビゲーションシステムよりも高度な誘導や案内、車両の自己位置推定やセンサー補助、先読み、危険予測などに活用される。ジオテクノロジーズによるHDマップの整備実績は現在、日本全国の高速道路および自動車専用道路を網羅する累計3万2200kmに上り、2020年11月にはSUBARUレヴォーグのADASに採用されている。現在も道路の延伸や新規開通に合わせて更新整備を実施中だ。

「道路ネットワークデータ」の構成
HDマップの「車線ネットワークデータ」と従来のカーナビ向け「道路ネットワークデータ」との違い
HDマップの整備状況

 このほか近年の新たな取り組みとして、細街路の拡充が挙げられる。従来はカーナビにおける自動車の誘導に特化した取得基準で道路ネットワークを整備していたため、快適な走行に適さない未舗装道路や農道・林道・狭隘道路は対象外としていたが、地図データの利用用途がカーナビ以外にも広がっている現在、これらの道路も対象とする必要性が出てきた。そこで、幅員3m未満の未舗装道や農道、林道、民家に接続する延長25m未満の道路、歩行者用や自転車用など車両が通れない道路も取得対象とすることにした。

 拡充に際しては、国土地理院の基盤地図情報より未取得道路を追加し、ジオテクノロジーズでは未取得となっている道路を検出・インポートを行った。さらに、同社が提供するポイ活アプリ「トリマ」から取得したプローブデータを活用して通行可否などの実績を付与した。トリマのプローブ情報を解析することで変化点をタイムリーに検出し、スピーディーにデータへ反映することが可能となった。これらの作業により、従来は総距離125万kmだった道路データのカバレッジを190万kmまで増やしたという。

細街路の道路ネットワークデータを拡充

 なお、歩行者向け道路ネットワークデータの整備では、現在のところ、トリマのプローブデータは使用せず、従来通り航空写真や現地調査画像を使っている。都市部など人が密集しているエリアでは位置情報の密度が細かすぎるため、軌跡データを十分に生かせないというのがその理由だが、今後、歩行者向け道路ネットワークを郊外や山間部へ広げていく際には、トリマのプローブデータを役立てられるのではないかと考えている。

歩行者向け道路ネットワークデータは航空写真や現地調査画像から取得

 また、近年では歩道の安全性を評価する技術の開発も進めている。これは段差やガードレールの有無などにより道路左右の安全性を4段階で評価するもので、都市計画や道路整備などへの活用を見込んでいる。さらに人流データと組み合わせることで、より危険度の高い歩道を抽出することも可能となる。将来的には人流データを活用して、全国網羅的な歩道の安全性評価マップを作成する予定だ。

歩道の安全性評価システム

調査車両の撮影画像をもとに、AIで道路の「ポットホール」を特定

 このような同社の地図整備に重要な役割を果たしているのが、全国をくまなく走行して道路画像を撮影する調査車両だが、近年では、この調査車両を地図整備以外の用途に活用することも模索されている。その取り組みの1つが、2023年7月に発表した盛岡市における道路管理の実証実験だ。調査車両が撮影した映像を使ってAI技術により穴ぼこ(ポットホール)や欠陥がある道路を特定するというもので、盛岡市のデジタル技術実証実験事業に採択された。

 寒冷地である盛岡市内では雪解けの時期や降雨後にポットホールが発生することがあり、車両が損傷したり自転車が転倒したりすることが問題となっている。そこで、ジオテクノロジーズは地図制作のノウハウを生かして、同社が保有する走行調査システムとAI画像処理技術、道路ネットワークデータを組み合わせることにより、従来の方法よりも短期間でポットホールの全域分布を地図上で特定した。

地図整備のための調査車両をインフラ点検に活用

 実証実験の目標としては、道路の画像データ収集のコスト削減、ポットホール検出の適合率(検出したものが正しくポットホールだった確率)および再現率(穴が空いている箇所を検出できた確率)を80%以上にすること、ポットホールの水平位置の標準偏差を3.5m以内に抑えること、そしてポットホールの位置をGIS(地理情報システム)で可視化することなどを目指した。

