【イベントレポート】
~「Broadband Solution Fair 2002」開催「次の一手を打たなければ、日本のIXはつぶれるだろう」高橋徹氏■URL
ソフトバンク・コマース株式会社は13日、テーマに「ブロードバンドソリューションが変える企業ライフ」を挙げたイベント「Broadband Solution Fair 2002」を東京・品川インターシティホールにて開催した。基調講演では、日本インターネット協会副理事長高橋徹氏が「ブロードバンド時代とは何か」と題した講演を行なった。 冒頭同氏はブロードバンドの定義について「64Kや128KのISDNはブロードバンドとは言えない。ブロードバンドはやはりADSL以上としたい」と語った。また、「ADSLは現在最大下り速度12Mbpsとなっているが、それでもFTTHの100Mbpsと比較してしまうと見劣りしてしまう。できれば、ブロードバンドと呼ぶためにはFTTH程度の速度が欲しいところだ」と、同氏が定義するブロードバンドではFTTHが理想だとした。
●日本のブロードバンドが抱える三つの問題点
二つ目の問題は「コンテンツ」。如何にブロードバンドが普及しても、それに応えるコンテンツが用意されなければユーザーを満足させることができないというもの。実際にブロードバンド先進国の韓国では、インターネット経由でテレビ放送を観る事や、ワールドカップの試合中継などもインターネットで行なわれたが、日本では実現できなかった。その要因として高橋氏は「規制の厳しさや、テレビ業界がインターネット業界を敵視している点が大きい。韓国ではそのような問題がないので、インターネット上でテレビ番組やワールドカップを観る事ができた」という点を指摘している。また、Webアプリケーションにしても、音声に対応したアプリケーションなどブロードバンドを有効活用したアプリケーションの登場が必要だろうとの展望も語った。 三点目の問題は、「IX」の問題。実際にJPIXのトラフィックは2001年9月以降1年間で10倍という予想もできない程の伸びを示しており16Gbpsに達しているという。同氏はこの問題について「このトラフィックの増大カーブの先を考えて次の一手を打たなければ、日本のIXはつぶれるだろう」と警告した。このようなIXのトラフィック回避のための一例として、リージョナル・データセンターという地域毎にキャッシュサーバーを設置して、十分なキャッシュを保存しておけば地域IP網内だけで十分処理でき、IXの負担を減らすことが可能だという例を示した。 ●ユビキタスネットの発展には早急なIPv6への移行が必要 またブロードバンドの普及によって、ユビキタスネットワークの普及も加速しつつあるが、「IPv4ではIPアドレスが足りなくなることは明白であり、IPv6が必須になる。また、人口を多く抱えるインドや中国からの要求も依然として強い」とユビキタスネットワーク普及のためにも早急なIPv6への移行が必要だと説いた。現在無線LANの技術としてIEEE802.11aが注目されているが、これが第4世代携帯電話の規格として取り入れられれば、「携帯電話のIP化やMobile IPv6の普及など、ユビキタス普及に欠かせない要因が実現する」と期待を込めて語っている。 最後に高橋氏は、ブロードバンドの普及により「ネットワークとコンピューターの融合」が進むとの予測を提示した。これは、現在個々のPCとして機能しているCPUやネットワークインターフェイスがブロードバンドネットワークにより共有化され、CPUやメモリーといったPCの機能がネットワークにより補完されるというものだ。この構想が実現すれば、各個人はネットワークと自分のディスクさえあれば問題がなくなるという。同氏は、「このような発想の基本には“ネットワークとPCは別の物じゃないよね”という考えがある。この考えがブロードバンドにより実現し、ネット上にある資産は共有されるだろう」と語った。 ◎関連記事 (2002/11/13) [Reported by otsu-j@impress.co.jp] |
|