【業界動向/新技術】
米Centillium、ADSLで下り最大50Mbpsを実現するeXtremeDSL MAX技術■URL
eXtremeDSL MAX技術は、5つの機能を持ち、下り最大50Mbpsの通信速度を実現する。「MAX-QS(Quad Spectrum)」はメタルケーブル内に通す信号の周波数帯域を約4倍に拡大し、現在の12Mbpsの約4倍の通信速度を実現、「MAX-DS(Double Spectrum)」は、周波数帯域を2倍にして2倍の通信速度を持つ。「MAX-EU(Extended Upstream)」は上りの伝送に使う周波数帯域を拡大し最大3Mbpsの上り通信を可能にするという。 また、「MAX-HBL(High Bit Loading)」は帯域内のトーン1つあたりの伝送ビットを増加させて距離にかかわらず全体で最大20%ほど通信速度を高速化でき、「MAX-LR(Long Reach)」は最大線路長7km程度までのユーザーに対してISDN以上の通信速度を提供できるという。 これらの技術を用いると、近距離ユーザーに下り最大50Mbpsの通信速度を提供できるとともに、約2.2km程度までは既存12MタイプADSLよりも高速な通信が可能になり、さらに約1.3kmまではMAX-QSにおいてMAX-DSよりも高速な通信が可能になる。また、MAX-LRでは最大線路長を延長することができるため、1つの技術で短距離から長距離までのユーザーにメリットをもたらすことができるという。 発表会を開催したセンティリアムジャパンは、今回は技術の発表のみで、製品についての発表は後日行なうとした。実際にユーザーにこれらの技術を使ったADSLサービスが提供される時期について、同社の高橋秀公社長は「通信事業者、機器ベンダーの問題」として明言は避けたものの、すでにパートナー企業と開発を行なっていることを明らかにし、おおよそ年内にはサービスが開始されるとの見通しを示した。 技術については、プロダクト・プランニングディレクターの郷右近一彦氏が説明に立った。搭載技術の標準化の見通しについては10月に開催されるITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)SG15会合で決まる見通しと説明。MAX-HBLについては1月の会合で否決されたため、10月の再提案で標準化がなされない場合にはチップ内に機能のみ提供するという。 郷右近氏はMAX-HBLについて「データの量を増やすことなので、近距離でも中距離でも自動的に改善される」として、現在の12Mサービスと同じ周波数帯域を使っていても速度改善が期待できると説明した。また、eXtremeDSL MAX技術全体について「2002年に発表したeXtremeDSL技術に対して、次の世代に向けて革命的な技術で設計されたもの」と評価した。
◎関連記事 (2003/3/24) [Reported by 正田 拓也] |
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