【新技術】
複数レイヤーの経路を自律制御するプロトコル~NTTなどが相互接続実験■URL NTT、NEC、富士通、古河電気工業、三菱電機の5社は20日、ネットワークの複数レイヤーの経路設定を自律制御できるプロトコルの相互接続実験に成功したと発表した。GMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching)を用いて、IPなどのパケットだけでなく、SONET/SDHなどのTDM(Time Division Multiplexing)、光波長、光ファイバといった下のレイヤーまで統一的に扱える。 既存のネットワークでは、経路制御手法が各レイヤーごとに異なり、それぞれが個別に運用されていた。特に下のほうのレイヤーになると、制御用の独立した回線を経由して集中制御したり、実際に個々の機器のスイッチを切り替えるなど、新たな経路を設定するにも時間や手間がかかっていたという。一方、すでにIETFでRFC化されているGMPLSは、制御パケットを送信することで経路設定を行なうというMPLS(Multi-Protocol Label Switching)の手法を下のレイヤーにまで拡大したものだが、主に想定しているのはTDMの部分までだったという。 これに対して今回の実験では、光波長と光ファイバまで含め、すべてのレイヤーの経路設定・解除が行なえる制御ソフトを各社で開発。ルータや光スイッチなど、レイヤーの異なるネットワーク制御装置が混在する環境で経路制御用のパケットをやりとりできるようにしている。たとえば、2カ所のルータ間のパケットの経路を通すために、その途中にある光クロスコネクトが新たに光波長のレイヤーで経路を設定するといった動作が検証されている。アプリケーションやトラフィック、回線コストなどをふまえながら、最適なレイヤーを使った経路を探すことも可能になるという。 今後この技術が実用化されるには、ルーティングなども含めたプロトコルの開発のほか、装置レベルの実装、遠隔実験が必要になるが、この技術が普及すれば、光ファイバのリソースの有効活用が期待できる。光ファイバ網を保有している通信事業者にとってはバックボーンの経路設定が迅速に行なえるようになり、需要に応じて波長レベルでの専用線サービスを必要な期間だけ提供することも可能になるという。さらに家庭のアクセス回線部分にも適用されれば、普段はベストエフォートのIP接続を利用する一方で、テレビ会議や遠隔医療などのアプリケーションを利用するときだけ、通信品質が保障されるTDMや波長レベルの専用線接続に経路をダイナミックに切り替えるといった活用方法も考えられるとしている。 ◎関連記事 (2003/5/21) [Reported by nagasawa@impress.co.jp] |
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