ニュース

凸版印刷、ブック型コントローラーを使った体験型鑑賞支援システム「FLIPPIN'」

 凸版印刷株式会社は14日、ブック型コントローラーで本のようにめくりながらデジタルコンテンツを楽しめる体験型鑑賞支援システム「FLIPPIN'」(フリッピン)の開発を発表した。

 FLIPPIN'は、印刷技術を利用して電子回路などを製造する「プリンテッドエレクトロニクス」を応用したブック型コントローラーと、操作に連動する大型ディスプレイで構成される体験型鑑賞支援システム。

 ブック型コントローラーには導電性インクが独自のパターンで印刷されており、凸版印刷では今回、インク内の静電容量変化値からページ操作の状態を検知する仕組みを開発。絵柄を印刷したコントローラーの表面と導電性インクで印刷された層を重ねて多層化することで、印刷内容を損なわずに導電性インクを使った入力機能を実現しているという。

 この仕組みにより、ブック型コントローラーにめくったり触れたりすることで、操作に連動する大型ディスプレイ上の画像や動画を操作できる。コントローラーが本を模した形状なため、複雑な操作説明が不要で、直感的な操作でデジタルコンテンツを楽しめるという。

 FLIPPIN'は、連動デジタルコンテンツ「Flip and Touch the 北斎漫画」とともに、グランフロント大阪北館ナレッジキャピタルの展示スペース「The Lab.みんなで世界一研究所」に、4月15日から9月30日まで実証実験として設置される予定。

 Flip and Touch the 北斎漫画は、葛飾北斎が江戸の森羅万象を描いた全15編の冊子本「北斎漫画」の浦上蒼穹堂・浦上満氏所蔵本を底本に、凸版印刷が高精細デジタル化してインタラクティブ作品として開発した「Touch the 北斎漫画」のデータを活用し、FLIPPIN'向けとしたもの。

 凸版印刷ではFLIPPIN'について、2017年度中に美術館や博物館向けの鑑賞支援システムとしての実用化を目指すとしている。

(岩崎 宰守)