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【イベントレポート】

「インターネットリサーチシンポジウム」が開催、日本市場の今後を討論

■URL
http://www.internetresearch.jp/

左から萩原氏、井上氏、白石氏、平石氏、MacElroy氏
 インターネットリサーチ研究会は3月18日、「第1回インターネットリサーチシンポジウム」を開催した。市場調査手法のひとつとして認知されつつあるインターネットリサーチをテーマに、講演やパネルディスカッションを行なった。

 同研究会はWebサイトやメールを用いた調査による調査の品質向上や認知拡大、従来型調査手法との融合などを通じて、インターネットリサーチの可能性を追求することを目的に、2002年春に設立された団体。これまでに法人53社、個人会員60人が参加し、会員数は全部で180人を超える規模となった。シンポジウムでは、米国のインターネットリサーチ業界団体「Interactive Marketing Research Organization」(以下IMRO)の創設者および初代会長であるWilliam MacElroy博士、および関西学院大学の井上哲浩助教授の基調講演を行なったあと、研究会の活動報告と業界識者によるパネルディスカッションを行なった。

 活動報告によれば、2002年5月にインターネットリサーチ業者(サプライヤー)対象に調査を行ない、当時のリサーチ市場の規模は50~70億円と推定。現在は100億円を超えているとみる。研究会では調査手法研究会や国際委員会など4つの委員会に分かれて調査を展開。調査手法やデータの精度に関する検討や、パネル(調査対象となる回答者)の運営・管理の実態、各国のインターネットリサーチの位置付けや役割調査を行なった。うち国際委員会を担当したリサーチインターナショナルジャパンの植木俊哉氏は、「世界のリサーチ市場の8割が北米・ヨーロッパによるもので、日本を含めたアジア地域は13%しかシェアを持っていない。GDPレベルなどから考えると、日本はこうした分野ではまだ後進国と言える」と発言。リサーチ分野の成長はまだ期待できると説明した。なお米国のリサーチ市場規模は2002年度で6,648億円、うちインターネットリサーチは586億円という。

 パネルディスカッションでは、基調講演に登場したMacElroy氏、井上氏に加え、リクルート ワークス研究所の白石久喜氏、インターネットリサーチ研究会会長の平石郁生氏が参加。ネットレイティングスの萩原雅之社長を司会に進行した。

 基調講演でMacElroy氏が、米国でのインターネットリサーチの好調ぶりを報告していたため、“日本でインターネットリサーチが市民権を得るためにはどうすればよいか”というテーマで議論が進められた。MacElroy氏によれば、インターネットリサーチを企業が利用するきっかけには、「コストの削減もあるが、それ以上にスピードを求めて入ってくることが多い」という。またアメリカの場合、電話調査の代替として、インターネットリサーチが伸びた経緯もある。電話調査の場合、米国では実際に電話に出る人が12%、回答するのはその半分の6%程度で、電話調査が回答者に望まれていない傾向があるという。こうした状況から、インターネットでの調査が電話調査に取って代わっていったとしている。

 日本ではインターネットリサーチはどうやって普及するかを考えた場合、白石氏は、「インターネットの場合、“回答を1万人分とらないと信用しない”という人が結構多いと思いますが、これがサンプル数が少なくても、インターネットでも信頼に足る調査だよという裏づけができれば変わっていくと思う」と発言。これを受けて井上氏は、「例えば1万人集まっても、もともとの構造にバイアスがかかる要素があったら意味がない」と述べ、バイアスを認めてそれを除去するメカニズムを確立すれば、回答数が少なくても回答の代表性を確保できると説明した。インターネットリサーチ会社の「インタースコープ」会長でもある平石氏は、こうした状況について「ある企業が同じ時期に同じ質問で、さまざまな手法を使って調査を行なっていたことがあった。これによってそれぞれの手法での特性を掴んだことから、その企業は今ある分野の調査はほぼネットで行なっている」との経験を述べた。

 またインターネットリサーチの利点は低コストとする見方が強いが、普及のきっかけとしてはスピードも大きな要素だという。MacElroy氏は「企業がよりスピーディでコストの低いリサーチを求めていった結果、インターネットリサーチにシフトしたとも言える。従来は12週間かかっていたものが1カ月でできるなら、企業の幹部は間違いなくスピードを選ぶ」と発言。IT関連企業がまずインターネットリサーチに飛びつき、そこで信頼性の高いデータを得られたことで、他の業界にも広まっていったと解説した。これを受けて平石氏は、「アメリカの企業の場合、変化を起こそう、認めようという風潮がある。人より早く意思決定して、早く失敗しても、早く学べることでよしとする。日本はどちらかというと様子を見ながらという企業の空気が強いため、それも関係してくるのでは」と述べた。白石氏も「日本の企業にとってスピードがどれくらいのバリューになるかは問題で、ひょっとしたらバリューにならないかもしれない」という。

 こうした流れを受けて司会の萩原氏は、「以前世論調査はすべて訪問と留め置きだったが、80年代に日経が電話調査を行なうようになった。そのことは調査団体や学会からは非常に非難されたが、現在はほとんどのメディアが電話で世論調査を行なっている。日経の場合、メディアがなんのために情報を出すかという点で、報道の本質であるスピードをとるために電話を選択し、それが最終的には認められた」と述べ、インターネットリサーチにも、認められるポイントが来るのではと予想した。また平石氏はDTPを例にあげ、「DTPは最初低コストだと言われていたけど、やっている人は一時は全く儲からない状態だった。それがなぜ普及したかというと、スピードが求められていたから。インターネットリサーチも、コストじゃないところを向かないと、いろいろ生まれていかない」と述べた。

 またリサーチを利用する企業は、「データの代表性にとらわれず、ユーザー(企業)として、何を知りたいのかを考えるべき」と白石氏。例えばAという商品を買った人が、その際に検討した他の商品を調べるといった調査は、インターネットリサーチに非常に向いているという。要は妥当なデータが得られるかどうかが、リサーチ手法を選ぶポイントになってくるわけだ。井上氏も「結局リサーチしたデータを使うのはマーケッターなので、最終的にはデータの代表性よりもどう使うかという意思が問題になってくる。何のための調査かという目的があってこそリサーチも活かせる」と述べた。

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(2003/3/18)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]

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