【新製品】
PDF内でのマルチメディアファイル表示が可能にアドビ、PDFソフトの新版「Acrobat 6.0」を発表■URL
「Acrobat 6.0」の大きな特徴は、PDFファイルへのマルチメディアファイルの埋め込み、および再生が可能になったことだ。FlashやQuickTime、MP3、Windows Media、RealMediaといったマルチメディアコンテンツに対応し、1つのPDFファイルで複数のメディアコンテンツの埋め込み・再生に対応する。 製品ラインナップに関しては、PDF作成ソフトでは、対象を一般ビジネスユーザー、ビジネス、エンジニアリングやクリエイティブなど専門分野のプロユーザー、PDF生成のみを行ないたい企業内ライトユーザーの3つに分類。各層に向けた製品を展開する。 まず一般ビジネスユーザー向けの「Adobe Acrobat 6.0 Standard 日本語版」では、Microsoft Word/Excel/PowerPointやInternet Expolorerに「Adobe PDFに変換」ボタンを設置。作成中の書類や閲覧しているWebページを、ボタン1つでPDFに変換できるようになった。また紙の書類をスキャンしてPDF化する際、書類に書かれたテキストを自動認識するOCR機能「ペーパーキャプチャー」を搭載、ペーパーレス化での作業効率を向上する。さらにWindows版では、ファイルを選択→右クリックでPDF変換できるほか、複数のファイルを1つのPDFファイルにまとめることも右クリックから可能だ。 また複数のメンバーによる書類校正や共同作業といった用途に向けて、「電子レビュー管理機能」や「注釈ツール」を強化。電子メールやWebブラウザー(Windowsのみ)を介して、複数のメンバーでの書類校正やチェック作業を整理、管理する。1つのPDFファイルに複数の相手からの校正(注釈)を取り込み、Wordに書き出すことができる。またこの際、校正は別レイヤーとして扱われ、元のPDFファイルには一切変更を加えないため、共同作業中の書類修正ミスなども防げるという。 プロユーザー向けの「Adobe Acrobat 6.0 Professional 日本語版」では、「Acrobat 6.0 Standard」の全機能に加え、「AutoCAD」や「Microsoft Visio」、「Microsoft Project」などの専門ソフトからもボタン1つでのPDF作成を可能にする。またプリフライト機能などで印刷所や出力サービスで確実に出力できるテータを作成できるほか、電子フォームの作成や、目の不自由な人でも利用できるか検証する「Adobe PDFアクセシビリティ」などの機能も提供する。 企業内ライトユーザー向けの「Adobe Acrobat Elements 日本語版」は、パッケージ提供は行なわず、企業向けにライセンス提供のみの展開となる。書類のPDF変換に特化した機能を提供する。 一方、PDFファイルの閲覧・印刷用ソフトの「Adobe Reader 6.0 日本語版」では、eBook形式のファイル閲覧や、PDFファイル内のマルチメディアコンテンツ再生に対応。また複数のPDFファイル内の語句検索や、WWW上のPDFファイル検索をReaderから利用できるようになった。さらに4月に発表したサーバー製品「Document Server for Reader Extensions」を用いることで、PDFファイルに埋め込まれた電子署名や記入済みフォームを保存したり、記入されたデータの送信などにも対応するという。 製品はいずれもWindows版とMacintosh版があり、価格(アドビストア提供価格、税別)は「Adobe Acrobat 6.0 Standard 日本語版」が通常版3万4,800円、アップグレード版1万2,500円。「Adobe Acrobat 6.0 Professional 日本語版」が通常版5万4,800円、アップグレード版1万9,500円。発売日はいずれも7月4日。また「Adobe Acrobat Elements 日本語版」はパートナー企業からの提供となるため価格未発表だが、「1,000人規模の場合で数千円レベルになる」(アドビシステムズ 石井幹代表取締役社長)予定で、5月16日からの発売となる。「Adobe Reader 6.0 日本語版」は、6月中旬より同社サイトでの無償配布を予定している。 米Adobe Systems社長兼CEOのBruce Chizen氏は、「マルチメディアファイルの対応によって、PDFは文書閲覧のみでなく、リッチコンテンツの情報コンテナとして機能する。またサーバー製品との連動で、トランザクションも可能にする」と説明。これまでAcrobat Readerのダウンロードは約5億本に達し、またAcrobat関連製品の販売は1,000万本以上という実績に触れながら、「Microsoftでは同社製品を2億本販売したというが、Acrobatにも同じくらいのキャパシティがあると考えている」と発言。AdobeはPDFを用いた電子文書ソリューションを総合して“ePaper”と呼んでいるが、「ePaperはAdobeにとって最大の成長エリアになる」と意気込みを示した。
◎関連記事 (2003/5/15) [Reported by aoki-m@impress.co.jp] |
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