【イベントレポート】
トレソーラ、テレビ番組配信実証イベントの成果を発表■URL IP.net JAPAN 2003のコンファレンス「コンテンツ配信プラットホームの可能性とリスク」では、トレソーラの原田俊明社長が「テレビ番組を有料ブロードバンド配信~実証イベントの成果が示すもの~」と題した講演を行なった。 ●9月は1,650万PV、ユニークユーザーの3%が購入
原田氏はまず、「Chance!@トレソーラ」で、開始初月となる9月のページビューが1,650万PVとなったことを挙げ、「インターネット全体では中から大規模という集客量で、それなりに関心を持っていただいた」と評価した。また、サイトを閲覧したユニークユーザーのうち、約3%が有料コンテンツを購入したという結果を示し、「一般的には1%いけば良いと言われる中でその3倍となったことに満足している」と自信を見せた。 購入者属性では、男性が80%を占め、年代では20~49歳が8割近くであったとした。購入コンテンツの傾向では、今までは短いものが良いという定説があったが、正味約45分となるドラマに人気があり、ユーザーは40分以上連続してコンテンツを視聴しているという。特に人気があったものでは、1993年に放送されたドラマの「高校教師」が人気で、連続モノはだめという常識も覆して連続で視聴する傾向があったとした。 また、「Chance!@トレソーラ」の視聴時間全体から見たジャンル別比率を見ると、ドラマが65%、バラエティが21%、と両者がほとんどを占める結果となったという。 ●課題は権利問題原田氏は、次に、配信ビジネスの課題として、権利処理を挙げた。実はコンテンツの権利処理があまり進んでいるわけではなく、原田氏もどのくらいの期間があれば、ルールが整備されるのかわからないのだという。 たとえば、ドラマにしても権利は非常に多岐に渡る。出演者、スタッフ、脚本家などがいて、さらに、番組で使われるBGMなどにも権利が存在する。許諾を取ろうと思えば気の遠くなる作業だとした。もともと放送のために作られたものなので、ネット配信を行なえば、使用料を権利者に配分しなくてはならないという。 権利の中でも、脚本家のように統一組織があり、権利がそこに一任されているといった状態であれば比較的許諾が容易だが、出演者たちの団体のように、団体に権利を一任されていないようなものは、それぞれの出演者を割り出し、個々に許諾を得ないといけない。さらに、手間がかかれば、それだけ人件費もかかる。人件費が高額になってしまうと、ビジネスとして成り立たなくなると述べた。 また、今回、「Chance!@トレソーラ」で施した権利対策を挙げた。コピーの問題は最も重要で、動画がコピーされないようにすることはもちろん、静止画もキャプチャーされないよう、独自のビューワーソフトを使った。さらに、配信可能エリアも許諾内容に依存するため、アクセスしてきたユーザーのIPアドレスから、国内か海外かを区別して、国内のみに配信される仕組みとした。 ●STBによってテレビ画面を使った配信も最後に原田氏は、今後の予測を行なった。サービスモデルの拡張は、パソコンだけでは不可能だと強調した。セットトップボックス(STB)が当たり前となって、テレビ画面にコンテンツを映すようにすれば、パソコンの画面が小さいという問題もクリアする。ブロードバンドユーザーが爆発的に増えているので、テレビ画面を使ったビデオオンデマンドであれば、将来が明るいとした。 また、実証イベントで発見したニーズをもとに、原田氏個人の“夢”として希望を語った。連続ドラマのうち、見逃しした場合の補完として、現在放送中のものでも放送が終わった瞬間から、ドラマをそのまま配信したいのだという。ただし、これは権利関係をクリアすることは絶対に無理とし、あくまで希望だと強調した。 ◎関連記事 (2003/2/28) [Reported by 正田 拓也] |
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