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WD製外付けHDDをアイ・オー・データが販売、国内流通を強化

 米Western Digital傘下のWD社と株式会社アイ・オー・データ機器は15日、WD製外付けハードディスク(HDD)製品に関する、日本国内における販売代理店契約を締結したと発表した。

(左から)ウエスタンデジタルジャパン株式会社代表取締役社長兼米WD社コーポレートバイスプレジデントの金森苧氏、米WDコンテンツソリューション&ワールドワイドセールス担当エグゼクティブバイスプレジデントのJim Welsh氏、株式会社アイ・オー・データ機器代表取締役社長の細野昭雄氏

 アイ・オー・データが持つ国内の販売チャネルを利用し、5月からWD製外付けHDD「My Bookシリーズ」「My Passportシリーズ」およびネットワークストレージを順次販売する。WDも引き続き外付けHDDやNASといったコンシューマー製品の営業活動を行うが、アイ・オー・データが販売主体となり、WDはサポート側に回る。なお、内蔵HDDは取り扱わない。

 WDは、10年前からアイ・オー・データに内蔵HDDを供給しており、同社のNAS用HDD「WD RED」を、アイ・オー・データが国内メーカーでいち早く採用したほか、24時間連続録画に耐えられる「AVコマンド対応」のHDDを採用したテレビ向け外付けHDDを展開するなど、親密な関係を構築しているという。

これまでのWDとアイ・オー・データの取り組み
今後のWDとアイ・オー・データの取り組み

 アイ・オー・データは総代理店ではなく代理店の1社だが、現時点での国内代理店はアイ・オー・データのみのため、実質的に独占販売となる。両社の製品はカテゴリー的に重なるものもあるが、ラインナップの集約を行わず、ユーザーに選べる環境を提供するという。また、アイ・オー・データが販売するストレージ製品は、基本的にマルチベンダー制を採用しているが、今回の提携によりWDメインにシフトしていくとみられる。

 なお、アイ・オー・データの外付けHDDの売上金額については、2010年のエコポイント需要をピークに、ここ3年は横ばいで推移している。2014年の外付けHDDにおけるアイ・オー・データの販売金額シェアは、3.5インチモデルが29%、2.5インチモデルが22%、全体では27%。また、WDのシェアは日本国内で4%ほど(世界全体では40%でトップ)しかないが、今後はユーザーのニーズに合わせた製品を複数展開し、シェア1位を目指す。

アイ・オー・データの外付けHDDの売上金額の推移。2010年のエコポイント需要がピーク
国内市場シェアでは、2.5/3.5インチともにバッファローが1位をキープしており、WDとアイ・オー・データでシェア1位を目指す
WDの世界シェアは40%で1位。2位のSeagateと10%以上引き離している
国内投入されるWD製品群

 WDのJim Welsh氏(コンテンツソリューション&ワールドワイドセールス担当エグゼクティブバイスプレジデント)は、「目の前に大きなオポチュニティが広がっている」とたとえ、スマートフォン、タブレット、PC、テレビなどデバイスの出現で、より多くのコンテンツを収納したり楽しむ機会が増えたことによるストレージ需要が増加していると説明。2016年には1世帯あたりの平均データ量が3.3TB(2011年で0.46GB)に達するとしており、ストレージを取り巻く状況が大きく変動すると分析した。

 また、WDではシンプルなストレージから、バックアップ機能を追加したモデル、パーソナルクラウドモデルまで、ユーザーの課題を解決する製品を提供することで一貫したUXを提供しており、現在はストレージを有効に利用するソフトの開発にも注力しているという。Welsh氏は、パブリッククラウドに対するプライバシーの面の懸念を例に挙げ、ユーザーが格納したデータを自身でコントロールしつつ、素晴らしいUXを提供する製品など、アイ・オー・データとWDでユーザーのニーズに応えていきたいとした。

2016年における1世帯あたりのデータ量は3.3TBに達すると予測
パブリッククラウドサービスには、ユーザーがプライバシーの面の懸念を抱いていると説明

 株式会社アイ・オー・データ機器代表取締役社長の細野昭雄氏は、外付けHDDにおいて部材コストの7割をドライブ調達が占める現状について「各社含めて、特徴のあるところに行かざるをえない」と述べ、価格競争にさらされているストレージにおいて、独自性を持つ必要を唱えた。また、提携により、外付けHDD向け部材の安定調達のほか、多様なクラウドサービスや充実したソフトを持つWD製品の投入など、ユーザーが抱える問題に対してWDの幅広いラインナップを活用し、マーケットにベストなソリューションを提供したいとした。

 なお、発表会にはWestern Digital製の「My Cloudシリーズ」も参考展示されていた。現段階で発売予定はないとのことだが、米国で展開しているMy Cloudとは別のブランド名を用いて、国内向けのカスタマイズを施した後、夏ごろをめどに投入する予定だという。

アイ・オー・データでは、これからのストレージに対して、4Kコンテンツの制作・録画、パーソナルコンテンツの保存、企業データの保全の3点の需要が見込めるとしている
アイ・オー・データの国内ニーズのピックアップと、WDの幅広い製品ラインナップで国内ストレージ市場を拡大するとしている
5月より国内で順次販売するWD製品群
参考出品されていたネットワークストレージ製品「My Cloud」

(山川 晶之)