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海上保安庁、マインクラフト用「海底地形ワールドデータ」無償公開

深海底まで擬似探検できて実に楽しい

マインクラフト用のワールドデータ(画像提供:海上保安庁海洋情報部)

 海上保安庁は5月12日、日本周辺の海底地形データをもとに作成した「マインクラフト(Minecraft)」用のワールドデータを公開した。同庁のウェブサイトよりJava版または統合版のワールドデータを無料でダウンロードできる。

 利用にあたっては、ワールドデータのほかにマインクラフトのゲームソフト本体が必要。PC版のマインクラフトのほか、PS4/PS5やNintendo Switch用のマインクラフトでも利用できる(※PS4/PS5やNintendo Switchの場合は、データをインポートするためのPCの統合版ソフト環境と有料の「Minecraft Realms」および各ゲーム機専用の有料オンラインサービスへの加入も必要)。

 このワールドデータは、海上保安庁や関係機関が調査した日本周辺の海底地形データをもとに作成されたもので、色合いはワールドデータ作成ツールにより着色されている。直方体のブロックによって再現された海底を探索すると、ところどころに山や谷のような地形が確認できて実に楽しい。

マインクラフト用のワールドデータ(画像提供:海上保安庁海洋情報部)

 このマインクラフト用ワールドデータの担当者である海上保安庁の濱崎翔五氏(海洋情報部企画課活用推進係)に話を伺った。

 濱崎氏によると、海上保安庁では航海の安全や海洋権益の確保、防災などさまざまな目的のために日本周辺の海底の地形を調査しており、調査などで得られた海底地形のデータは船の航海安全に欠かせない海の地図である「海図」などに活用されているという。この海底地形データをもとにマインクラフト用ワールドデータを提供開始した理由について、濱崎氏は以下のように語った。

 「今般、小中学生をはじめ、より多くの国民の皆様に『日本の海』をもっと身近に体験していただくために、人気を博しているゲーム『マインクラフト』で遊ぶためのデータを作成いたしました。また、海底地形のワールドデータ公開をきっかけに、海上保安庁の仕事に“海を調べる”というものがあること、それは“海洋情報部”という組織が担っていることを知っていただき、1人でも多くの方が海洋情報部で働きたいと思ってもらえればと期待しております。」(濱崎氏)

 ソースとなる海底地形データの大半は、音響測深機で取得されたデータだという。海上保安庁では、海洋調査を行う「測量船」と呼ばれる特殊な船を有しており、その船底に装備した「マルチビーム音響測深機(送受波器から海底に向けて音波を扇状に発振し、反射した音波を受振・解析する観測機器)」により広範囲に海底地形を把握できる。

マルチビーム音響測深機の概要(画像提供:海上保安庁海洋情報部)

 今回作成したワールドデータは日本の沿岸だけでなく、世界最深部である「チャレンジャー海淵」や東京から南方約930kmにある火山島「西之島」なども表現するために、範囲を北緯5~50度、東経121~158度と広めに作成されている。これだけ範囲が広いとデータ容量も膨大になるため、快適に遊んでもらえるように1ブロックは縦横約1km、高さは数百mとすることでデータ容量の軽減を図ったという(Java版が214MB、統合版が226MB)。

ワールドデータの公開範囲(画像提供:海上保安庁海洋情報部)
チャレンジャー海淵(画像提供:海上保安庁海洋情報部)
西之島(画像提供:海上保安庁海洋情報部)

 濱崎氏はこのデータの活用方法について、「通常では交通手段のない島の周辺や、生身では見ることのできない深海底などもゲーム内で気軽に疑似探検することができます。ぜひダウンロードしていただき、この安全なマリンレジャーをお楽しみください!」とコメントしている。

 なお、今回のデータは複製・公衆送信等、商用利用も含めて自由に利用できるが、公開されたデータをそのまま利用する場合は「海上保安庁海洋情報部」など出典を明記する必要がある。また、公開したデータを編集・加工する場合は出典とは別に編集・加工等を行ったことの記載が必要で、編集・加工した情報をあたかも海上保安庁が作成したかのようなかたちで公表・利用することは禁止されている。

 濱崎氏によると、海上保安庁の公式Xでデータ公開について5月14日に投稿したところ、5月25日現在で196万回表示、2.2万の“いいね”の反響があったという。投稿へのコメントには「子どもと楽しみたい」「遊びながら日本周辺の地形を学べることはすばらしい」といった好意的なコメントが多く寄せられた。同庁では、今回公開したワールドデータの利用状況を見ながら、今後も同庁の取り組みの周知を図っていく方針だ。

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片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。著書・共著書に「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」「こんなにスゴイ!地図作りの現場」「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」などがある。2026年4月24日に最新刊「位置情報がつくる未来ビジネス」発売。