 実験にあたっては調査車両に搭載しているカメラを下側に向けて道路を俯瞰して写すことにより、ポットホールの特徴を捉えやすくした。総走行距離は盛岡市内の道路の約20%にあたる1300kmで、この距離を1週間かけて走行した。取得した約87万枚の撮影画像は、クラウド上で学習・推論を行える独自の深層学習基盤を使って分析した。この基盤はさまざまな機械学習技術を扱うことが可能で、高速かつ手軽に認識モデルを構築できる。認識モデルの構築はわずか12時間で完了し、担当者の実働は2日で終了したという。

ポットホール検出に使われた調査車両の内部。下側に向けられたカメラ(左)と前方に向けられたカメラ(右)の2台が設置されている

 実験の結果は、水平位置の標準偏差が目標よりも大きくなったこと以外はほぼ目標を達成し、特にポットホール検出の認識モデルについては目標を大きく上回る成果となった。

 このように短期間で市内全域のポットホールの分布が把握できるようになると、地域ごとのポットホールの発生傾向や発生数も分析できるようになる。例えば盛岡市の場合では、西南地区はポットホールの数が1kmあたり2.2個であるのに対して、松園ニュータウン地区では6.6個と約3倍多いことが分かった。これは松園ニュータウン地区のほうが道路の施工された年代が古いためと考えられる。また、大型車の通行量が多い道路は特にポットホールの数が多いことも分かった。

ポットホールの分布

 ジオテクノロジーズの北悠人氏(ディベロップメントR&D 開発担当)によると、今回の実証実験で特に大きかった成果は、短期間で高精度な認識モデルを構築できたことだという。今後は認識モデルを最適化して精度の向上を図るとともに、路面のひび割れなどポットホール以外にも認識対象を拡充する方針だ。将来的にはポットホールの発見技術をきちんと確立し、ポットホール発生要因と事例を蓄積することによってポットホール発生予測モデルを構築し、その予測に基づいて自治体が保全計画を立てられるようにすることを目指している。

地図整備はなんと手間のかかる作業! 効率化・自動化へ向けた進化は続く

 今回のTDC見学ツアーにはジオテクノロジーズの杉原博茂代表取締役会長(ツアー開催時点では代表取締役社長CEO)も参加し、地図整備における同社のさまざまな新たな取り組みについて以下のように語った。

 「私が2年半前に社長に就任したときには、地図制作はなんと人の手がかかる作業で、まるで伊能忠敬みたいなことをやっているな、と驚きました。地図はこれからビジネスだけでなく教育や観光、エンターテインメントなどさまざまな分野で使われるようになり、ARグラスなど新しいデバイスが普及することで、もっともっと身近なものになると思います。ただし、デジタルツインやメタバースを構成する地図の位置がずれていたらリアリティが無くなってしまうので、元の地図がきちんとしていることは重要だし、それをここTDCで手間をかけて作っているというのはとても面白いことだと思っています。

 収集した情報をデジタル化する工程については、現状では全てをAIで自動化するまでには至りませんが、まだ効率化・自動化できることはたくさんあると思います。例えば昨日開通した道路や竣工したビルが今日には全て地図に載っているのが当たり前という時代はこれから来ると思うし、この先2~3年くらいはもっともっと進化すると考えています。」

ジオテクノロジーズ株式会社 代表取締役会長の杉原博茂氏

 ジオテクノロジーズではAIの活用だけでなく、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)による作業の自動化も進めており、地図更新に関する情報のリストを地図上に落とし込む際に情報を整理するなど定型的な処理を自動で行っている。これまで人が行っていた作業をロボットが肩代わりすることにより、効率化だけでなくヒューマンエラーの防止にもつながり、品質向上に貢献しているという。

 冒頭で述べたように、筆者がこのTDCを訪れたのは9年ぶりとなるが、昔と同じように地道な地図整備の作業が続けられている一方で、AIやRPAの導入が可能な部分については可能な限り効率化や自動化が図られ、それによって地図の品質向上や情報量の増加、他分野への活用といったかたちで進化していることが分かった。ジオテクノロジーズは今後も、建物外形のトレースの自動化など地図整備の効率化・自動化を引き続き進めていく方針で、これにより同社の地図ビジネスがどのように進化していくのか注目される。

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INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。