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2002年の初日の出、日本一早いライブ中継サイトはどこになる?

■URL
http://ogasawara-channel.com/ (小笠原チャンネル)
http://www.city.choshi.chiba.jp/index-j.htm (銚子市ホームページ)

小笠原村のウェブサイト。トップページには、位置を示す地図が掲載されている

 日本各地をはじめ世界の遠く離れた地点からの初日の出を拝むことができる、インターネットによるライブ中継。今ではすっかりおなじみのイベントとなり、2002年の初日の出も多くの中継サイトが開設されるものと思われるが、日本でもっとも早い初日の出中継が見られるサイトはどこだろうか?

 千葉県銚子市は、同市ウェブサイトのトップページにも誇らしげに書かれているように、「日本一早い初日の出のまち」をアピールしている市だ。北海道の納沙布岬のほうが銚子の犬吠埼よりも東に位置しているが、11月末からの約2カ月の間だけは、より南に位置する犬吠埼のほうが日の出時刻が早くなるのだという。犬吠埼の初日の出の時刻は6時46分。銚子市では、1999年から2001年の3年間にかけて「銚子市世紀越え事業」に取り組んでおり、その一環としてインターネットのライブ中継も行なった。また、これ以外にも常設のライブカメラがあるようなので、2002年も犬吠埼からの初日の出をインターネットで楽しむことができるはずだ。

 ところが、その銚子市のウェブサイト自身、実は日本国内にもっと早く初日の出を迎える場所があることを認めている。「初日の出時刻表全国版」というページに、東京都小笠原村では、銚子市よりも26分も早い6時20分が初日の出の時刻だと明記されているのである(細かいことを言えば、小笠原は“村”であるため、銚子市では「日本一早い初日の出の“まち”“都市”という表現を使っているのかもしれない)。


 そんな小笠原村で現在、銚子の陰に隠れて(?)あまり知られていない“日本一早い初日の出”を全国に広く伝えようという試みが進行中だ。小笠原村の父島でインターネットカフェ事業などを手がけるランドサービス有限会社のスタッフらが、機器メーカーなどの協力のもと、インターネットによるライブ中継に取り組んでいる。

 この活動の特徴は、「小笠原の自然環境に優しい」(ランドサービスの三澤氏)ことを念頭に置いていること。ウェブカメラは父島のある傘山山頂に設置されるが、これを動かすのは風力発電機だ。さらに、ここから市街地にあるインターネットカフェまでは、ルート株式会社の無線ルーターで無線接続される。同社は、今年夏に父島で実施されたに無線LAN実験「e-ISLAND小笠原」に参加しており、このノウハウが今回のライブ中継に活用される。

 同無線LAN実験は、父島における地域情報化やIT化を狙って企画されたものだ。三澤氏は「小笠原には、地理的条件から自然環境など価値あるコンテンツが豊富にあります。これらの好条件を後ろ盾にして、なんとか小笠原を広く知ってもらい、小笠原の地域情報化につなげられれば」としている。


 さて、父島からの中継が実現すれば、文句なくこれが日本一早い初日の出ライブになるはずである。しかしながら、現実として大きなハードルが一つ残されている。

 父島は、東京都とはいえ、都心から約1,000キロメートルも南の太平洋に浮かぶ島である。海底ケーブルは通じておらず、通信回線としては、NTTの電話回線などに使われる衛星回線があるのみ。インターネットに接続するには、ISDNで東京にあるプロバイダーのアクセスポイントまでダイヤルアップしなければならないという。最近になってようやく専用線サービスが民間にも開放されたそうだが、月額9万円ほどで帯域はわずか64kbps。いずれにせよ、アクセスが集中するようなライブ中継では、島内にウェブサーバーを設置してこれを広く公開することができないのだ。

 このような通信環境の中、解決策として考えているのが、公開サーバーは本土側に用意し、ここに父島からの動画データをFTPで送信する方法だ。使用するAXIS社のウェブカメラでは、Motion JPEGにより少ないデータ量で動画を送信することが可能だという。これならば、公開サーバーの協力者が現われれば、本土までの通信回線がISDNであってもリアルタイムで映像を配信できる。

 「機材の準備はメーカー等のご協力により少しずつ進んでいます。しかし、ウェブサーバーは今のところ決まっていない状況です。携帯電話向けの動画配信事業を行なっているところと提携して、年賀状メールに初日の出画像を添付する方法なども考えていますが……」(三澤氏)。このまま2002年も犬吠埼が日本一を維持するのか、それとも父島が日本一早い初日の出ライブの座を奪うのか? 父島の取り組みは、実現の一歩手前で足踏みをしている状態である。

◎関連記事
父島の“日本一早い初日の出ライブ”計画のその後<その1>
父島の“日本一早い初日の出ライブ”計画のその後<その2>
父島の“日本一早い初日の出ライブ”計画のその後<その3>
父島の“日本一早い初日の出ライブ”計画のその後<その4>

(2001/12/11)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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