【事業計画】
FTTH化か、ケーブルモデムの規格変更か?~高速化の方法で悩む「J-COM」株式会社ジュピターテレコムは17日、同社が運営するケーブルインターネットサービス「J-COM Broadband(以下、J-COM)」の差別化戦略について記者説明会を実施し、高速化へ向けた検討状況について明らかにした。 同社がインターネット接続回線の高速化を実現するにあたって、現在検討している計画は大きく分けて2つある。既に導入しているケーブルインターネット用のモデムを新しい規格のものに変更する方法と、ノードから自宅まで引かれている同軸ケーブルを光ファイバー化に置き換えてFTTH化する方法だ。 現在J-COMでは、上りに5MHz、下りに6MHzの波長幅を利用して8.192Mbpsの伝送能力を持つ“対称型ケーブルモデム”と、下りに6MHzを利用して30Mbps、上りに1.6MHzを利用して2.5Mbpsの伝送能力を持つ“非対称型ケーブルモデム”の2種類を地域によって使い分けている。対称型のTerayon社製は下り速度で非対称型に見劣りするものの雑音に強く、非対称型は高速な通信を実現するが通信状況が雑音に左右されやすい特徴がある。 これが最新のケーブルモデム規格「DOCSIS(Data Over Cable System Interface Specification)2.0」では、Terayon社製の雑音への強さと非対称型ケーブルモデムの高速性を併せ持つ“良いとこ取り”の特徴がある。また、米国ベンチャーのNarad Networks社は、通常のケーブルテレビサービスでは利用しない860MHz~2GHzの高周波数帯を利用して100Mbps~1Gbpsの高速化を実現する技術を開発している。 1つ目の計画は、このようなケーブルモデムの最新技術を利用して高速化を図るというものだ。この場合、バックボーンからユーザー宅までのネットワークを自社だけで提供しているJ-COMでは、局側のモデムのアップデートなどの変更作業が、さまざまな環境が混在するADSLなどと比較して容易だというメリットがある。 一方、FTTH化では、2002年の5月~7月にかけてJ-COMの東村山局にてフィールド実験を実施している。FTTH化においても、同社は既にノード部分までを光ファイバー化しているため、他社と比較して容易に施設することが可能だという。 ただし、同社はインターネット接続以外にケーブルテレビ事業や電話サービス事業も展開しているため、これら3つのサービスが正常に提供できるか十分に検証・検討した上でないと実行に移すことができない。したがって、「新ケーブルモデム規格やFTTH化は、検討段階には入っているが、採用するかどうかという段階までは至っていない」(企画部の地平茂一氏)としている。
◎関連記事 (2003/2/17) [Reported by otsu-j@impress.co.jp] |
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