地図とデザイン
ゼンリン、地図のトレーディングカード発売。日本の有人離島304島から、まずは第1弾・70島の「Map Design GALLERY CARD/有人離島」
島の人口によるレアリティ設定
2025年7月18日 14:00
株式会社ゼンリンは7月18日、日本全国各地の有人離島の地図が描かれたトレーディングカード「Map Design GALLERY CARD/有人離島」を発売した。注記(地図上の文字や数字)情報を省いて建物と道路、等高線、水域のみを掲載したデザインで、地形は標高による濃淡と等高線の密度で表現している。また、離島がどこにあるかが直感的に分かるように日本列島の外観図も掲載している。
基本情報として島名と住所、島の規模感を伝えるために人口および面積、人口密度の数字情報を記載するとともに、緯度・経度、スケールバーも表記している。また、カードの左上にはレアリティ(レア度)も掲載しており、人口100人以上が「C(コモン)」、人口10~99人が「U(アンコモン)」、人口1~9人が「R(レア)」で、Rはキラキラ仕様のカードとなっている。
カードの裏面は表面の島の地図から建物と道路を除いてスケールや等高線のみを残したシルエットを掲載しており、より島の形状が分かりやすいデザインで、島名当てクイズなどを楽しめる。
有人離島の選定基準は、離島の無人島化の防止や定住促進を目的とした法律「離島振興法」の対象となる256島に沖縄振興特別措置法の対象となる38島、奄美群島振興開発特別措置法の対象となる8島、小笠原諸島振興開発特別措置法の対象となる4島から一般の人が訪れるのが難しい硫黄島と南鳥島を除いた計304島で、そのうち今回の第1弾では70島を発売する。
販売形態は7枚入り1パックで価格は550円、オンラインストア限定販売のコンプリートBOX(70枚入り)が5500円。
このトレーディングカードのデザインを担当した同社ビジネス企画室の長縄樹里氏は、地図のトレーディングカードを作るのにあたって“有人離島”というテーマを選んだ理由について、以下のように語る。
「これまでMap Design GALLERYで地図をもとにいろいろなアイテムのデザインをする際は、離島を削らなくてはならないことが多く、離島を入れる必要性は感じつつもデザインのバランスなどを考えると実現が難しいため、ずっと悩ましさを感じていました。そこで、今回トレーディングカードとして商品を立ち上げるのであれば、離島をテーマにすると面白いのではないかと考えました。」
カード制作で苦労したのは、人口や面積などの情報収集だったという。人口は国勢調査データ、面積は国土地理院が発表している「全国都道府県市区町村別面積調」に基づいているが、国勢調査は市区町村単位でまとめられているため、それぞれの島の人口は離島振興法や特措法のリストに掲載されている人口や、自治体が発表する人口の情報を採用することにした。地図会社であるゼンリンとして、情報の正しさにはかなりこだわっているという。
ビジネス企画室の副長を務める高橋圭佑氏はこのカードの遊び方として、「やはりコミュニケーションのきっかけにしていただきたいですね。いくつかカードを買っていただくうちに被りも出てくると思いますが、他の人と交換を楽しんでいただくのもいいと思います」と語る。今回は第1弾として全304島の約4分の1となる70枚が発売されるが、残りのカードについても今後、順次発売していく予定だ。
【追記 7月18日 14:00】
本記事は当初、本日11時付で公開していましたが、諸事情によりいったん掲載を取り下げ、14時付で再公開しました。
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INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。