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Apple、ヘルスケア向けフレームワーク「CareKit」発表、「ResearchKit」は遺伝子データにも対応

 米Appleは22日、ヘルスケア向けオープンソースフレームワークとして「CareKit」を発表した。また、医学研究向けの「ResearchKit」は、遺伝子データを活用できるアップデートを実施した。

 CareKitは、ユーザーの健康状態を管理できるように設計されたソフトウェアフレームワーク。健康管理プランの記録や症状・投薬治療の追跡を行ったり、ユーザーが自身の健康状態を理解するためのアプリを開発できる。また、医師や看護師、家族との健康データの共有もサポートする。

 CareKitはオープンソースで提供されるが、Appleでは基本モジュールを用意する。薬を服用する理学療法など、個人的な健康プランを管理するための「Care Card」、体温の監視やアンケートによる痛み・疲労の記録、iPhoneのセンサーを用いたアクティビティの管理などを行う「Symptom and Measurement Tracker」など4つのモジュールがあり、これらのモジュールをもとにアプリ開発を行える。

 ResearchKitは、各種医療検査をiPhoneアプリで行えるソフトウェアフレームワークとして2015年4月より提供しているもの。ビデオなどを利用したインタラクティブな電子同意書、iPhoneの加速度センサーやGPSなどをアプリで利用できるアクティブタスクモジュール、参加者への質問などをカスタマイズできる調査モジュールで構成。検査室で実施するような医療検査を簡単に行えるようになっている。

 開発者側でモジュールのカスタマイズや新規設計が可能で、主なモジュールとして、聴力検査の実施機能、特定の刺激に対して特定の反応を返すのにかかる時間の測定、情報処理の速度と記憶力の評価、数学的なパズル「ハノイの塔」を用いた認知の研究、時間制限のある歩行テストといったものがある。

 今回、遺伝子解析サービスを提供する米23andMeがResearchKitをベースに設計した遺伝子検査モジュールを提供。低コストで遺伝子データを研究に活用できるようになった。また、National Institutes of Mental Healthと連携し、唾液を使った遺伝子研究向けの検査キットを提供するとしている。Appleでは、遺伝子データを活用したResearchKitの使用例として、産後うつや心血管疾患、ぜんそくに関する研究を挙げている。

 ResearchKitは、日本、米国、英国、オーストラリア、オーストリア、ドイツ、アイルランド、オランダ、スイス、中国、香港で利用可能。対応デバイスは、iPhone 5以降のモデルのほか、最新のiPod touchで利用できる。

(山川 晶之)