【業界動向】
「放送・通信技術の融合はEUの発展に不可欠」~EU委員が見解■URL 欧州連合(EU)行政組織欧州委員会の企業・情報社会担当委員Erkki Liikanen氏は、このほど仏モンペリエで開催された会議において、ネット時代の放送のあり方について「今後の放送・通信技術の融合はEUの発展に不可欠」との認識を示した。 Erkki Liikanen委員はスピーチの中で、昨年までの好景気、およびこのところの不景気に触れ、現在過度に悲観的になっているとの見解を示した。不景気の状況は、ネット関連技術に対する投資にも現れており、実際、将来的に業界全体にも悪影響が出てくることが懸念されるという。 しかし、そのような現状こそ、積極的に投資すべきとの認識が示され、そのキーワードとして「集中・収束」(convergence)が挙げられた。消費者が求めているサービスを提供すれば、消費者はついてくる。例えば、BBCのインタラクティブサービスがウインブルドンテニストーナメントをネット中継したところ、400万人のデジタルテレビユーザーのうち3分の2が視聴していたという。コンテンツさえよければ、客は集まるということが実例として紹介された。 一方、EU側の放送・通信に関する新たな規制についても紹介された。新たな規制では、コンテンツは原則として対象となっていない。しかし、コンテンツを決める大枠、例えば、電気通信サービス、ネットワーク全体、およびハードは規制をかけていくという。放送業者による差別はせず、中立的に規制が行なわれることになるという。この原則はあるものの、現在、EUでは各国における実行段階で足並みの乱れが見られているという。 また、5月に制定された「eEurope 2005アクションプラン」が情報化を推進するとErkki Liikanen委員は指摘。ここでは2003年末までには欧州全体で電子政府のサービスが受けられるようにする目標を立てている。各国政府は2004年までに、デジタルインタラクティブTVが十分に機能的に普及したかをチェックすることも義務づけられているという。また、国境を越えたコンテンツサービスの整備も今後の課題だ。2003年までに、国を越えてさまざまなサービスが集中することになる。 PC、携帯電話の他、デジタルテレビが、情報化社会を進める上でのプラットフォームになるとErkki Liikanen委員は指摘。放送環境はネット時代において、上述のようなさまざまな観点から、特に「集中・収束」というキーワードを目標に、今後IT技術への投資を積極的にすべきとまとめた。EUとして着実に情報化社会への対策が進みつつあることを強調した形とはなったが、不景気感の払拭を喚起することに終始した感もある。 ◎関連記事 (2002/11/27) [Reported by Gana Hiyoshi] |
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