【業界動向/金融】
イーバンク、ATM対応や法人サービス強化を表明
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イーバンクの松尾泰一社長(左)、若山健彦副社長 |
イーバンクは2001年7月に開業。決済に特化したオンライン銀行として、オークションユーザーなどを中心に口座数を伸ばしてきた。2002年11月にはメールアドレスと氏名の記入で送金できるサービス「メルマネ」を開始。開始後2ヵ月で、すでに50万件の送金受注があったという。また通常の銀行口座に加え、郵便貯金との入出金にも対応した。2月12日現在で個人口座の申込み数は85万件、開設数は43.6万件。また法人口座は申し込み数6,200件、開設数2,000件となっている。
イーバンクの松尾泰一代表取締役社長は、「2001年7月の開業までを第1ステージ、開業から2002年末までを第2ステージとして、ネットワークやサービスの拡大に努めてきた。2003年1月からの第3ステージでは、収益を第一としたフェーズに移行し、黒字化に加え、早い時期での株式公開を目指す。またこれまではインターネットに熱心なユーザーがメインターゲットだったが、今後は一般ユーザーへのアプローチも図っていく」と、今後の展望を述べた。
同社の決算では、2001年度は36億円の赤字で、2002年度も設備投資などがかさんだため、約35億円の赤字となる見込みだ。ただ、2002年度後半から売上げが大幅に伸びているため、2003年度の早期で単月黒字化を実現できるという。また2003年度全体でも黒字化は充分可能としている。
2003年度は法人対応の強化やカード事業の開始などの新事業に加え、決済・送金といった機能を強化することで収益性を拡大する。まず法人事業では、企業の顧客や従業員、関連会社に金融サービスを提供する「ブランチプログラム」を開始。企業が必要とする支払い・請求や、給与振込みなどに同社のサービスを提供するほか、他社ブランドとの共同サイトを設置し、ユーザー獲得を図るものとなる。
この第一弾として、株式会社オン・ザ・エッヂおよび株式会社キャピタリスタと提携し、3月中旬に無料ISPライブドアのユーザーに向けた「ライブドア・ブランチ」の設立が決定している。また企業から多数の顧客に「メルマネ」を用いた一斉送金が行なえる「メルマネ・マスペイメント」を2002年12月から開始したが、これを積極的に展開することで送金市場の拡大を狙う。
個人向けには、ATM対応とクレジットカード事業を新たに開始する。これまでイーバンクではキャッシュカードは発行していなかったが、新たにクレジットカードと一体化したキャッシュカードを発行することで、提携ATM網からの入出金に対応する。これまで入出金では他行との振込み処理が欠かせなかったため、手数料がかさむ面が指摘されていたが、ATM入出金に対応することで手数料軽減も図っていく。なおクレジットカードおよびATMの提携企業は現在検討中としている。
また開業時には行なっていたもののニーズが低かったため休止していた定期預金を、3月より再び開始する。これは貯蓄性の高い商品で一般ユーザーへのアプローチに加え、資金運用業務の基本となる固定性資金の積み上げを加速する狙いもある。現在イーバンクの普通預金の金利は0.1%で、普通預金でも他行に比べ高い設定だが、定期預金ではこれを上回る金利を設定することで、他行と比べての競争力アップを図る方向だ。
イーバンクの今後の戦略モデル |
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(2003/2/13)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]