【事件】
オンラインストレージでの違法MP3ファイル公開で摘発者■URL 京都府警ハイテク犯罪対策室と堀川署が10日、オンラインストレージサービスを悪用して違法音楽ファイルを公開したとして、著作権法違反の疑いで東京都新宿区の18歳の男性を逮捕したことが明らかになった。 男は、浜崎あゆみの「Voyage」や平井堅の「大きな古時計」など、市販の音楽CD数十タイトルの音源をMP3形式で複製。2002年9月ごろから、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の運営するオンラインストレージサービス「ShareStage」などで、不特定多数のインターネットユーザーを募ってグループを作った上で、参加者に対してこれらのファイルを送信できる状態にしていたという。この行為に対して、著作権を管理する日本音楽著作権協会(JASRAC)と、日本レコード協会(RIAJ)の会員企業であるエイベックスとデフスターレコーズが刑事告訴を行ない、堀川署が捜査を進めていた。 このほか同署では2月にも、同じくShareStageを悪用してゲームソフトをグループの参加者に公開していたとして、栃木県小山市の31歳の男性を逮捕していたという。この男は、ShareStageの利用料が一定容量まで無料であるという点に着目し、17個のIDを取得。2001年10月ごろから2003年2月25日までの間に、任天堂の「スーパーマリオアドバンス」など179タイトルをアップロードしていた。男はすでに3月7日に京都区検察庁に送検され、京都簡易裁判所から罰金30万円の略式命令を受けているという。 今回の違法行為はもともと京都府警ハイテク犯罪対策室によって発見されたものだというが、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)やJASRACでもそれぞれ独自にネット上で海賊版ソフトや違法音楽ファイルの監視活動を行なっている。ACCSによれば、オンラインストレージを利用した著作権侵害行為は「ボリュームとしては小さいかもしれないが、広く宣伝されるようになったことで、ヘビーユーザーでなくても利用するようになっている」として、「今後、このような行為が頻繁に起きるようであれば、業界が協力して対策に乗り出す必要がある」と述べている。 なお、今回の2名の逮捕者に悪用されていたShareStageだが、「無料サービスでは一般的に、どうしても本人確認が甘くなる」(ACCS)という面はあるにせよ、特にこのサービスに限って悪用を促すような仕組みだったわけではないようだ。他人の権利を侵害するコンテンツの公開を禁止する利用規約が設けられているという。ただし、NTT Comがコンテンツ内容をチェックできる立場にあるわけではないため、掲示板による誹謗・中傷情報などと同様、権利者などから指摘があった場合にのみ、NTT Comがこれを削除するよう会員に求めることができるという、プロバイダー責任制限法のガイドラインに沿った対応スタンスだ。 その一方で、ACCSが現在把握しているだけでも国内に20~30社のオンラインストレージサービスがあるが、アクセスにはIDが必要になるなど、違法行為を外部からチェックするのは限界があるのが実状だ。ACCSでは今後、このような違法行為を防止するには外部からの監視活動だけでは限界があるとしており、オンラインストレージサービスの運営企業とも協力しながら業界全体でルールの徹底に取り組む必要もあるとしている。実際、著作権侵害コンテンツの扱いについて、オンラインストレージサービスの運営企業からACCSやJASRACに相談が寄せられる事例も出てきているという。 ◎関連記事 (2003/4/10) [Reported by nagasawa@impress.co.jp] |
|